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シミュレーション40 ブルワース地方
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霧が濃く出ている山のふもとにあるとある田舎町。”ブルワース地方”に存在するその町は、紛れもなくクロードがかつて思春期を過ごした街。
ブルワース・ベイルにブルースカイ工業地域、ブルワース・タウン。ニュー・コヴェントリー。これらの町々がブルワース地方を形成している。

そしてこの街における名誉とも言えるのが全米でも有数の名門校で、全寮制の学校ブルワース・アカデミー。クロードが過ごしたのはそんな学校だったりする。

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Claude(Cl)「ブルワースとは懐かしいな……にしてはやけに霧も濃くて空も暗いようだが……」
Kinzie(Ki)「貴方がブルワース・アカデミー出身だなんて思いもしなかったわ。それはいいとして霧の影響で解析できる範囲が狭いの。奥に進んでもらえるかしら?」

この霧が濃いシミュレーションにはおそらくかつてのクロードの友人が閉じ込められている。
数年前に行方不明、表向きは死亡とされたとある男。高校を中退し、アメリカ陸軍へ兵士としてなる道を選んだ男。彼とクロードはとても仲が良かったらしい。
もう1人仲の良い知り合いが居た気もしないでもない。クロードの記憶にはあまり印象は残っていないものの、その人物が居れば恐らくブルワース・アカデミー時代の同窓会になるだろう。

霧、そして夜。非常に厄介な物でその2つが全てを包み隠し、視界を悪くし、シミュレーションの解析を大幅にし辛くしている。
このシミュレーション特有の物とは思われるが、非常にこの世界は冷たく、そして不気味だ。

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Ki「このシミュレーションに居るかは別としてその友人とやらはどういう人なわけ?」
Cl「無口な俺とよく絡んでくる奴で結構口が達者な方だったと思う。俺とは真逆な性格だ。陽気で、頭が悪い所もあるがみんなからも一目置かれていた」

クロードがシミュレーション内で当てもなく、視界が悪い中で先を進む中、キンジーはこのシミュレーションの解析を進める。
彼が救出された前後でシミュレーション31へと流れていたデータの元がここなのだが、ジニャックは何をもってしてこのシミュレーションのデータを流したのだろうか。

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Ki「ここまで何もないとなるとここはシミュレーションの残留データの墓場なのかしら……」
Cl「いや、キンジー。どうやらここに何かあるのは間違いないみたいだ」

今のところ何の反応も検知できず、また解析を進めては見てはいるものの、人の存在もエイリアンの存在も何も感知できていない。
フィールドの解析は霧の影響で思ったように進んでいないが、そこまで広いとも考えづらい。いや、一概に狭いとも言いきれないが。

そんな中でクロードはどうやら何かを見つけたようで、一度足を止めてしゃがみこむ。何かを道で見つけたのだろうか。

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Cl「”逃げろ”か……何から逃げろっていうんだろうな」

道端で見つけた紙切れ。”逃げろ”とだけ殴り書きがなされているのだが、いったい何から逃げろというのだろうか。
霧の深い街とこの殴り書きがさらにこのシミュレーションに不気味さを増幅させている。まるで昔流行ったゲームのようだ。

Ki「クロード、何かそっちにたくさん近づいてきてるわ。武器を送っておいたから万が一に備えてちょうだい」

どうやらこの紙切れがトリガーとなったのか、はたまた偶然なのかシミュレーション内で動きがみられたらしい。万が一を考えてキンジーは武器をクロードの元に送っておく。
シミュレーション内での死亡が直接的に脳死や死亡につながるわけではないがどんな弊害が起こるか全くもってわかっていない。危ない橋は極力渡らせたくないのだ。

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ゆっくりと近づいてくる足音とチェンソーの様な音。これが何を意味しているのか、この濃い霧の向こうに何が居るのか全く分からないが用心に越したことはない。
クロードはキンジーが送ってきたクミア・マグナムを構えれば音のする方向へと向く。

Cl「………」

静寂の中にザッザッ、と響く足音は次第に大きくなり、間違いなくこちらに近づいていることを示唆している。
グリップを握り直すクロード。徐々に音の主が近づいてくる。次の瞬間――

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チェンソーを持った住人がこちら目がけてチェンソーを振りかざしてくる。
間一髪で避ければクロードはすぐさま脳天目がけてクミア・マグナムを撃つ。いくら仮想現実とは言え、脳天を撃ち抜かれればひとたまりもないだろう。
あっという間にその場に崩れ落ちて行く住人。一体なんだというのか。

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Cl「キンジー、コイツらはいったいなんだ?」
Ki「わからないわ!」
Cl「クソ、数が多い!!」
Ki「とりあえず対策を考えるから安全な場所へ逃げてちょうだい!」

どうやらこのチェンソー野郎は1人や2人だけではないらしい。辺りから響き渡るのはチェンソーの音と足音。数は計り知れず、武器があるからと言って絶対に安全とは限らない。
今するべきことはこのチェンソー野郎の手が届かない場所へと逃げることだけだ。クロードはマグナムを片手に駆けだす。

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?「おい、こっちだ!!」

とある民家の近くを通りかかった際に大声でこちらに声を掛けてくる男の声。
霧が濃いので容姿は全く見えないのだが、少なくともこのシミュレーションの中では”敵ではない”ということだろう。
すぐにクロードは声のする方へと駆け寄っていき、民家の中へと逃げ込んでいくのだった。

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?「危ない所だった」
Cl「ありがとう、助かった……お前は……」

ボロボロの民家の中にあるのは同じくボロボロの家具。とはいっても生活する上では必要十分な設備は揃っているので不自由はしなさそうだ。
さて、クロードを助けたこの男……クロードにはこの男に見覚えがあるようだ。

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Cl「……ジェイソン、お前なのか?」
Jason(Ja)「どうして俺の名前を?」

仮にクロードの知るこの男がシミュレーションに囚われている人間だとして、何故記憶がロストしているのか。
もちろんシミュレーションに放り込まれる過程でジニャックが記憶を多少弄っているようなのだが、人間とは不思議な物で時に忘れていた物を思い出すことがある。

だが、シミュレーションに長い間、それも何度か「死」を経験した場合はどうだろう。
少なくともクロードも小町も「死」をシミュレーションで経験したのはどんなに多くても両手で数えられる程度。その程度だからこそ弊害が起きていないとも言えるだろう。

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Cl「クロード・スピード。その名前に覚えはないか?」
Ja「……悪い、何も思い出せない」

ソファーに腰を掛ければ頭を抱えて思い出せない様子のかつてのクロードの”旧友”。
そんな彼を横目に、このシミュレーションを何としてでも彼と共に脱出する必要があると改めて再認識をする。

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Cl「キンジー、なんとかできないか?」
Ki「流石の私でも人の記憶をハッキングなんてことはできないわ」

いくらキンジーとは言えどもやはり人間の脳をハッキング等到底できる事ではない。もしかしたら、というほんのわずかな可能性に賭けてクロードはキンジーに聞いて見ただけではあるが。
どちらにしても今のところシミュレーションから脱出する術もなければ、このまま彼を引き連れてゲートから脱出、とも行かない。

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Ja「確か俺は、あの時……」
Cl「何か思い出せたのか?」
Ja「少しだけだけどな」

しばらくの沈黙が続いた後、かつての”旧友”は少しではあるが記憶を取り戻したようでゆっくりと口を開く。

――彼はジェイソン・ロード。
クロードと同じブルワース・アカデミーに通っていたかつての”親友”。2年前に消えたのは前述した通り。
事実は小説より奇なり、と言う言葉がある通り実におかしな話かもしれない。”死んでいた”と思っていた人間が実は生きていた。

思えばジェイソンには両親が居なかったことを思い出す。ブルワース・アカデミーに入学したのも、育ての親から邪魔者扱いされていたからだと聞いた記憶がある。
当の本人にその記憶があるかは微妙なところではあるが……。

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Ja「軍の演習だと呼び出しを受けた後に俺は……」
Ki「お取込み中悪いんだけどゲートウェイをこじ開けたわ。でもいつ閉まるともわからないのよ。すぐにそこに向かって貰える?」

ジェイソンが思い出した記憶を頼りに語り始めようとしたところを割り込んだのはキンジー。
どうやらこのシミュレーションから脱出するための”ゲートウェイ”をこじ開けることに成功したようだ。
と言ってもこのシミュレーションは他のシミュレーションとは違い、少々特殊なつくりをしているようでシミュレーション31のように好き勝手はいかず、上手い具合にロックを解除出来たところでいつまたロックを掛けられるかわからないのだ。
つまり今この瞬間もジニャックによって監視されているということだ。

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Cl「キンジー?」
Ki「昔話なら現実世界でも出来るでしょ、それに貴方はすぐにシミュレーション31に戻れても彼は違うのよ? 彼を助けたいんじゃないの?」
Ja「ちょっと待て、”現実世界”?」
Cl「話せば長くなるんだが……」
Ki「ちょっと!とりあえず説明は後よ!すぐに出発してちょうだい!位置を指示するから!」

ジェイソンにはいったい今どういう状況なのか、理解できていない。とは言ってもそれを説明するには今はあまりにも時間が無さすぎるのだ。
それに端折っても良いのなら説明くらい、移動しながらでも可能なはず。とりあえずここは素直にキンジーの言う通りにこのシミュレーションの脱出が先決だ。

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2人はクローゼットにあった武器を手にすると再び霧の濃い田舎町へと繰り出していく。
先ほどまで多く見られたチェンソー野郎たちは確認できないが、またいつ襲われるか見当もつかない。用心に越したことはないだろう。

Cl「とりあえず、これだけ伝えておく。今お前が居るこの現実は”仮想現実”であって”現実”じゃない」
Ja「よくわからないが、とりあえず脱出すればいいんだよな?」
Ki「ええ、その通りよ。製材所の扉にゲートウェイを設置したからそこまで来てちょうだい」

ジェイソンの頭はまだ整理が出来ている状況ではない。とりあえず彼にしてもらうのは製材所にこじ開けたゲートウェイまでたどり着いてもらう事。
彼に理解されるように説明するのはシミュレーションを脱出した後でも遅くはないだろう。

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Cl「お出ましか……」
Ja「走るぞ」

早速前方に確認できるのはチェンソー野郎たち。何故チェンソー野郎達なのか、見当もつかないがきっと彼に関係があるのだろう。
その辺りの話も含めてシミュレーションから脱出した後にじっくりと話を聞く必要があるだろう。

2人は襲い来るチェンソー野郎達をかわしつつ、すぐ裏手にある製材所へとたどり着くのだが、ここで思いもよらぬ事態へと陥ってしまう。

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Cl「キンジー、ゲートウェイが見当たらないぞ?」
Zi「簡単に私が逃がすわけないだろう?」
Ki「ジニャック!もう1度こじ開けるからそこでくたばらないようにしてちょうだい!」

やはりジニャックはこのシミュレーションも監視していた。せっかくこじ開けたゲートウェイを閉じられてしまい、出口を失った状況。
そんな状況でありながらチェンソー野郎達はこちらへと続々と集結し、近づいてくる。

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Ja「こんな状況、軍に居た当時ですら殆どなかったぞ!」
Cl「甘ったれた事言ってる場合か? とにかくこいつらを始末するぞ」

軍に居た、と言ってもその期間はおそらくせいぜい2年程度のものだろう、と言うのは置いておいて今はこの迫りくる脅威を排除しなくてはならない。
もし、ここでくたばってしまえば1からやり直し、にはならないだろうがすべてが水の泡になる。それだけは何としても避けたいのだ。

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ダッダッダッ!!

ショットガンの音だけがこの霧の深い夜空にこだまする。
敵の数はどんどん増える一方。どこから湧き出ているのかわからないうえにいくら近距離武器とは言え、近づかれてしまえばひとたまりもないチェンソー。
厄介であることに変わりはないのだ。すぐにでもこの状況から脱出したいところなのだが……。

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Cl「まだなのか!?」
Ki「後もう少しよ……よし、すぐに裏に回ってちょうだい!」

時間にしておよそ5分ほど経っていたのだろうか。短い時間で閉ざされたゲートを再び開けるとは、さすがはキンジーだ。
すぐに彼女が指示した通り、製材所の裏へと回る。これでやっとシミュレーションから脱出することができるはず。

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Ja「これに入ればいいのか?」
Cl「ああ、これに入ればここから脱出できる。すぐに迎えが行くはずだ、少しの間だけまたお別れだ」
Ja「……助けられてばかりだな」
Cl「礼ならここを出てからにしてくれ」

ジェイソンが一足先にゲートに入っていくのを見届ければそれに続けてクロードもゲートへと入ってシミュレーションから脱出する。
”旧友”の救出も済んだことだ。あとはレミリアとフランドールをシミュレーションから救出し、ジニャックを潰すだけだ。

反撃の烽火を上げる時だ。



Act.27/Act.29