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サンフィエロ バッテリーポイント プレジャードーム
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サンフィエロ、ガントブリッジの真下にあるこのプレジャードームは元々はトライアドが、そして2年前からロシアからの勢力である”レジスタンス”が拠点としているクラブだ。
レジスタンストップの右腕である鬼人正邪は彼女自身が犯した罪により、サンアンドレアス州内にある刑務所へと投獄されていたが、FIBとの取引で娑婆へと出てきた。

だが、そんな”日常”も長くは続かないようだ。彼女はFIBを利用した。だが、あくまで今回のターゲットは彼女ではなく彼女の上に立つ”ボス”がターゲットだ。

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Dave(Dv)「少名針妙丸。レジスタンスのトップだが、実質的なトップは”ヤツ”のようだな」

端末に表示されている画像と資料。そこに載るのはレジスタンスの現在の、いや最初から彼女だったのだろう。
少名針妙丸の顔写真と経歴がFIBが調べ上げた限りで表示されている。彼女がどこで生まれ育ち、そして今まで何をしてきたのかのすべてが。
上方だけを見れば大きな犯罪記録と言う記録は全くない。いや、裏があるのかもしれないが少なくともそのような情報は何も出てこなかった。
つまり、”普通に生活していれば”ただのそんじょそこらの市民と変わりがないというわけだ。

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車を降りて真っ直ぐプレジャードームへと向かうデイブ。この時間帯はプレジャードームの営業時間外だが、用があれば話は別だ。それに入るための扉は何もここだけではない。
そして何より今重要なのが、”今現在この中にはレジスタンスの構成員と少名針妙丸しか居ない”という点だ。鬼人正邪が居れば障害にしかならないのが今回のプランだ。

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何も言わず、鍵が開いていたというだけで正面から中へと入っていくデイブ。
腰にはスーツのジャケットで隠れているとはいえ、FIBが制式採用しているハンドガンが仕舞われてある。
もし、万が一発砲されればすぐにでも応戦が出来るようにしてある、ということだ。もっともそういうケースは一番避けたいものだが。

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Dv「誰かいるか?」

一番奥へと近づいて行くデイブ。背の低い人影がこの位置からでも確認が出来る。おそらくその人影こそが今回のターゲットである少名針妙丸だろう。
声を掛けて相手の反応を見つつ、万が一を備えて腰にあるハンドガンに手を宛がう。使うことがないのを願いながらの行動ではあるが、射殺許可は下りていないので少々厄介。

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針妙丸「誰かしら? 今日は休業日なのだけど」

デイブの存在に気づき、声を掛けてくる針妙丸。素性が誰かもわからないのだ、素直にこちらが何者かを尋ねてくる。
ひねくれた者なら無駄なやり取りを行った事だろうが、おそらく彼女は経歴に汚点がまったくないように、素直で純粋な性格で悪人とは真逆の存在なのだろう。
だが、そんな存在であろうとデイブ、いやFIBは彼女を利用しようと企てている。

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Dv「俺はFIBエージェントのデイブ・ノートンだ。お前に用があってここに来た」
針妙丸「FIB? そんな偉い人が私に何の用かしら?」

”用”と言えば実に優しい言い方に聞こえるが実際これから話す内容は実に一方的な物で、一言で簡潔にまとめるなら”脅迫”である。
FIBという大きな汚職にまみれた政府機関という盾を使い、違法的に人を動かす。何年も、いや何十年も前から変わっていないやり方だ。

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Dv「例え君がどんな感情を抱いていても答えは”イエス”しか言えないことになる。俺だってこんなことはしたくないが、俺の上司が決めたことだ。逆らうことはできない」

こんなことを言っている裏でデイブは特にそこまで脅すことに対して罪悪感や後悔の念を抱いているわけではない。
むしろ何度もいろんな立場の人たちとを似たようなやり方で脅してきている。だからこそそういった人間には必要な良心が欠けつつあるのかもしれない。
だが、本人にしてみれば自分にとって利益となるかどうかが問題であり、その利益を得るまでの過程においてその登場人物が死んだとしても、利益さえ出たならばそれで良いと考えている。

もし、今の上司であるオリバーがデイブにとって不利益でしかない、となればおそらくすぐにでも彼を裏切るだろう。もっとも、弱みをオリバーに握られている今、彼に楯突く事が良い策ではないのだが。
だからこそ、こうしてオリバーに良い様に駒として扱われているのも事実。だが、あの男はデイブ以外にも数多くの人をゆすり、そして駒にしているのはデイブは知っている。

話がそれたが、デイブは手短に針妙丸に”イエスと答えなければ正邪を刑務所に戻す、或いは殺す”ということ。
そしてそれが嫌なら”シンジケートの内情や情報をすぐにこちらに回すこと”を条件として出す。シンジケートの情報、それこそがFIB、いやオリバーの狙いだ。

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針妙丸「……私が知ってることは何もないわ。私達レジスタンスは、シンジケートと関わりを持っていないもの」

針妙丸はシンジケートとの関わりを否定する。とはいってもそんなものは見え見えの嘘。だが、あえてここで嘘をつくと言う事は仲間たちを守りたい、という意思が彼女にあるのだろう。
だが、ロスサントスからサンフィエロまで、わざわざこんな茶番劇をするためにデイブも来たわけではない。

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Dv「その程度でFIBを欺けると?」

ハッキリ言おう。それが嘘だと断言できるのは他でもない、FIBがしっかりと下調べをしているからだ。
普段は調査のスピードが遅いことも多いFIBだが、自分たちの利益に繋がることとなれば話は別だ。既にレジスタンスとシンジケートに繋がりがあることは裏取りが出来ている。
証拠となる写真もあるので今更それを完全に否定することは不可能に近い。

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Dv「これでもまだ否定するというなら言った通りのことを実行するまでだ。もう一度だけ聞く。協力するのか、しないのか」

デイブは証拠となる写真を1枚卓上に置いた上でもう一度針妙丸に問う。この写真は紛れもなく、盗撮されたものだが問題はそこではない。
間違いなくレジスタンスとシンジケートとの接点を結びるけることを示すその写真は針妙丸の言った事が嘘である、という事実を証明している。
そしてデイブは最後のチャンスを与える。この答え次第では彼女、いやどちらかと言えば彼女の右腕でもあり、レジスタンスを動かす中心人物である鬼人正邪の運命が決まると言ってよい。

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針妙丸「…………私が個人的にあなた達に協力するのでは駄目なの? 私を利用したいだけなら、シンジケートは関係ないでしょう?」
Dv「さっきも言ったが、FIBが求めているのは”シンジケートに関するありとあらゆる情報”だ。それも表にはなかなか出ないようなもののな」

あくまでも針妙丸のスタンスとしてはシンジケートには迷惑を掛けたくないようである。だが、必要なのはレジスタンスの情報ではなくシンジケートの情報だ。
現時点ではシンジケートを操ろう、というよりかは”潰そう”という意見がFIBでは多くを占めている。
その理由は実に単純。シンジケート、そしてシンジケートと協力し、裏社会にも堅い正義のパイプを持つIAAの存在が真逆の道を進むFIBにとって大きな脅威となっているからだ。
2020年の”例の一件”以降、1年半が経とうとする2022年のアメリカにおいてシンジケートは反社会的なヒーローとしての存在になりつつある。

もし、その”ヒーロー”のヴィランがFIBとなれば。民衆の矛先は差別される者たちや犯罪者、或いは他の腐敗した組織ではなく、こちらに向く。それだけはなんとしてでも避けたい道なのだ。

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針妙丸「正邪や他の仲間をあなた達に売るくらいなら、死んだ方がましよ。どうしてもというのなら、ここで私が正邪の代わりに死ぬわ。さあ、早くその銃で私を撃ってちょうだい!」

彼女はどこまでも仲間思いで優しい性格なのだろう。自分以外の仲間をFIBに差し出すくらいなら自らの命を差し出すという行動に出た。
それどころか、こちらが腰元に隠しているハンドガンの存在にも気づいてるようだ。もっとも、今ここで彼女を殺してしまえば、シンジケートへとつながる道は閉ざされてしまう。

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Dv「そこまでして仲間を守るのは何故だ? まぁなんだっていいがお前のその心意気は認めてやろう」

ここまでデイブを困らせる人間は久しぶりだ。かつてデイブを困らせた人間が居たが、そんな奴がまた現れるなんて実に何年ぶりだろうか。
予想ではすぐにこちらの言いなりになるとばかり思っていたが、決して折れることはせず、自分の信念を貫き通す。中々骨のある奴だとデイブは針妙丸をある視点から認める。
だが、このままFIBに手ぶらで戻るわけにもいかない。だが、この信念をもし上手い具合に使えるとすれば、もしかすればオリバーを引きずり下ろすことも可能かもしれない。

今はまだ決断を下す時ではない。今は大人しく”一方的”ではなく”対等”な関係を築いておくことにしよう。障害になるのならば切り捨てるなり、なんなりすればよいのだから。

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Dv「今はお前のその意思を尊重しよう。だが、このまま手ぶらで戻るわけにもいかない。だからこっちからも情報を与えてやる。お前らも”こっち”の情報が欲しいだろう?」
針妙丸「勘違いしないでちょうだい。私は仲間を守りたいだけよ。情報を流したいなら、あなたの勝手にすることね」

あくまでも針妙丸はFIBのことなどどうでもよい。ただ仲間を守りたいし、巻き込みたくない。それだけなのだ。
対するデイブは今ここでは”FIBのオリバーの部下”としてではなくあくまで1人の、自分本位で動くだけの”FIBエージェント”として接している。
どこまでも腹の立つ小生意気な奴だとは思うが信念を貫くその健気な針妙丸には敵わない、とどこかでは感じている。ここは一度大人しく引き下がることにしよう。

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Dv「だが、こっちの”情報”があることでお前の仲間が守れるとしたらどうする? まあいい。しばらく時間をやる。また近いうちに来よう」

収穫でいえばあまり大きいものはないし、むしろ0と言っても過言ではない。だが、良い”取引”には持ち込めただろう。
今ここで話をしたところで平行線になるのは目に見えている。ここは一度退散し、しばらく冷静に考えさせるべきだろう。”取引”に応じるか応じないか。
どちらが彼女の信念を貫いて行けるのか。答えはもはや出かかっていると言っても差し支えない。デイブはそれだけを告げてプレジャードームを後にする。



Act.7/Act.9