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ロスサントス ダウンタウン アルター本社ビル
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Kinzie(Ki)「リストは形式としてみたいね。しっかりとしたものでは存在してないわ。それに私が思ってたよりも多いわね……」

キンジーは幽香の案内の元、アルター本社ビルを訪れ、アルター社製スーパーコンピューターを使用してゼン帝国のチップの解析を進めていた。
解析を始めるのにいろいろ準備が必要となり、すぐに開始とはいかなかったが、その時間を除き、解析をし始めてからはや72時間は経過しただろうか。

シップの方はと言えば、SAPDの職員に頼んで格納庫にしまってもらい、すぐには見つからないように手配をしておいてもらった。四季には携帯のメッセージでその旨を数日前に伝えたので大丈夫だろう。

さて、解析率で言えば現在の進行度はおおよそ3割に満たない程度と言う所で非常に解析には時間を要していた。
エイリアンの書くプログラムは、地球に存在するスーパーコンピューターで書かれたプログラムとは異なるものなのでそれだけ時間がかかる。
似ていることに変わりはないのだがヘタに弄るとデータがお釈迦になりかねない。それだけは絶対避けたいのだ。

求めていた情報の1つ、キンジーが作った模擬的な”リスト”の答えだがしっかりとした物ではないことがわかった。
つまり、エイリアンのその日の気分や後々で手のひら返しをした彼らから見て”邪魔者”を次々に攫っているのだろう。
そのおかげか、キンジーが予想していたよりももっと多くの人間の数が記されている。

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Ki「しかしこれだけの人を攫って何をするつもりなのかしら?」

次にキンジーが見つけたのは”シップ”を強奪した時点での攫われた人のリストと思われるデータ。
既に100人ほど消息不明になっていたわけだがこのリストを見る限り、その大半は行方不明として警察に報告が寄せられている人物の名前ばかりだった。

Ki「全員見る限りエイリアン反対派の人間とエイリアンの兵器や技術を強奪した人たちね。エイリアンたちを裏切った人間も居るみたいだけど……」

3割程度の解析でこれだけ目当ての情報が得られるのは上々。
しかし残りの7割にはいったいどんなプログラムやデータが隠されているというのだろうか。それともダミーのデータだとでもいうのだろうか。

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Ki「”テキストアドベンチャー”? ……これは必要なさそうだけどバックアップしておきましょう」

おそらくジニャックの趣味によって作られたテキスト形式のミニゲームなのだろうがエイリアンの作ったゲーム等あまり興味は持てない。
しかしもしかすれば何か使える情報が眠っているとも限らないので一応万が一のことを考えてバックアップをしておく。

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Ki「次はどれをブラッシュアップしようかしら。にしても1人だと本当に大変ね、誰か頼める人はいないかしら」

一応これでもアルター社のプログラマーを幽香が派遣してくれたこともあって解析には確かに1人でやるよりもいくらかはマシではあるのだが、残念ながら戦力になっているとはお世辞にも言えない。
ちなみに既に彼女は3日3晩仮眠すら取らずにコンピューターと向き合っている。よくもまぁこれでノイローゼにもならなければ疲れを感じないものだ。

とは言っても流石にこれ以上は危険と判断したのか、アルター社のプログラマーから睡眠の催促をされる。万が一これ以上続ければ命にもかかわってくる。

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プログラマー「流石にこれ以上は危険です、ミス・ケンジントン。一度睡眠を取ってください」
Ki「はぁ……なんで睡眠なんて言う邪魔なものがあるのかしら。まぁいいわ、でもその間の解析は誰がやってくれるの?」
プログラマー「それならご安心ください。幽香様がこちらに戻ってくるそうで、解析を引き継ぐそうです。安心して一度おやすみを取ってください」
Ki「それなら大丈夫そうね。ならお願いするわ」

幽香はあのように見えてハッキング技術には長けている、というのはこのプログラマー談。
しかし実際、アルター社にあるこのスーパーコンピューターや一部のプログラムは紛れもなく幽香が書いたものであり、アルター社における彼女によってもたらされた技術は多いだろう。
少なくともこれ以上続けることは作業効率の低下につながりかねないこともあり、キンジーは一度睡眠を取る選択をする。流石にキンジーには及ばないだろうが彼女の足元に手が届くくらいの実力は持っている。


徐々にキンジーの仲間に迫ってくる脅威があることも知らずに……。



サンアンドレアス 詳細不明
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Zinyak(Zi)「シップが奪われた、と…?」
兵士「はい、6名全員死亡です。シップはおそらくSAPDかシンジケートのどちらかに回収されたものと思われますが現在どこにあるかわかっていません」

兵士からの報告を受けるジニャック。そう、先日のシップ強奪に関する話だ。
6名居た兵士は全滅、シップに積まれていた物資もチップ、それから船自体もが奪われ現在場所の特定を急いでいるが望みは薄いところ。

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Zi「位置特定装置はどうなっている?」
兵士「相手も伊達に経験を積んで居ないわけではないようで、位置情報を妨害する電磁波装置内に収めているのか、特定には至っていません」

流石はキンジーというところか。船にGPSに近い装置があると仮定してレーダーに映らないように電磁波装置を用いて格納庫に仕舞っているようで
ゼン帝国のテクノロジーの穴を突いて天下のゼン帝国でさえも特定をできなくさせている。

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Zi「一筋縄ではいかない、というところか……だが”駒”は順調に揃ってきている。このままいけばおそらく予定通りに駒が出そろうはずだ」
兵士「”シップ”のコンバートも全機が完了しましたし、予定通りに捕獲作戦が進めば嵐で多少遅れを取りましたがすぐに始められるはずでしょう」
Zi「ああ、すぐに始めることはできるがまだ”魅力的な”駒が揃っていない。始めるのはそれからだ」

ジニャックは不敵な笑みを浮かべているようにも思えた。果たして奴の瞳に映るもの、目論見とはいったい何なのだろうか。
度重なる失踪事件とレジスタンスが順調に伸ばしている理由、そのすべてはおそらく奴によるものだ。少なくともレジスタンスの方は。

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兵士「それとレジスタンスの方でいろいろとトラブルが発生したようですがいかが致しますか?」
Zi「援助を続けるだけでいい。それに……そろそろ我々と彼らが繋がっているのを嗅ぎつけた連中も居る事だろう」

ジニャックにとってみれば帝国以外の人間は所詮駒や道具にしか過ぎない。使える物だけ使い、使い物にならなくなったら切り捨てる。いつだってゼン帝国はそれをやってきたのだ。
もし、レジスタンスと言う組織が崩壊したとして、こちらは干渉もしなければ彼らを救済することもしない。つまりそういうことなのだ。

Zi「それにこっちには奴らよりも使える駒も居る。彼女にはいずれまた連絡しておいてくれ」
兵士「イエッサー。」

用意周到というか、どうやら本格的にジニャックは自分の目的を果たすために準備を着実と進め、協力的に匂わせて駒を用意したようだ。
それが例えこちらが利用されていた、としてもそれがわかった時点でその者の命などないのだ。



ティエラロバーダ 邸宅
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妹紅「慧音、偶には外で軽く体を動かしたらどうだ? もう3日も外に出てないだろ?」

昼下がりのティエラロバーダ。低気圧に変わった嵐もとっくのとうに過ぎており、既にサンアンドレアスにはいつもの天気が取り戻されていた。
しかしそんな中で慧音は湿気臭い、というわけではないが邸宅に数日間引き籠ってずっとパソコンと睨めっこ。流石に食事は取っているが、既に3日間外に出ることをしていない。

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慧音「気遣いは嬉しいんだが、生憎そうするわけにもいかなくてな」
妹紅「何をずっと調べているんだ?」
慧音「霍青娥、奴のことさ。ふと気づいた時にはFIBのエージェント。何か裏があるとしか思えない」

慧音がずっと調べていたのはそう、FIBエージェントとなった元トライアド首領の霍青娥。
彼女がエージェントになった当初は特に気にもしていなかったのだが、度重なるエイリアン反対派の人間が失踪、そしてその一部の現場で彼女が目撃されていたというのだから何か裏があるに違いが無い。

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妹紅「流石に考えすぎじゃないか?」

慧音の身を案じつつ、お湯を沸かす準備を始める妹紅。妹紅からしてみれば単なる偶然、たまたま。あるいはFIBの方で何か調査の為に赴いていただけではないかと考えている。
しかし事実は異なるようだ。

慧音「FIBの方で彼女に仕事は何も出されていない。にも関わらず彼女はエイリアン反対派の人間と接触を図っている。もしかすると彼女が手引きしている可能性も0ではないだろう」

FIBの方から霍青娥に仕事は頼まれていない。
もちろんエージェントにはそれぞれ独自で事件や事故を調査する権限を持っているので、調査をしていても何の不思議もないのだが流石にここまで接触を図っているとなると怪しいのも無理はない。

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妹紅「ほら、紅茶だ。少しは体を休めたらどうだ?」
慧音「悪いな……でも」
妹紅「でももなにもない。とりあえずは一度ソファーに座ってくれ」

妹紅は慧音にソファーに座るように催促。長時間同じ姿勢でいることはあまり体にはよくない。
他の人と比べると確かに慧音や妹紅は強靭な体を持っているとは言えるが、そうだとしても人体に悪影響なことは彼女たちにも悪影響なのは事実だ。

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慧音「さて、どうしたものか……」

ソファーに腰掛ける慧音の顔を覗き込む妹紅。口調は確かに荒いところはあるが慧音を心配している、その事実に全く変わりはない。
そしてあの一件のせいか、メンタル面でも前ほどではないとはいえ、少し弱っているところもある慧音。妹紅はそんな彼女を放っておけない。

妹紅「私が思うに、あまり踏み込み過ぎるのも良くないと思うんだ。知らぬが仏、とか言うだろ?」
慧音「だが、これ以上失踪者が増えているのに見過ごすわけにもいかない。摘める芽は摘めるうちに摘んでおきたいんだ」

失踪者は確かに右肩上がりで増え続けている。今は西海岸に留まっているようだがいずれ東海岸や南部、北部などアメリカ全土で失踪者が現れることだろう。
それだけは何としても避けたいことなのだ。IAAも調査を始めているようだが、あちらと交流があるのは射命丸だけ。

IAAとFIBは射命丸のおかげでわだかまりも解消されつつあり、前の様な対立は発生し辛くはなっている。
しかし現状はそれを快く思わない人間も多く、相変わらず汚職に走るエージェントや射命丸を敵対視する者もいる。

おそらくこの霍青娥もその1人だ。元々はシンジケートに居たという話だが、どういうことなのだろうか。
調べた限り証拠はないが元IAA長官、レイラ・モートンとも交流があったと言うではないか。ますます彼女を調べないわけにはいかない。
噂によるとFIBの人事部の上層部とも関係があるという噂もあり、この辺りも調査する必要がありそうだ。

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妹紅「霍青娥、もその芽の1つってわけだな……慧音のやることに反対はしない、でも自分の体を大事にしてくれ」

妹紅からすれば慧音の考えを尊重したいのだが、やはり体は大事にしてもらいたい。というのもあって精一杯彼女なりに自分の気持ちを伝えたつもりの妹紅。少しでも心に響いてくれればいいのだが……。



Act.11/Act.13