City Ride cut 2



AM10:07 NEW PORT マンション
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Meer(Me)「ねぇ・・・」
Alex(Al)「ん? 何だ?」
Me「”ヘリ墓場”って知ってる?」
Al「知らないな」
Me「大量のヘリが放置されている・・・そういう所」
Al「へぇ~」
Me「SSVの山に近い、海にあるそうよ」

Meerは巷で流行りの都市伝説を語る。
そんなものには興味のないAlexは適当に聞き流す。

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Me「ちょっと!ちゃんと聞いてるの!?」
Al「ん? ああ、ちゃんと聞いてるとも」
Me「じゃあ今なんて言った?」
Al「ちゃんと聞いてるか」
Me「その前よ!」
Al「えーっと・・・何だっけ」
Me「聞いてないじゃない!?」

Meerは激怒する。
耳まで真っ赤にして。

Al「そう、怒るなって」
Me「もう知らない!!」
Al「うーん・・・こりゃあどうすれば・・・」

Alexは困り果てる。
と、ここで彼は思いついたように提案する。

Al「なら確認しに行くか?」
Me「!?」
Me「ええ、行きましょうよ!!」
Al「あ、ああ・・・」
Al(めんどくさいことになったな・・・)





PM11:12 NEW PORT 空き地
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Me「とりあえずSSVまで飛ばして」
Al「本当に行くのか?」
Me「行くに決まってるじゃない。何よ今更」
Al「めんどくさくてな」
Me「問答無用! 行くわよ!!」
Al「はいはい」

彼らはヘリに乗り込む。





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Me「曇ってきたわ・・・」
Al「そうだな・・・。まるで何かが俺たちの邪魔をしてるようだ・・・」
Me「お前は何を言ってるんだ」
Al「ん? 別に変なこと言ったつもりはないが」

雲行きが怪しくなり、あたりはどんよりとした灰色の雲に覆われる。

ラジオ「午後か・・・局地・・・な・・・め・・・が降・・・ようです」

ラジオにもノイズが入る。

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Me「ラジオのノイズが酷いわ」
Al「海の上だからじゃないか?」
Me「そう・・・」

Meerの表情に不安が浮かぶ。

ヘリは北へ北へと進む。

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Al「あれは・・・」
Me「本当だったんだ!」

彼らは”ヘリ墓場”を見つけるのだった。

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Al「何でこんなところに捨てられてるんだ・・・?」
Me「わからない・・・けど不気味ね」
Al「そりゃあこんなに軍用ヘリが捨てられてたら不気味に決まってるだろう」
Me「本当にこの世のものなのかしら? もっと近づけない?」
Al「これ以上はヘリが堕ちちまう」
Me「写真だけ・・・」

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彼らはこの場所を去る。

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Al「本当にあったんだな」
Me「ええ・・・そうね・・・」

彼らは自分たちの家に向けてヘリを飛ばす。

幸い、天気は曇りのままで雨は降る気配はなかった。


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Al「結局あそこは何なんだ?」
Me「わからないけど・・・私たちが関わっていい場所ではないわね」
Al「・・・そうだな」

彼らはタブーをふれたような気分になっていたのだった。





翌日 PM01:10 SI 遊歩道
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海岸線に止められた一台のスポーツカー。
その横にはSSVを望む女性があった。

女「呼び出しは終わったし、あとは向かうだけ・・・ふふっ。どんな顔をするかしら」

不気味に笑みを浮かべた彼女は車に乗り込み南へと進路を向け、アクセルを踏む。

PM02:01 SI THE BIG SHOT CASINO
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名所でもあるこのカジノ・・・。
夜とは違い、営業時間外であるこの時間帯のカジノは不気味にたたずんでいるだけであった。


グオーン!!

甲高いエンジン音がここに吸い込まれるように入っていく。

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先ほどのスポーツカーが停車する。

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女「時間ちょうど・・・あの人の話だと時間にルーズな男らしいわね・・・」

深い考え事をしている女は車を止めた後、屋上へと昇って行った。


――数分後

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一台のアメリカンマッスルが同じ駐車場へと入っていく。

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中から降りてきたのは・・・。

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――そう。
Spireである。


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Spire(Sp)「呼び出したのはお前か?」
女「・・・」

女はSpireの呼びかけに応じない。

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Sp「おい、聞いてるのか?」
女「あなたがSpire・Warね・・・。昏睡状態の身元不明の男・・・いやDenie・Warか」
Sp「さっきから口を開けばわけのわからないことを・・・」

女「私ね、あなたの弟のDenie・Warの彼女よ」
Sp「・・・」
女「その様子だと聞かされてなかったのね。まぁ、いいわ」

女「あの人を探して世界中飛び回った。マフィアのボスも殺したこともあったし、スパイだってやってのけた」
Sp「・・・」
女「でも・・・あの人は見つからなかった」
Sp「・・・俺も数カ月前まで見つけることはできなかった。ずっと死んだものだと思ってたさ。でも数カ月前、身元不明の昏睡状態の男がSIの病院に移送になった。そこでそれが俺の弟ってことが分かった」

彼らの間で繋がっているのはSpireの弟、Denie・War。
言葉さえ交わすことのできない”実弟”は不思議な縁を生み出した。

女「・・・でも見つかってよかったわ・・・。話すことさえできないけれど・・・」
Sp「・・・」
女「今回呼び出したのは、あなたの暗殺を依頼されたから・・・けど愛した人の実兄を殺すことなんてできない」
Sp「私は・・・しばらくこの町にいるわ。用があればこの連絡先に・・・」

彼女は紙切れを渡すとヘリに乗り込む。

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女「また機会があれば・・・会いましょ」

ヘリは飛び立っていく。
そしてビルの林の中へと消えて行ったのだった。

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Sp「・・・」

彼はしばらく彼女が飛び去った方を見つめた後、階段を下りていく・・・。