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サンフィエロ クイーンズ ナイトクラブ ”LEGAL”
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Mac(Ma)「やっぱり祭りごと、ってのはいいものだな」
Shaundi(Sh)「そうね、みんな家族と離ればなれだもの。1人で寂しくクリスマスを迎えるよりずっとこっちの方がいいわ」

サンフィエロの中心街からほど近い場所にあるクラブ・リーガル。
ルチャドールズが所有する物件の1つでここの収益のすべてはルチャドールズの物となる。よってここはルチャドールズの稼ぎどころの1つ、というわけだ。
ナイト・クラブがサンフィエロには少ないと言うのもあるが比較的大きなクラブと言うこともあり、ここに来る客は多い。

今はホリデーシーズン。その関係もあって店内にはいつもに増して煌びやかなライティングが施されている。
そしてクリスマスらしい食べ物やお酒なんかもこのシーズン限定で用意される。これは祭りごとが好きなボスの意向によるもの、と以前耳にしたがどこまで本当なのだろうか。

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ダンスフロアではルチャドールズのメンバー、そしてクリスマスシーズンということもあって来店客なんかもこのフロアで踊っている。
実に楽しそうであるが、これが本来のクリスマスの姿かと問われれば微妙なところ。
普通のアメリカ人なら家族と過ごすのだが、ルチャドールズ含め、インスティンクトのメンバーの多くは家族が居ないか、居たとしても国外であったり消息不明。あるいは絶縁なんていう選択をしている人物も居る。

癖がある故に曲者が集まってこのパーティーが開かれていると言っても過言ではないだろう。

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Tylor(Ty)「随分楽しい雰囲気になったじゃないか」
Daryl(Da)「インスティンクトと一緒に催し物をやるなんていついらいだろうな」
Sasha(Sa)「いい感じに温まって来てますね!」

やや遅れて駆けつけてきたのはボスとダリル、そしてサーシャ。クリスマスだろうが年末年始だろうがギャングというのは休みという休みはない。
逆に言えば好きな時に休める、と言う利点もある。どちらがいいかは人によって異なる事だろうが少なくともこの3人は後者の方が適しているのだろう。

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Edie(Ed)「ここの酒は旨いな」
Fabiano(Fa)「20年物の赤ワインか……」

クラブ・リーガルのバーカウンターで酒を嗜んでいるのはファビアーノとエディの2人。
バー形式で酒を提供してもらえるので踊りつかれたらこのカウンターに腰掛けてゆっくりお酒でも飲みながら他の人のダンスを眺める事も可能だ。
エディとファビアーノは踊り疲れたのか、はたまた踊ることが苦手だからこの場所に居るのか全く分からないがどうやら年代物のワインを嗜んでいるようだ。

そんな華やかなクラブの中で1人、バーカウンターの奥で一人、腰かけて軽くウィスキーを嗜む男が1人。

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Jason(Ja)「……」

非常に浮かない顔をしたジェイソン。無理もない、彼は弱みと友人たちを人質に取られ、やりたくもない仕事を無理やりやらされることとなったのだから。
今の彼には身よりもいなければ頼れる人間も決して多いとは言えない。そんな状況がますます彼を追い詰めている、と言えなくもない。

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Sh「浮かない顔してどうしたの?」
Ja「お前は……」
Sh「ショーンディ。話すのはこれが3回目だと思うけど」
Ja「悪い、あまり人の名前を覚えるのが得意じゃなくてな」

浮かない顔をしていたジェイソンに声を掛けたのはショーンディ。彼女はある意味このパーティーの主催者でもあるので1人でもつまらさそうな顔をした人が居るのが気になったのだろう。
出来る事ならこの場に居る間だけでも楽しんで欲しい、というよりも楽しんでくれないとこちらもつまらないと考えているのだろう。

ジェイソンはあまり人の名前を覚えるのがお世辞にも得意な方とは言えない。ましてやあまり関わる機会がないとなおさらである。
こんなんでよくもまぁ、軍に所属することが出来たものだと思うかもしれないが軍というのは全寮の場合がほとんど。彼は寮に入り、そして短くはあったが数年間軍人としての生活をしてきた。

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Sh「”溜まってる”わけ?」
Ja「……は?」
Sh「ジョークよ。素直なんだか冗談が通じないんだかわからないけど踊ったら?」
Ja「踊るのは苦手なんだ。俺はこうして眺めてるだけで充分さ」

ショーンディはお得意の軽い”下ネタ”を含めたジョークを飛ばしてから踊るのを提案する。ショーンディは踊ることも”寝る”こともドラッグをすることも嫌いではない。
一方でジェイソンはどうだろうか。”下ネタ”のジョークをジョークと受け止めることが出来なかったことはこの際触れておかないとして
数年間のブランクがある故かこの手の、パーティーに来るのは初めて、そして踊ることは苦手らしい。ドラッグも好きではないらしい。彼の取り柄と言えば、銃撃スキル他のところだろうか。

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Sh「残念ね……まあいいわ。アタシは踊ってくるわ」

ショーンディは露骨に残念そうな表情をしたのちにダンスフロアへと移り、インスティンクトの他のメンバーと共に踊り始める。
実に愉快で楽しそうな雰囲気だ。曲は流行のEDMからダブステップ、そしてこの時期にはピッタリなのかもしれない、クリスマスダブステップまで流れているようだ。

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ダンスフロアで踊るショーンディや他の人たちを眺めるジェイソン。片手にはウィスキーのソーダ割りのグラスが握られている。
あまりお酒はお世辞にも得意な方とは言えない。ましてやウィスキー。アルコール度数が高いお酒はあまり得意ではないのでいつもこのようにソーダやら水やらで割って飲む事が多い。
そもそもジェイソンはこういう機会でもなければお酒を嗜むことはしない。あまり酒が好きではないのだ。

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Ma「こうしてゆっくり話すのは久しぶりだな、ボス」
Ty「ここ数か月ばたばたしてたしな。こうしてまたお前らとつるめてよかった」
Sa「ボスらしくない言葉ですね」

ボスとマック、そしてサーシャはダンスフロアを眺めながらバーカウンターで酒や食事を取る。
2人がこうしてゆっくりと対談を果たすのは実に数か月ぶり。お互いでいろいろと忙しかったことを考えれば仕方のない事なのだが、
お互いに姉妹組織と言っても過言ではないくらいに友好的な関係を築いているだけに以前のように交流をもっと持てる機会が多ければ良いのだが……。

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Ty「サーシャ、それはどういう意味で言ってんだ?」
Sa「気にしないでください、それよりもマックさん」

ボスはサーシャの言葉に少々イライラを募らせるがサーシャはボスの扱いに手慣れているというか、それを軽くあしらい話を逸らす。
実に彼女らしいやり方だがボスという人間を一番理解している人のやり方と言えばやり方だろうか。

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Sh「まだそんな顔してるのね」
Ja「……戻ってきたのか」

ショーンディはジェイソンを気に入ったのか、それとも何か別の意図があるのだろうか。
それはさておき、ダンスフロアで数曲踊った後、ショーンディはジェイソンが腰かけるテーブルへと再び戻ってくればジェイソンに声を掛ける。
ジェイソンは若干怪訝そうな顔を浮かべつつショーンディを見やる。

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Ja「何か用か?」
Sh「クラブ・リーガルの隣にルチャドールズが持ってるホテルがあるの。アタシたち”だけ”で行かない?」
Ja「ホテル?」
Sh「アタシの言ってる意味わかってるわよね?」

ショーンディはクラブ・リーガルの隣にあるというホテルに一緒に行かないか、という誘いをジェイソンにする。
興味本位というよりもこれはショーンディが彼を気に入っての事、と言えるだろう。
この誘いの意味をジェイソンが理解するのにそう時間はかからなかった。彼はしばらく考え込んだ後に1度頷くとショーンディと共にこのクラブ・リーガルを後にし、ホテルへと移動する。

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Sh「ちょっと隣に行くから何かあったら連絡してちょうだい」
Ma「……そうか、了解した」

ショーンディの報告を受けたマックはほんの少し考えた後にそのすべてを察して何かあればこちらに任せろ、と言うかのごとく了解と答える。
大体この後何が起こるか、ショーンディと長くいるマックにはわかるのだ。別に悪い事が起こるわけではないので止めることもせずにショーンディの意思に任せる。

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Ma「ショーンディからってのは珍しいな」
Ed「あの男の事気に入ったんだろうな。へっ、それより俺らは飲もうぜ」

クラブ・リーガルから立ち去るショーンディを見届けながらマックはショーンディから男を誘うのは珍しいなと感じながらエディの誘いに乗り、渡されたカクテルに口を付ける。
インスティンクトのメンバー内で彼女と”ヤった”みたいな話は聞いたことはないが、彼女が良くこういう催し物で男に誘われてあーいう行為に出ることはメンバーなら暗黙の了解として知っている。

だが、彼女の方から男に声を掛けることはあまりなかったように思う。どちらにしてもマックたちにはあまり深く関係はないのでショーンディ抜きでパーティーを続行する。
まだまだ夜は始まったばかり。と言っても既に時刻は深夜12時を過ぎたころではあるが。24日の10時くらいから始まったこのパーティーも折り返し、と言う具合だろう。







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クラブ・リーガルと共にルチャドールズが保有する、クラブ・リーガルの隣にあるホテルの一室。
実に普通の作りをしている、というよりもここは只のホテルであり、ラブホテルの様な施設ではないので当たり前。よってこういう”行為”をするのもどうかとは思うのだが。

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Sh「久々に激しくなっちゃったわ」
Ja「……」

ベッドの上に横たわる2人。時刻は既に深夜の2時を回ろうとしている頃だ。
ここで何があったかは察していただくとして相変わらずパーティーの方はトラブルもなく熱気が収まることを知らずに続いていると、先ほどメッセージがショーンディの携帯にマックから寄せられていた。

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Sh「どうかしたの?」
Ja「いや、大したことじゃない。昔を少し思い出しただけだ」

無言のままのジェイソンにショーンディは声を掛ける。これまでの経緯あってことだが、まぁそれは置いておくとして少し寂しそうな顔であったからというのもあるだろう。
彼は少し昔のことを思い出していた。ジニャックに捕らわれる前の、学生として生活していた自分のこと。あの時は、と過去を悲観したことで無意味なのはわかっている。
でもどうしても”あの時は”と思ってしまうことが多い。理由なんてわからないが人間ってのはそういう物なのかもしれない、と少々哲学じみてきたところでふっと、ショーンディの一言でジェイソンは我に返る。

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Sh「アタシだってこう見えていろんな過去を背負ってるわ。アンタの知らないことや知られたくないことだっていっぱいある。アンタが過去に囚われてるんだか何だか知らないけど未来について考えた方が楽だと思うわよ」

先ほどのおちゃらけたとも言える顔から一変、ショーンディは実に真面目な顔で真っ直ぐジェイソンを見つめる。
彼女の言葉には非常に重みがあり、その場の空気やジェイソンの態度から出た言葉とは到底思えなかった。彼女の心の声なのだろう。

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Ja「……そうか、そうだよな。ありがとう、ショーンディ」
Sh「お礼を言われたいから言ったわけじゃないわ……でも、お礼をしてくれるならしてほしいわね」

2人が再びいいムードになったのを良しとしない奴なんてものはおそらくいない。束縛する者も2人には居ない。いや、少しニュアンスが違うか。
彼らを縛り付ける”何か”はもうないのだ。彼らを縛り付ける”人間”は居るかもしれないが。



Act.2