cut1



サンフィエロ イースターベイシン 倉庫エリア
gallery1

夜が明けはじめたばかりのイースターベイシン。空はほんのりと明るくなりつつある。
このイースターベイシンはサンフィエロを語る上では欠かせない地区だ。貨物船やタンカーの停泊場所となっているイースターベイシンは倉庫なども多くあり、コンテナなども積みあがっている。
要するに貿易の玄関口ということだ。サンフィエロが大きく発展したのもこの場所があってこそなのだ。

そんな工業エリアには相応しい1台のバンと、そのバンに寄りかかる1人の女性。
ルチャドールズのボス、タイラーだ。

Tylor(Ty)「ったく、ジェイクの野郎遅ぇなぁ…」

どうやらメンバーのジェイクを呼んだようだが、まだ到着していないようだ。
と言っているうちに、この工業エリアには似つかわしくない、甲高いエンジン音が鳴り響く。

gallery2

夜明けでまだ薄暗いということもあり、このスポーツカーはライトが点灯している。
無論視界が少しでも悪いときはライトを点灯した方が良いのだが、アメリカ人からしてみればそこまで大きな問題ではないのだ。

gallery3
Jake(Ja)「こんな夜明けにどうしたんだよ」
Ty「どうしたもこうもブツの回収に決まってるだろ」
Ja「なら何もこんな時間にやる必要ねえだろうよ…」
Ty「朝になったら船が行っちまう」
Ja「おいおい、送り主はどこに置いてんだ」

ボスたちが回収しに来たのは取引相手の”スパーク”の置いて行ったブツ。
彼女は怪しまれぬようにイギリスへと発つ輸出船の甲板に”ターゲット”を置いて行った。

Ty「水に浮かぶ鉄の上で輝く二つの牡牛座」
Ja「あ…? どういう意味だよ?」
Ty「んなのもわかんないのかお前。馬鹿だな」

ボスはこの暗号を解けないでいるジェイクをなじった後で解説を始める。

Ty「お前にもわかるように言うと”輸出船の上に2台のトーラスを置いた”ってことだ」
Ja「輸出船なんてここにはいっぱいいるだろ。どうやって割り出すんだよ」
Ty「今日の明け方に港に停泊してる船はこのイギリス行きの貨物船だけだ」
Ja「なるほどな…」

ボスはこう見えても賢く、並大抵の暗号なら簡単に解き明かす…といいたいのだが、この暗号を解いたのは別の人物。
無論ボスはそのことを言うわけでもなく、ジェイクを馬鹿にする。どっちが馬鹿なのか。

Ty「ジェイク、さっさと行くぞ」

ボスの掛け声と共に2人は港の貨物船へと近づく…がここで予定外のことが起こる。

Ja「おい、あれ…」
Ty「チッ、サツか…どこで漏れたんだか」

gallery5

2人を待ち受けていたのはゼン警察。
盗聴を避ける為に、電話は短く、会話も暗号的にしていたのだが…。

Ja「どうするんだ? ボス」
Ty「少し様子を探ってみるのが一番だろうな」

2人は物陰へとかくれ、ZPDを伺う。今のところ動きはないが、武器を奪われてしまっては元も子もない。

Ty「夜明けまで待って強行突破、しかなさそうだな…」

夜明けまでは後15分。今は陽の位置の関係で貨物船の影に警官たちが隠れてしまっている。
この状態で突っ込んで行っても弾を当てるのは簡単な事じゃない。ボスは夜明けを待つことを選択する。

Ja「おい、朝には出港するんじゃねーのかよ」
Ty「サツがいる以上出港しねーだろ…お、明けて来たぜ」

陽が完全に上り始めるのを確認すると、ボスはソードオフショットガンを取出し、警官目がけて発砲する。

gallery8
Ty「おらおら!あの世に逝きな!!」

ジェイクもボスの奇行を確認するとともに、ジェイクもイングラムMac10を取出し、警官目がけて発砲する。

gallery7
Ja「ボス、あんまりはしゃぎすぎるなよ」

ジェイクはボスを軽くなだめながら的確に警官を始末していく。
特殊部隊が乗るであろう、装甲車があるが、これは特殊部隊を輸送しているわけではなさそうであった。

gallery9

ドーン!!


次の瞬間鳴り響いたのはパトカーが爆発する音。どうやらガソリンタンクを狙い撃ちして爆破したようだ。
その隙に2人は船の甲板へと走り出す。途中、ボスは落ちていたM4を拾い上げる。

gallery10
Ty「ここはアタシが守る。お前は回収して来い!」
Ja「おい、車は2台じゃねーのかよ!」
Ty「そうだったな、なら適当に殺してから行くからお前は上の敵を頼む」
Ja「言われなくたってそうするに決まってるだろ!」

タイラーは拾ったM4で警官の残党を始末する。
一方、ジェイクは上に居る警官を的確に始末する。

gallery11
Ja「ったく、めんどくさい野郎共だな…さっさとくたばれよ」

ジェイクは悪態をつきながら弾丸を警官に浴びせる。ハチの巣にされた警官たちは絶命し、口から血を吐く者も見られた。

ジェイクは上の敵を倒すと一足先にブツが置いてある場所へと向かう。
一歩遅れてボスがジェイクの元へと駆けつける。

gallery12
Ja「これがブツか?」
Ty「ああ、間違いないだろ。あいつの指定した車種だ」

2台の赤いフォード・トーラス。「SHO」のエンブレムが刻まれている。しかし同じ色の車を2台も用意するとは、なかなか”スパーク”も悪だ。

Ja「増援が来る前にズラかろうぜ」
Ty「お前に言われなくたってそうするに決まってるだろ」

2人はZPDの増援が来る前にさっさと2台のトーラスにそれぞれ乗り込む。
当初の予定ではこのトーラスは海に沈めて、ブツは準備しておいたバンに積み込む予定であったが…。






――時は遡る事およそ1日前

ラスベンチュラス ストリップ大通り
gallery22
小町「参ったさね…」

昼下がりのストリップ大通り沸きにあるカジノの駐車場で彼女は休憩していた。
先ほどまで、レミリアが乗るフェラーリを追跡していたのだが、一瞬のうちに撒かれてしまったのだ。

小町「いくらフェラーリでもあの距離を一瞬で逃げ切るなんて不可能なはず…いったい奴ら何をしたんだ…?」

小町は説明がつかないこの現象に思案する。
フェラーリを目撃したであろう市民にも少し話を聞いたが、残念ながら一瞬のうちに見失ったとのことで明確な情報は得られなかった。

四季「すみません、小町。待たせてしまって」

と、ここで小町の思案は途切れることとなる。上司である四季が到着したのだ。

gallery23
小町「あ、四季様」
四季「すみません、すこしタレコミがあったものですから」
小町「タレコミ…?」
四季「警察署に行く必要があります。話は車の中で」

と、四季は言うので小町は車のロックを解除し、車へ乗りこむ。
四季もすかさす助手席へと座る。小町はそれを確認すると車をスタートさせ、警察署へと向かう。

gallery24

車は大通りを出ると北へ直進する。
元々交通量の多い通り、それもお金持ちも多く暮らす住宅地なので車道には高級車や維持費の掛かるクラシックスポーツカーなどが走っている。

小町「レミリアについては電話で申した通りですが、四季様。タレコミっていうのは?」
四季「不審車両がラスベンチュラス国際空港で見つかったそうです。現在身元確認中で何とも言えませんが…。」
小町「不審車両…?」
四季「同じ色のアメリカ製セダン2台です。怪しいといいざるを得ません」
小町「なるほど…」
四季「現地警察に依頼して車両にGPSを仕掛けておいてもらいました」
小町「犯行はスカーレットグループによるものですかね…?」
四季「現段階では何も言えませんね…。確かなのはこの間の武器屋強盗が関わっていることでしょう」

ZPDが何故、ブツのありかを突き止めたか。
それは”スパーク”があらかじめ用意しておいたセダンが関係していたのだった。





――時は進み

サンフィエロ イースターベイシン 倉庫前
gallery26
Carla(Ca)「…やっぱり”タレコミ”通り、彼は現れたわね…内部タレコミだから当然と言えば当然なのだけど」

倉庫前でカメラを持って立っていたのは、カーラ・ラダメス。
チャンネル6のジャーナリストである彼女はさまざまな対象を調査している。
この”ルチャドールズ”も調査対象なのだろう…とはいえ、チャンネル6でルチャドールズに関連したニュースはあまり聞かない。

Ca「フェイズ2に移りましょうか…彼に直接会ってみるべきだわ」

gallery27

彼女はそう呟くと愛車であるコノシェンティに乗り込む。
エンジンを始動させると、彼女はベイエリア地区に向けて車を走らせる。

gallery30

彼女は電話を取り出すと、あるところへ掛ける。

Ca「もしもし、カーラだけど…」
?「カーラさんですか」
Ca「”彼”をパリセーズ地区のデートスポットに行くように仕向けてくれる?あなたが同伴でも構わないわ」
?「…わかりました」
Ca「お願いね」

彼女は微笑むと電話を切る。彼女の電話の相手はわからず、また”彼”とはいったい誰なのかも検討が付かない。