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ラスベンチュラス ZPD ラスベンチュラス警察署 取調室前
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小町「四季様、どこか行かれるんですか?」
四季「キンジー・ケンジントン。彼女に会ってきます。パチュリーの居るこの部屋には誰も通さないようにしてください。彼女を狙っている組織が多かれ少なかれあるはずですから」
小町「わかりました」
四季「万が一何かあればこれを使っていただいて結構です」

スカーレットグループの重役、パチュリー・ノーレッジの取り調べにこぎつけた四季映姫。
汚い手を使っていないと言えば嘘になるが、そのすべては「白か黒か」を厳正につけるためにはこのような手段になってもしかたないのだろう。

スカーレットグループを狙う組織の存在は表向きには隠されている。それはもちろんZPDでさえ把握していない。あくまで噂程度のレベルなのだ。
ただもしも、ここで彼女の任意同行が明らかになれば、重役である彼女を狙う人物は多いはずだ。
四季は万が一に備えて小町にピストルを手渡す。警察が正規採用するNine-Oh-Nineハンドガン。制度が高く、クリティカル率も高い万能性に優れたハンドガンだ。

四季「……」

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――”そうやってあなたは無実の人間を黒にするのね”
――――”世間から見れば、あなたの方が断然黒よ”

四季(世間からしてみれば私は黒なのでしょうか)

四季はパチュリーを任意同行する際に言われた言葉を思い出す。無論それはあくまでスカーレットグループの面々からしたことなのかもしれないが。

もちろん四季は自分を棚に上げるつもりもなければ、パチュリーの言葉を真に受けるつもりはない。それは四季の性格がそうしているのだ。


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四季は市警のパトカーに乗り込むと、とあるホテルに向けて車を走らせる。
特殊な形状の道路であるが、慣れてしまえばどうという事はない。事故は確かに多いが。

昼過ぎのラスベンチュラスの交通量はいつもと変わらず、多すぎず少なすぎずと言ったところだ。
シーズンオフということもあるが、シーズン中は日夜渋滞が発生するときもある。

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四季がパトカーを止めたのはとあるカジノも併設した、いわゆるカジノホテル。
ラスベンチュラスにはこのようなホテルは多く存在し、このホテルも有名どころの一つである。

四季はホテルに足を踏み入れると、事前にもらっていた部屋番号へと向かう。

四季「スイートルームですか…」

四季は部屋の前に来て驚愕する。その部屋はホテルでも数部屋しか用意されていないスイートルーム。
この部屋で待つであろう、人物の性格からこのような部屋を使うとは思っていなかった四季は驚きを隠せないでいる。
四季は一呼吸置いた後、部屋へと足を踏み入れる。

?「いらっしゃいになるのかしら?」

四季が部屋に入るのを待ちかねていたかのように声がかけられる。

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四季「ええ、まぁその表現が正しいでしょうね…ミス・ケンジントン」

このスイートルームに泊まっていたのはキンジー・ケンジントン。
元FIB捜査官の彼女は今はZPDのトップである、四季の側近として働いている。
というのも彼女、とある捜査がきっかけでFIBをクビにされてしまっていた。無論彼女はそのことは一切気にしていないのだが。

彼女がどのような経緯で彼女の側近となったかはいずれ語るとして、彼女がする仕事は複数あり、中でも一番大きい仕事はZPDの調査内容や報告などをまとめあげ、政府機関に公表すること。ホワイトハウスで言う報道官に当たる仕事を任されている。
彼女は口が汚いので悩みの種のように思えるかもしれないが、そのずば抜けた知識でそれを補っているので、あまり問題にはなっていない。

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Kinzie(Ki)「ここに来たってことは報告内容の確認に来たのかしら?」
四季「ええ、貴方の言う通り、報告内容を確認しに来ました」
Ki「あなたの携帯にメールで送っておくわ」
四季「いつも助かります。ミス・ケンジントン」
Ki「あなたが私を助け出してなかったら私は今頃ここにはいないわよ」

四季がここに来た理由は一つ。キンジーにどのような内容を政府機関に報告したのかを確認するためだ。
これはいつものことであり、1週間程度の間に1度はこうして確認するために2人は顔を合わせている。

四季「あなたがスイートルームを使うとはなんだか意外ですね」
Ki「私は別にどこでもよかったのよ? どうせベットで横になっても睡眠はしないし」
四季「ラスベンチュラスに来る際にこの部屋を指定されたということですか?」
Ki「ええ、そんなところよ」
四季「そうですか…。それはそうと、偶には外で体を動かしたらどうですか? いつもパソコンでハッキングしているようですが…」
Ki「あなたの見えないところで運動はしているわ。私からしてみればパソコンは彼氏にだってなるわよ」
四季「いくら世界で5本の指に入るようなハッキング能力を持っていてもパソコンが無ければ話になりませんよ」
Ki「ええ、あなたの言う通り。でも最近はスマホ一つでハッキングができる時代なのよ?」

キンジーは誇らしげに最新型のスマホを四季に見せる。四季からしてみればスマホなどどれも同じに見えるのだが。

四季「とりあえずメールは確認しておきます。しばらくはこの部屋が貴方の家みたいになるんでしょうねぇ…」
Ki「慣れているから問題ないわ。パソコンが使えればどこも一緒よ」

2人はやり取りを終え、四季は部屋を退室する。キンジーのプライベートがどのような物かは知らないが、四季はこの調査が終わったら一度キンジーとじっくり話そうと考えるのだった。


サンフィエロ サンタ・フロラ 総合病院
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ここ、サンフィエロに存在する大きな病院の駐車場に一台の黒い外国製の高級セダンが止められていた。
運転席にはカーラ。助手席には白衣を着たこの病院に勤めていると思われる男性がおり、何やら話し込んでいるようだ。

Carla(Ca)「…それで、あなたが見たその現場というのは?」
男「ここの名医でもあるドクターが院長にお金を渡しているのを見てしまって…」
Ca「なるほど…興味深いわね」

彼女はこのサンフィエロ総合病院に隠れる”裏事情”を取材しているようだ。
この医者は取材に協力しているが、そのようなことをして大丈夫なのだろうか…?
いずれにせよエイリアンがアメリカに干渉している現代においても腐敗しているところは腐敗しているようだ。

男「そろそろ昼休みが終わるのでこれで…」
Ca「貴重なお話をどうもありがとう。是非報道を検討させてもらうわ」

男はカーラの車から降りると、周りに人がいるかを気にしながら、病院へと戻っていく。
カーラは面白いネタが入ったと、すぐさまメモに書き留めておく。パソコンに書き留めるのも良いが、ハッキングされるリスクもあるので、手書きで紙を使った媒体で留めておくのが一番なのだ。

彼女は車を走らせ、次なる取材場所へと移動を開始する。

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ちょうど時刻は午後1時30分を指したところ。昼休みが終わり、オフィスへと戻る人が目についた。
カーラはそんな人々を横目に、車を走らせる。と、ここで彼女のパソコンに一つの通知が届く。

「新着メール1件」

カーラはそのメッセージを確認することなく、そのまま取材場所へと急ぐ。
というのも道路上でパソコンを弄るほど、危険な運転もないからなのだが。

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カーラはしばらく車を走らせた後、とあるホテルの前で車を止める。
サンフィエロでも人気の高いホテルの一つ、「The Biffin Bridge Hotel」だ。

彼女はここに来て初めて受信されたメールを確認する。

FROM:マーガトロイド探偵事務所
TO:カーラ・ラダメス
TITLE:調査報告 その2
対象はチャンネル6本社に侵入出来なかった模様。発言内容からして、自社へ帰還したものと思われる。これ以上の尾行は無意味と判断したため、別の調査を開始する。

Ca「…どうやら門前払いは上手くいったようね。次はどんな手を使ってくるのかしら?」

カーラはメールの内容を確認すると、してやったりという表情をする。
自分のテリトリーを邪魔されるのは確かに良い気分ではないのだが、狙われるというのも面白いものだと彼女は微笑む。


――同時刻

サンフィエロ ドハティ サプリ製造工場
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Jake(Ja)「…つまりどういうことだ?」
Sasha(Sa)「何回言わせるんですか?」
Sherry(Sh)「まぁまぁ、サーシャちゃん…。ジェイクだって好きで言ってるんじゃないんだし」

設備を別の部屋に移設したサプリ製造工場で話し合っているのはルチャドールズの面々。
無期限休暇を貰っているシェリーはそこまで加担こそしないが、ジェイクの身を案じて彼につきっきりでいる。

Sa「もう一回いますよ? いや、やっぱり分けて行った方がわかりやすいですね…」
Sh「ベイサイドの港がダナンボーイズから中国トライアドの物に変わったの。さらにチャイナタウンの一角も話によれば占拠しているらしいの」
Ja「なるほどな…」
Sa「ラスベンチュラス国際空港のカメラにホワイトロックファミリーの長、レティ・ホワイトロックが確認されました」
Ja「つまりどういうことだ?」
Sa「ロシアのマフィアがサンアンドレアスに進出してきたということです」

サーシャとシェリーによる解説が行われる。
かいつまんだ説明ではあるが、大変わかりやすい説明なのに変わりはない。彼女たちが言う通り、ここにきてルチャドールズの天下にも近かったサンアンドレアスのギャング事情が揺るいでいるのだ。

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Tylor(Ty)「どんな奴が来ようとここはアタシたちの町だ。誰にも渡さない」

しばらく黙っていたボスが口を開ける。
サンアンドレアスでルチャドールズがより発展してきたのは先代のボスが足場を作り、それをさらに発展させた現ボス、タイラーの功績が大きい。
ここにきてルチャドールズの成長を止めるわけにはいかないのだ。

Ty「シェリー、チャイナタウンを偵察する。一緒に来てくれ」
Sh「ええ、一緒に行きましょ」

ボスはシェリーに同伴するように言う。シェリーはもちろんボスの指示に対して優しく微笑みながら答える。

Sh「サーシャちゃん、ジェイクをお願いね」

シェリーはそれだけを言い残すとボスの後に続いて部屋を後にする。

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Sa「さて…シェリーさんが居なくなったので話しますけど…」
Ja「話って何だよ?」
Sa「昨日はシェリーさんと随分お楽しみでしたね、ジェイクさん」
Ja「ちょっと待て、なんでお前がそれを…」
Sa「…なんでもありませんよ」
Ja「そこまで言いかけてなんなんだよ?」

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Sa「触らぬ神に祟りなしです」

サシャは退室間際にジェイクに意味深な言葉を残して部屋を後にする。
ジェイクはいったいどういうことなんだ、と考えながら一人部屋の中で考えにふける。

一方、ボスとシェリーはと言えばチャイナタウンへ偵察に向かっているところ。

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都心からほど近い、このチャイナタウンは中国系の移民が多く住むことから名づけられた街だ。
中華料理屋や中国からの輸入品を扱うショップが多く立ち並んでおり、昼間時はそのランチの安さから中華料理を求めてこの街に来る人も多い。

ここしばらく、ルチャドールズはギャングの支配下に置かれていないチャイナタウンを野放しにしていたが、付近のルチャドールズメンバーから中国トライアドの目撃情報を知らされ、確認しに来たのだ。

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Ty「確かに中国トライアドのような奴らがほっつき歩いてる」
Sh「チャイナタウン以外にサンフィエロの北にある港町、ベイサイドの港にもトライアドが居る報告が来てるわ…」
Ty「奴らに好き勝手はさせない…」

ボスはそれを心に決めると車をUターンさせ、ルチャの拠点である工場へと戻っていく。