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ロスサントス ダウンタウン
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2022年4月。”エイリアン”を追い出したアメリカ……いや、地球はそのテクノロジーを用いて更なる発展を遂げたのと同時に本来の相応しいアメリカへと戻った。

ここは見慣れたロスサントスの中心部、ダウンタウン。商業ビルや本社ビルが数多く並ぶこのロスサントスのダウンタウンに走るのにまったくもって相応しいとも言える1台の高級セダン。
由緒正しきイギリスの老舗高級車メーカー、エナスのスーパーダイヤモンド。黒塗りでさらに高級感も増して、この車が持つ元々の威圧感をさらに強めている。

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”スーツで来いと言ったはずだが?”
Jason(Ja)「どうせまた銃撃戦になるのはわかってる。なら動きやすい服の方がいいだろう?」

スーパーダイヤモンドを運転するのは、失礼ではあるがあまり似つかわしいとは言えないジェイソン。もちろん彼が何を運転しようが彼の自由ではあるがどうも彼の意思によるものではなさそうだ。
無線に流れる男の声では彼にスーツを着てこの車を運転するように言いつけていたようだが……。

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”お前って奴は……まぁいい。その男を乗せてLSIAまで運転しろ”

ジェイソンが横付けしているビルから出てきた1人のスーツを着た男。パッと見普通のビジネスマンに見えるが何かカラクリでもあるというのだろうか。
今日の業務については無線の相手である、FIBの捜査官の1人オリバー・フィギスから話を聞く限りでは普通に空港までこの男を送り届けるだけらしい。

だが、毎度毎度簡単なように思えて銃撃戦やら面倒事が発生するのはやはりこのFIB捜査官のオリバーのせいだろう。
一体今までどんな組織と関わって来たかなんてジェイソンが知ったこっちゃないがその尻拭いを任せられているのかと思うとあまり気分は良くない。

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男「君が用心棒かい? まぁ誰でもいいんだけどとりあえず空港に向かってくれ。ジェットを手配してるんだ」
Ja「ああ、はいはい。了解しましたよっと」

やはり普通のビジネスマンにしか見えないのだが、オリバーの知り合いと言うことを考えればこの男もまた何かしらの大物や犯罪者なのだろう。
そういう”知りたい”情報に限ってオリバーはジェイソンに絶対伝えてこないので無理に詮索することもジェイソンはやめている。

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ジェイソンは車をスタートさせると空港を目指すため、ハイウェイの入口へと向かう。今のところ異常はない。警護なんて言うものは付けていないが、異常もなければ必要もない。用心は必要だが。
もちろんこの後何が起こるかなんて誰にも予想が出来ないので万が一に備えて支給されている武器をすぐに取り出せる位置に置いてはある。

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Ja「あんた職業は?」
男「私か? いろいろと取引をやって居てね。詳しくは話せないが」

渋滞の多いロスサントス。渋滞気味のハイウェイでスピードが思ったよりも出せなくなったところで暇になってきたジェイソンは後部座席に座るビジネスマンライクの男に声を掛ける。
恐らくオリバーにこの男の情報を聞き出すよりも本人から情報を聞き出した方がはるかに良い。そう判断したのだ。

男が言うに彼はいろいろと取引を行っているらしい。非合法の物なのか、それとも合法的な物なのかまったくもってわからないが詳しくは話せないらしい。

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Ja「海外と取引をしてるのか?」
男「そうだね、海外が基本だが国内とも取引をやることもある」

まだどのような取引をやっているのか、全貌は全く見えてこないがどうやら国内外問わずに取引を行っているらしい。
武器を取引しているのか、それとも一般的な工業製品か。はたまた”エステ”のためのエスティシャンを含めた人身売買か……。

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車は割かしスムーズな方でL.S.I.A.の滑走路へと入るゲート付近へとたどり着く。
不気味なくらいここまで何も起こらなかったわけだが、逆にこのまま終わってくれた方がどれだけ良い事か。

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空港内を突き進み、男の言う通りの格納庫へと車を走らせるジェイソン。
ここまでくれば大丈夫、という甘い考えが間違っていた。男の指定する格納庫の前に待ち構えていたのは銃を構え、銃口をこちらに向けて明らかに敵意丸出しのスーツ姿の男たちだった。

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「ターゲットが現れたぞ!撃て!!」

一人のスーツの男がそう声を発したかと思えば集中砲火と言わんばかりにこちらに向けてたくさんの銃弾を浴びせてくる。
幸いにもこのスーパーダイヤモンドは装甲を施しており、ちょっとやそっとの銃弾で爆発するなんてことはないのだが、どこまで持つか見当もつかない。

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男「おい、どういうことなんだこれは!!なんとかしてくれ!!」
Ja「こういう時に限ってあの野郎無線に反応しやしない……」

こうなってしまえば、この場を制圧するしか手段はないのだが、こういう時に限ってオリバーは無線に反応してこない。
こちらの状況を見て楽しんで居るのかそれとも何かしらの用事やらで出られないのかはわからないが、役立たずと言って差し支えはない。

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Ja「そっから一歩も動くなよ?」

ジェイソンは男にそう吐くと、単身、車から降りて車を盾にしつつ、支給されているMP5を構えてマフィアたちを狙い撃つ。
こいつらの存在が何なのかわからないが恐らくはこの男の商売敵、或いはオリバー関連の敵なのだろう。どちらにしてもこのまま車の中に居たところでやられてしまうだけなのでさっさとこちらから始末してしまう、

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ダダダダダダ!!

銃弾の雨はやむことなく、平和であるはずのロスサントス国際空港は一気に血の雨が降る、まるでロスサントスのスラム街のようになってしまっている。
だが今はそんなことを考えている余裕などない。リロードを行い新しいマガジンに替えれば再びジェイソンは黒服目がけて銃弾を当てて行く。

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時間にしてどれだけの時間が経ったかはわからない。とにかく今言えることはこの場の制圧を完了させたという事。
幸いにも警護対象にはかすり傷の1つもないようだが、飛行機のパイロットがどうやらこの襲撃者たちに殺されてしまっていたようで、飛行機を飛び立たせることができないということだ。

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Oliver(Ol)”どうやら完了したみたいだな”
Ja「今頃反応しやがって、なにやってたんだよ」
Ol”ああ、すまないな。わけあって席を離れていた。どうやらパイロットが死んだみたいだな。お前、操縦できただろう? その男をサンフィエロまで届けてくれないか?”
Ja「報酬も払わない癖にこき使いやがって……」
Ol”そう怒るな。とりあえずサンフィエロ国際空港に俺の部下を待たせておく。そうだな、1週間くらい休暇をやろう。サンフィエロでゆっくりしてくれていいぞ”

次の瞬間にやっと反応を示したオリバー。ジェイソンが銃撃戦で神経をとがらせていた間、オリバーは席を離れていたというじゃないか。どうせまたロクでもない理由なのだ。
人の命を何とも思っていないということだろう。考えれば考えるほど腹立たしいのでジェイソンはここで彼のことを考えるのをやめる。

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そしてオリバーに課せられた「お前が操縦してサンフィエロに届けろ」という命に渋々了承し、ジェイソンは飛行機の操縦席へと座り、この男を飛行機へと乗せてL.S.I.A.を飛び立つ。
一体この襲撃者が何者なのか、そしてこの”バイヤー”である男が何者なのかまったくわからないまま、危険を承知の上で飛行機をサンフィエロへと飛ばすのだった。


サンフィエロ サンフィエロ国際空港
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Franklin(Fr)「本当に行くのか?」
Mac(Ma)「ずっと今まで考えてきたけどやっぱり気になってな」
Fr「唯一血がつながった家族、だもんな」

サンフィエロ国際空港のターミナル前に止まるフランクリンのバッファローS。バッファローのスポーツグレートで従来型から先行してスポーツグレードはマイナーチェンジを行ったのが2020年。
さて、そんな話は置いておくとして何故この空港に来たのか。空港、国外、州外とはほぼ無縁のインスティンクト。
それもそのリーダーであるマックがこの場所を訪れたのは今日、このアメリカ・サンアンドレアス州を発ち、イギリスへと渡り唯一彼と血のつながりがあるという人物の元へと向かうためだ。

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Ma「ああ。いつ戻るかわからないし、もしかしたら向こうに残るかもしれない。チームのことはお前に全部任せるよ」
Fr「……寂しくなるな。でも俺らはずっとここで待ってる」
Ma「俺も寂しくなる。でもSNSでいつでも連絡取れるだろう? みんなの顔がしばらく見れないのは寂しいけどな」

マックが心配しているのはチームのこと。まだ若いマックをここまで引っ張ってきたのはすべてチームのメンバーが居たからだ。
そのメンバーとは長い別れとなる。でも一度決めたこと。今更曲げようとは思わないのだ。

最期にマックはチームのことをここまで一番マックを引っ張って来てくれたフランクリンに託すと、車を降りて空港ターミナルの方を見やる。

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Fr「元気で居ろよ!」
Ma「ああ、フランクリンもな! ……アメリカに居るのも今日が最後か」

マックはフランクリンとの別れを告げると空港ターミナルへと足を歩める。
これでアメリカとはしばしの間別れとなる。そのしばしの間、がどれだけの期間か全く見当もつかないが……。数年、いやもっと向こうに居る可能性だって0ではないのだ。

彼の脳裏には昨日フランクリンたち、インスティンクトのメンバーにやってもらった送別会と言うべきかはわからないが宴会の情景が浮かんでいた。



Act.2