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シミュレーション30 リバティーシティ郊外
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小町「ここがクロードの囚われているっていうシミュレーションかい?」
Kinzie(Ki)「ええ、多分その可能性が高いわ。この場所に関係があるのはクロード意外に考えられないもの」

”ゲート”の役割はなにも現実世界とシミュレーションを結ぶだけのものではない。
キンジーの書いたプログラムはシミュレーションと他のシミュレーションとを結ぶことをも可能とし、ついにゲートを用いて他のシミュレーションと接続することも可能にした。

シミュレーションの数は星の数ほど、と言えば大袈裟だがかなりの数がある。
その中から特定の人物のシミュレーションを探すというのは中々に骨が折れる物であるが、脳波やシミュレーションがどのようなものかを目視すればある程度はそれが誰の悪夢なのかは絞り込める。

ただし今回は事情が少し違う。小町のシミュレーションに別のシミュレーションから続々と別のシミュレーションからやってきてると思われる敵が確認されていたのだ。
そしてそのソースを辿った結果、とある1つのシミュレーションが割り出された。そのシミュレーションというのがここというわけだ。

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今回、小町が訪れたこのシミュレーションはリバティーシティ郊外、ショアサイドベイル北部にあるとある街を模したシミュレーション。
もちろんこの場所は現実にも存在する場所だが、どういうわけか一部分がロストしているようで、道が途切れて、建物が無かったりとシミュレーションとしては若干不完全なように見受けられる。
この周辺はもっと広い街だったはずだが、再現されているのはどうやら1ブロックほどで後は外に出る事も出来ない。出ようとしたところで戻されるようだ。

シミュレーションは精神を束縛し、”牢獄”としての役割を果たしている、と語るのはキンジー。
どちらにしても、早い所囚われの身になっているであろうクロードを救い出すだけだ。

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小町「ところでクロードの”悪夢”っていうのはいったいなんなんだい?」
Ki「前に聞いた話だけどリバティーに居た頃に殺されかけたらしいのよ。IAAのレイラ・モートンの送り込んだ傭兵にね」
小町「なるほど、それならこのマップにも納得が居くさね」

シミュレーションは通常、その囚われた人物の”悪夢”を基に作られる。その多くはトラウマや思い出したくない過去をベースにマップが構築される。
この場所、というのは本人にとっての忌まわしい記憶そのものなのだろう。でなければシミュレーションとして形成されることは無きに等しい。

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小町「あれは……」

小町の横を突如として駆け抜けて行くのは青いボディに白いストライプの入ったブラヴァド・バンシー。
人気の高い車が故に、”現実世界”では走り抜けることになにも違和感は覚えないのだが、シミュレーション、それも他の車が一切走っていないともなれば話は別だ。

Ki「すぐに追いかけてちょうだい!」
小町「言われなくたって追いかけるさね」

小町はバンシーが向かって行った方向へと駆けて行く。
少なくとも曲がり角を曲がって行っただけ、そして1ブロックほどしかない小さなマップだ。歩きである小町でも走ればすぐにどこに行ったかはわかるだろう。

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バンシーが止まった場所はバンク・オブ・リバティーのおそらくこれは支店だろう。中々に大きい支店の路地の前に停車すれば聞こえてくる警報の音。
銀行強盗? いずれにしても銃声も聞こえてきたことを考えれば銀行強盗で間違いではないだろう。しかし銀行強盗とクロードに繋がりがあまり見えない。

とにかく今は考えるのは後回し。小町は足早に銀行横の路地へと駆けて行く。

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小町「あれは……クロードさね」
Ki「見つけた? ああ、不味いわ…!そっちにメリーウェザー達が向かったわよ!」

小町の睨んだ通り、銀行の裏口、路地に出てきたのは紛れもないクロード。彼が何故銀行強盗を働いていたのかまったく見当もつかないが今は詳しい事情は後回しだ。
キンジーの話ではこちらにメリーウェザーの傭兵が向かってきているらしい。
思えばレイラ・モートンはメリーウェザーの上層部ともコネがあった。NOOSE等と同じく駒のようにメリーウェザーを使えるほどの権力は持っていたはず。

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小町「クロード、こっちにメリーウェザーが来てる」
Claude(Cl)「ああ、知ってる。何度も繰り返してきたからな。お前が居ればなんとかできると願いたいぜ」

シミュレーションについて触れるのを忘れていたが、シミュレーションは何度も繰り返すという特性がある。
それこそ小町が放りこまれたバーチャルサンアンドレアスのような非常に大規模、かつ仮想現実と言っても差し支えのないものは例外だが。

この繰り返す、という特性は「悪夢やトラウマを何度も何度も抉るように繰り返して相手の精神を壊していく」という狙いがあってのことのようだが、メンタル面が強い人間だとなかなかに効率が悪いようにも思える。
しかしジニャックはゆっくりとでも相手をズタズタにすることに快感を覚えているようなので時間と言うのは関係ないのかもしれない。
それこそエイリアンと人間とでは時間の感じ方が異なるとも取れるだろう。

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ダダダダダダ!!

はやくも第一波のメリーウェザー兵が到着したようで熱烈な弾丸の弾幕が貼られるがその弾幕の切れ目からクロード、そして小町は的確にメリーウェザー兵を撃ち抜いて行く。
しかしメリーウェザーというのは現実でもシミュレーションでも数と無駄にひねくれた腕っぷしを持っているというのは変わらないようで、数も多く、そして地味にスキルが高く厄介である。

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Cl「キリがねぇな」
小町「キンジー、なんとかできないかい?」
Ki「ちょっと待ってちょうだい……よし、表にある現金輸送車の荷台にRPGを用意したわ」

数は減るどころか、むしろ第二波、第三波と続々とメリーウェザー兵が駆けつけてくる一方。これではキリが無いのでなにかしらの奪回策を打ち出したいところ。
そこで小町はキンジーに頼りの綱を希望したわけだ。流石は期待通りの仕事をしてくれるキンジー、すぐに”プレゼント”を用意してくれたようだ。

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小町「やっぱり重火器っていうのはラクでいいさね」

RPGを構えた小町はクロードと共に続々と集まってくるメリーウェザー兵を始末して行く。
重火器と言うのはやはり敵をまとめて始末するのに適している。あっという間にメリーウェザー兵を蹴散らして行き、後に残ったのはメリーウェザー兵士の死体とメリーウェザーメサの残骸だけ。

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?「まったくフェアじゃないわ。ここで死になさい!」

突如として響くような声が聞こえたと思えば、空から降りてきたのはそう……。

――レイラ・モートン。いや、でもこれは本人ではない。
何故なら彼女はジニャックと繋がっていたということがキンジーの調査で分かっているうえに、現在は現実世界で彼女はさらわれることなく、留置場に居るのだから。

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Zinyak(Zi)「少しシミュレーションに手を加えさせてもらった。いつだってラスボスは必要だろう?」

どうやらこのクソったれのアバズレ女を召還したのは他でもない、シミュレーションの制作主であるジニャックのようだ。
どこまでもひねくれているというか、手を焼かせるエイリアン野郎だ。

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小町「キンジー?」
Ki「ヤツを始末すればシミュレーションから脱出できるはずよ。やってみるしかないわ」
Cl「ここで蹴りを付けろ、ってことか」

小町とクロードはレイラ・モートンに向けてRPGを発射し、いよいよ蹴りをつける為に行動を開始する。
しかしプログラムの書き換えをジニャックは行っていたのか、レイラ・モートンは異様に固く、そしてちょっとやそっとじゃビクともしない。

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Layla(La)「まだまだね。私がその程度で倒れるわけないでしょ?」

レイラの、これはなんというべきか。少なくとも扱いとしてはおそらくエイリアン。エイリアンとでも称しておこう。ヤツは銃を構えればこちらにむけて焼夷弾を撃ち込んでくる。
もちろん小町もクロードもローリングで回避をするわけだが、実に厄介な相手だ。このままでは埒が明かない。

Cl「キンジー、聞こえてるならなんとかしてくれ!」
Ki「少しは待ってちょうだい!奴らのプログラムに慣れてないのよ!……よし、これで行けるはず」

キンジーが用意したプログラム。それは実に簡単なもの。この場を一発形成逆転に持ち込める代物で陸上と言えばこれしかありえないだろう。

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他でもない、地上最強の威力と言っても過言ではない戦車だ。目には目を、歯には歯を。異様に固いものなら固いものだ。
戦車の装甲は非常に固い。それを考えればお相子ということだ。クロードは召還された戦車に乗り込めばレイラに砲塔を向けて弾丸を発射する。

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Cl「これで最後だ。糞野郎」

ドーン、と爆発音が連続的に響けばレイラ・モートンはその場に崩れ落ち、絶命する。
戦車の滑空弾を直に受けてもばらばらになることなく、綺麗な状態を保つというのは非常にシミュレーションがこのような面では現実よりもゲームに近いということを実感させる。

何はともあれこれで蹴りは付けたはずだ。もうこの場所とはおさらばするまでだ。戦車から降りたクロードはレイラの亡骸に近づいてその面を確認する。

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La「貴方には誰も救えないわ。それだけの力が無いもの」
Cl「まだ生きてるのか。なぁ、キンジー、コイツ撃ってもいいか?」
Ki「えーっと……貴方が望むなら?」

あれだけの砲弾を浴びておきながら流石はシミュレーション。いろいろと乱しているようでまだまだ存命。しかし相手には反撃する余力は残っていないようで項垂れている。

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Cl「これで最後だ」

これで最後だと、クロードはクミア・マグナムを取り出せば一発、レイラ・モートンの脳天にぶちかませば最期のけりをつける。
流石のシミュレーションで書き換えの為されたプログラムの人形とも言えども、脳天をぶち抜かれたことによりやっとこ絶命したようで動きを止める。

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Cl「……蹴りはつけた。ここからはどうするんだ?」
小町「少なくともこれで完了さね。そうだろう、キンジー? とりあえずこの後は”現実世界”に帰るだけさ」
Cl「そうか……やっとここから抜け出せるんだな。ありがとう、小町。助かった」

2人は互いに言葉を交わせばそれぞれのゲートへと歩み寄っていく。お互い現実世界に戻るがクロードの体はまだ救出しているわけではない。この後は”現実世界”でクロードを救出しに行く必要がある。
何はともあれシミュレーションでの一件は一区切りついた。残る仲間の救出を続行しつつ、全員の救助が終わればゼン帝国に”反抗”するだけだ。

それが終われば晴れてサンアンドレアスに”平和”がもたらされたと言えるだろう。



Act.24/Act.26