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サンフィエロ SAPD警察署本部
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小町「というわけでして…どうやらサンフィエロを拠点に活動するレーサーチームの仕業のようです」
四季「報告ありがとう、小町。サンフィエロの警察署本部に来るのも久しぶりですね……」

小町から囚人護送車が襲撃された報告を受け取る小町。流石は警察組織だけあり、既にどこの犯行かは調べがついている。
事故で横転した囚人護送車には今回逃亡したエドムンド・マクブライド以外にも約10名ほどの囚人が乗っていた。

皆、逃亡を図ったのだが軒並み駆けつけてきた警察官の捜索によってすぐに見つかっている。
…のだが、ただ一人、エドムンドのみが見つかっておらず、現在も逃走中。
ZPD…いや、既にSAPDと名を元に戻しているも同然の四季の管理下にあるこの警察はエドムンドがサンフィエロをメインとしたレーサーチームのメンバーである事まで突きとめている。

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小町「犯行に使われたのは黒いカリン・クルマ3台だそうで…いずれも装甲がされていたと目撃証言が取れています」
四季「時期的にもベースとなった1台はサンフィエロ警察署から盗まれた麻薬シンジケートの物でしょうね……となると残りの2台はどこから調達してきたのか…」
小町「ベイエリアの防犯カメラにトライアドから逃げるカリン・クルマが撮影されています。今回の襲撃事件の2日前です」
四季「残る1台はおそらくイースターベイシンで毎晩行われているストリートレースから得た物でしょう」

流石は洞察力やサンアンドレアスの犯罪事情に詳しいだけのことはある。
四季は今回使用されたカリン”装甲”クルマがどのような経路で入手されたのかをあらかた推測する。
小町はそんな四季に驚きつつ、次なる報告を続ける。

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小町「IAA内部でどうやら派闘争いが起きてるみたいですが、こちらに関してはどうします?」
四季「そうですね……今のところ我々には関係のないことですが……近々NOOSEの出動要請が出されているみたいですし、様子見ですね」

小町はIAA内部で発生している派闘争いについて触れる。
IAA”International Affairs Agency”アメリカ国際情勢局は現在、一色触発とまではいかないものの、IAA長官レイラ・モートンととあるIAA上官とで摩擦が起きているらしい。
どういった経緯でこの派闘争いが起こっているかはわからないものの、増えるIAA関連施設の襲撃事件の発生。その際行われた内部調査によって判明した。

四季「小町……”例の件”はどうなったのかしら?」
小町「”例の件”なら先ほど連絡が来まして、午後にはサンフィエロには到着するらしいです」
四季「……今まで文化の1つだと思ってみて見ぬふりをしていましたが……流石に今回は動く必要がありますからね。”彼”には十分働いてもらうほかありません」

四季と小町が口にする”例の件”とはいったい何なのだろう。
と、ここで四季はおもむろに携帯を取出し電話を掛ける――コール先はキンジー・ケンジントン。四季の秘書ともいうべき存在だ。

四季「……ミス・ケンジントン、あなたに1つ仕事があります。ええ、話はこちらで。サンフィエロ行きの飛行機を手配しましたからすぐにこちらに向かってきてください」


サンフィエロ国際空港
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サンフィエロ国際空港。
このサンフィエロ国際空港は州内の主要都市だけではなく、アメリカ国内の主要都市、リバティーシティやバイスシティ、
そして海外へと経つことも可能な大きな空港の1つである。

此処に降り立つ一人の男――そして女性。
ラスベンチュラス発サンフィエロ着の飛行機とリバティーシティ発サンフィエロ着の飛行機が奇しくも到着時間がほぼ一致。
空港からタクシー乗り場やバス乗り場に出てくる客はリバティーシティからの商社マンとラスベンチュラス観光を楽しんできたサンフィエロ市民、ラスベンチュラスから観光しに来た乗客とで溢れ返っている。

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Kinzie(Ki)「サンフィエロに来るなんて何か月ぶりかしら…」

降り立ったこの女性はキンジー・ケンジントン。先ほども説明したのでこれ以上説明する必要はないだろう。
四季に呼び出された彼女は無事にラスベンチュラスからサンフィエロへと到着する。

一方こっちの男は……

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――クロード・スピード。運び屋として名の知れている一流のドライバーだ。リバティーシティを拠点としている彼がここに呼びだされた理由。それは――。



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サンフィエロ警察署。キンジーがサンフィエロのホテルにチェックインをし、警察署へと来るころにはすっかり日は暮れて時刻は夜の7時。
現在警察署に居るのは夜勤の警察官くらいなもので、大半は5時を過ぎたころからちらほらと帰宅をし始めて、所内は昼と比べると少しばかり人数は少なく感じる。

キンジーは久しぶりのサンフィエロ警察署の新鮮な空気を吸いながら四季の待つ部屋へと向かう。

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四季「急にお呼び立てしてすみません、ミス・ケンジントン。貴方にしか頼めない仕事があるんです」
Ki「その点は問題ないわ。貴方と私の関係だもの。貴方の依頼なら簡単には断れないわ」

キンジーは1人を好むタイプの人間だが、キンジーを助け出し、自らの元に置いた四季のことは数少ない彼女が信頼している人間。
お互いつかず離れずの距離を好むというのも互いが相手を尊重し合い、助け合う仲になるのを増幅させたのだろう。

小町「四季様、呼んできますか?」
四季「ええ、お願いしますね、小町。その間に私の方で説明をします」

四季は小町に”来客”をここへ通すように指示すると、キンジーを腰かけさせ自らも椅子に腰を掛けて話を再開する。

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四季「囚人護送車が襲撃されて1人脱獄したのは知ってますね?」
Ki「ニュースで嫌と言うほど見たから知っているわ。それがどうかしたのかしら?」
四季「貴方はレーサーチームに加担している。おそらく今回の主防犯のメンバーから見ても情報を提供したのは貴方でしょう?」
Ki「ええ、彼らに情報を流したのは私よ。彼らに頼まれたから断るわけにもいかなかったから」

今回の囚人護送車の詳しい出発日時を教えたのは紛れもない彼女。しかし四季は彼女を罪を問いただすために呼んだわけではない。

四季「今回あなたを呼んだのは罪を問いただす為ではありません。貴方を裁くのは私ではなく司法です」
Ki「貴方は裁かなくても私を逮捕することはできる。逮捕するとでもいうのかしら?」
四季「わざわざ私の秘書を逮捕する必要性なんてありますか? 罰として、と言えばいい方は変ですが彼らの邪魔をする者の手助けを貴方に頼みたいんです」

四季の”頼みごと”はキンジーに”レーサーチーム”を邪魔する存在の手助け。
キンジーからしてみればレーサーチームは所詮雇い雇われ関係。それに彼女のさじ加減次第ではいくらでもレーサーチームを逃がすための工作は可能である。
四季もそこは理解しているのだろう。となれば四季の狙いとはいったい…?

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小町「四季様、連れてきました」
四季「ありがとう小町。紹介しますね。彼がクロード・スピード……私が雇った運び屋です」
Ki「私はキンジー・ケンジントン。彼の面倒を私が見ればいいのかしら?」
四季「簡単に言えばそうなりますね。後は任せます」

四季はキンジーに一言言い残せば小町を連れて部屋を後にする。
キンジーは部屋を後にする四季を不思議そうに眺めながら目線をクロードに向ける。

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Ki「クロード、と言ったわね。貴方の話は少しだけ耳にしているわ。リバティーシティーを中心に活躍する運び屋って」
Claude(Cl)「………話すのは苦手だ」
Ki「私は人と居るのがあまり好きじゃないの。でも貴方みたいなタイプなら傍に居てもあまり気にならないわ」

お互いに一癖も二癖も変わっている者通し。仕事とはいえお互い出来るだけ良い関係でありたいもの。
キンジーからしてみれば物静かで極度の無口、なんていう人とこうして向かい合い、話すことなんて初めての経験でしかない。
と言うよりもこのレベルの無口の人が居るなど思ってもみなかっただろう。

Ki「貴方家はあるのかしら?」
Cl「………カールトンハイツの物件を貸し出された」
Ki「なら問題はなさそうね」

と、ここでキンジーの携帯にメールが受信される。送り主は四季映姫。何か言い忘れた事でもあったのだろう。
メールの内容によれば彼に伝えておいてほしいことがあるらしい。彼の使用している車が明日の正午頃にサンフィエロ国際空港に空輸されるらしい。

Ki「貴方の車が明日の正午にサンフィエロ国際空港に届けられるそうよ」
Cl「………」

キンジーはクロードにその旨を伝える。が、クロードはと言えば聞いてはいるのだろうが小さく「そうか」とでも言わんばかりに頷くだけ。
そんな彼に少々戸惑いを受けつつ、キンジーは席を立ちあがるとクロードをそっちのけで部屋を後にする。

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Cl「………」

一人取り残されたクロードは部屋を少し見回してから部屋を後にする。
無機質な会議室。特に張り紙があるわけでもなければ、なにか置いてあるわけでもない。

外に出れば時刻は夜の10時を回ったところ。24時間営業のコンビニやファーストフード店でもない限りお店と言うお店のほとんどは既に店じまいをしている頃合いだ。
サンフィエロという大都市は眠ることをしらないのか、既にこの時刻でありながら中心街はそれなりの賑わいを見せている。

冷静に考えてみればサンフィエロは彼が活動していたリバティーシティに通ずるところもある。
街から少し外れた住宅街、中心部にほど近い中華街にそこから南に行けばサンフィエロで最も大きいクラブ、クラブ・リーガル。
観光するにも遊んで暮らすにも最適な場所ともいえるだろう。

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警察署を後にし、付近を走るタクシーを捕まえればクロードは四季から提供された隠れ家、カールトンハイツへと向かわせる。
ウィンディウィンディズストリートの一角にあるこのハイツは隠れ家としては最適な広さ…とは聞いているがどれくらいの広さかまでは聞いていない。

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後部座席から、サンフィエロの街並みを望みまだ始まったばかりの新しい生活がどうなるかも予想がつかずにただ無機質に一点を見つめる。
ライティングはすべて明るすぎるくらいに光っているのだが、このリバティーシティよりも眩し過ぎるライトの原因は主にゼン帝国がサンフィエロに多すぎるくらいに立てたこのビル群のせいなのだろう。
どんな技術を使っているのかはわからないが、とにかくこのビルは実態のある幻、と言う表現が正しいのかもしれない。

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カールトンハイツに到着したクロードは荷物を寝室に運び込めば、仕事道具の一つである銃の手入れを開始する。
用意した武器はMcManus 2020とRapid Fire SMG "イングラム Mac10"と全く真逆の武器。しかし仕事柄この2つで充分なのだ。

Cl「………」

携帯のディスプレイに表示された「キンジー」の名前。どうやらメッセージのようだが、彼は確認することはせずにそのまま携帯をベッドに放ってシャワーへと経つ。
まずはこのサンフィエロ、ひいてはサンアンドレアスの地理を覚えるのが先決だ。明日は空港に愛車である車を数台取りに行く必要もある。