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ロスサントス L.S.I.A. 格納庫
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幽香「にしてもジニャックは随分手の込んだプログラムを作ったようね」
Kinzie(Ki)「私もこの手の込みようには驚いているわ。それどころか似たようなプログラムが200個以上あるもの」

シップに備わっている装置にキンジーが開発した形だけの人間の頭のプログラムを用いてゼン帝国のネットワークに侵入したキンジー。
逆探知はされないように対策をしているので今のところ問題はないが、この形だけのプログラムでは”シミュレーション”の中を見ることと声を流して中に囚われている人と会話することぐらいしかできない。

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Ki「多分だけど直接この装置に人体を置いて周波数を合わせて脳をシミュレーションと繋げているんだと思うわ。少なくとも、小町の体がどこにあるかを探さないといけないわね」
幽香「その事でブランドンから報告を貰ったんだけど、インスティンクトは知っているかしら?」
Ki「ええ、知っているわ。あのストリートレーサーチームでしょ?」
幽香「ブランドンが彼らに報酬を出す代わりに今、サンアンドレアス全土であると推測されるシップを捜索させているわ」

シミュレーションの接続方法はおそらくキンジーの言う通りやってることだけは単純な物だと推測される。しかし問題はどこに身体があるかということ。
脳をネットワークを介してプログラムに繋げているので身体と人格は切り離されている。その為、人格を見つけても体が無い限り救出することができない。
その可能性を予め視野に入れていた幽香はブランドンにこの前、カジノ強盗を行ったチームにシップの探索を依頼させた。シンジケートのどの組織も多忙で中々人員を割くことができないので妥当な判断とは言えるだろう。

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Ki「助かるわ。でも場所がわかっても誰がそこに居るかまでは探れないんじゃないかしら?」 
幽香「ええ、残念ながらその通りよ。だからシミュレーションを通して逆探知を掛けようと思うの」
Ki「それは良い案ね」

現状、シップの場所を見つけたところで誰がそのシップに囚われているかまではインスティンクトに探らせることは不可能に近い。
ともなれば囚われているシミュレーションを介して逆探知を掛けてどの船に乗っているかを特定させる方が利口とも言える。

しかし1つだけ欠点があり、時間がかかってしまうという問題がある。
シミュレーションのプログラムの解析がすべて終わっていないという事、ゼン帝国も何かしらの対策はしている可能性は高いのでその分だけハッキングにも時間がかかる可能性がある。

いずれにしても今は選択肢の幅がないのでこのまま逆探知を続けるのが一番、ということだ。



フリントカウンティ バック・オ・ビヨンド 森林地帯
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Mac(Ma)「この付近で探知したんだな?」
Franklin(Fr)「ああ、確かにこの辺で間違いはないはずだぜ」

カジノ強盗から数日。まだそれだけしか経っていないのにすぐに次の仕事が来るとはなかなかに売名行為をしてしまったなと考えながら愛車を走らせるマック。
現在、アルター社からの依頼を受けてゼン帝国保有のシップの場所を探すため、メンバーで手分けしてサンアンドレアス州内におそらく100機ほどあるであろう、シップを詮索している。

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Ma「フランクリン、電話だ、ちょっと待ってくれ。……もしもし」
Shaundi(Sh)「マック? シップの1つの位置を特定したわ。そこから北に300m、道を外れたところにあるみたい」

フランクリンとの通話中、突如としてかかってくるのはショーンディからの連絡。ショーンディによると正確な宇宙船の場所は今いる場所から道を外れて300m北側にあるらしい。
場所の特定にはアルター社のCEOの秘書という男から渡されたUSBメモリーに入っていたプログラムが役立っている、とアリスとショーンディは言っていた。

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Ma「ありがとう、ショーンディ。ギリギリまで近づいて番号を確認してみる。フランクリン?」
Fr「マック、完全な位置を特定したぜ」
Ma「それならショーンディから聞いたぞ」
Fr「クソッ!!手柄を横取りされたぜ!!」
Ma「まぁまぁ……」

ショーンディとの連絡が切れた後にフランクリンから伝えられるのはつい今さっきショーンディが伝えきた正確な宇宙船の位置だ。
わざわざ2度聞く必要は全くないのでさっさとフランクリンにはそれを聞いたことを伝えるマック。もちろんフランクリンからすれば手柄を横取りされたのであまり嬉しくはない。

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マックは苛立つフランクリンを宥めつつ、ゆっくりとシップが置いてある森林地帯へと近づいて行く。付近には数名のエイリアン兵士が目視で確認できる。
しかし今回の目的はシップの位置を確認し、出来ることなら番号を確認するというだけの作業なのでバレてしまっては話にならない。ので、番号を確認すればバレる前に早急に撤退する。

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Ma「確認が終わった。すぐに撤退する、次の位置を教えてくれ」
Sh「そこから一番近いのはサンフィエロ南、ミショナリーヒルね」

次の宇宙船の場所を確認する為、マックはサンフィエロ南のミショナリーヒルに向けて車を走らせる。
そこはテレビ東方の中継局がある場所だが、最近はローカル9KEOCに押され気味というのもあってか、あまり話題に上ることは少なくなった。
それまでCEOを務めていた射命丸文が実はIAAの人間ということがわかり、彼女が長官に就任したというのもあるだろう。



ロスサントス バインウッド
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映画の撮影地として有名な場所であるバインウッド。ロスサントスの観光スポットの代表的な場所の1つとして年中観光客が多いことで知られる。
そんなバインウッドからロスサントスを見下ろすのは上白沢慧音と藤原妹紅。キンジーから許可を得たこともあり、ロスサントスを2人で訪れたのだ。

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慧音「いつものロスサントスがロスサントスに見えないような気がする」
妹紅「少し敏感になり過ぎじゃないか?」

時刻は既に夜の7時を迎えたころで日はほぼ沈み、ライトアップされたビルが夜空を明るく照らしている。
考えて見ればこの時間帯はビルの中に居ることが多く、外を見ることはあまりなかったなと慧音はふと思い出す。

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慧音「近々FIBで大きな出動があるらしい。おそらく”彼女”の手引きだろう」
妹紅「早い所奴を止めないとFIBが崩壊するかもしれないな」

慧音が他の同僚のエージェントから仕入れた話によれば近々FIBには大きな出動要請が成されているらしい。
FIBは何も捜査だけでなく、特殊部隊さながらの大規模な作戦を遂行することがある。それにはもちろん、FIBエージェントが並大抵以上のスキルを磨いているからこそできることでもある。

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妹紅「キンジー達が居るのは空港格納庫なんだろ? ここから飛ばしても2時間くらいはかかる。慧音、早く行こう」
慧音「ああ、そうだな、妹紅」

キンジー達が待つL.A.I.A.の格納庫まではここから車で飛ばしても2時間近くはかかる。今から向かって到着は早くて午後の9時。
出来る限り早めの到着を目指したいので妹紅は慧音に車に早く乗るように促せば自らはドライブシートに腰掛けて愛車であるインポンテ・フェニックスを空吹かしさせる。
70年代の名車というだけあり、勇ましいエンジン音を奏でる。ついこの前、さらにチューニングを加え、エンジンチューン、ボディフレーム強化、ホイール交換、ペイントのカスタムを施し、よりクールに仕上がっている。

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夜景に照らされた夜空の下、紅色の妹紅のフェニックスはバインウッドの丘陵地帯を沿うようにL.S.I.A.に向かって車を走らせる。
これから大規模な戦いが幕を開けることも知らずに2人は駆けて行く……。



Act.16/Act.18