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ロスサントス ユニティ駅
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時刻は夜の7時を過ぎたころ。ロスサントス、ユニティ駅に止まる1台の赤いスポーツカー。
グロッティ・チーター。1980年代に登場し、現代においても非常に高い人気を誇るイタリア製のスポーツカーで、現在においてはそこそこ高値で取引されている。
無理もない、グロッティの製造してきた車の中でかなりの人気を誇るマシンなのだから。

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Ana(An)「待たせたわね。さあ、行きましょう? ああ、それとこれ良い車ね。私こういう車結構好きなの」
Rick(Ri)「どうしてお前と一緒に出掛けなきゃならないんだ?」
An「何か問題でもあるの?」

助手席に乗り込んでくるアナ。どうしてここに居たのかは置いておき、リックからすればどうして彼女と行動を共にする必要があるのか、疑問しかない。
間違っても2人は寄りを戻したわけではない。現時点での話ではあるが。それにあの襲撃の一件以降もそれは変わらなかったはず。お互いでお互いを険悪していたはずだが……。

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Ri「お前、酔ってたりするのか?」
An「何言ってるの? 素面よ?」

流石にここまで素直なアナはどう考えても不自然、と勘繰りを入れるリック。酔っているのでは、と勘繰ってみるも違うらしい。
他に考えられるとすればなにかのおねだりか、或いは何か情報を得る為か……いや、情報を得るとすればこんな見え見えなハニートラップの方なことはしかけてこないはず。

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Ri「まあなんだっていいが……どこに行けばいいんだ?」
An「サンタマリアビーチのヨットハーバーよ。ついでに私の家にも寄ってくれる?」

深く詮索したところでおそらく求めているような答えは出てこない。ならさっさと用事を済ませて帰宅するのが一番良いだろう。
アナの行きたい場所はサンタマリアビーチのヨットハーバーらしい。襲撃以降戻っていないが、一応彼女の家の近くだ。おそらく荷物を取りに行きたい、とかそういう理由なのだろう。

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リックはそのままアクセルを踏み、サンタマリアビーチへ向けて車を走らせる。彼が急いで済ませたい、と行き持ちからかハイウェイを使ったルートを選択する。
流石は1980年代を代表するスポーツカーだけあって性能はそこいらの一般車と比べると高め。それだけにすぐに速度も出るし、加速もする。

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An「にしてもこんな車持っていたのね」
Ri「俺の車じゃない。慧音が貸してくれた。俺としては自分のでもよかったんだけどな」
An「へぇ……慧音ってこんな車も持ってたのね」

この車はリックの所有物ではない。なら誰が持っているのか、と問えばそれは慧音の持ち物である。
希少性もそこそこあり、人気もあるだけに極上品はかなり高額で取引されるチーター。リックに貸したのは彼の腕を信じてのことなのだろう。

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車はハイウェイを進んでいき、順調にサンタマリアビーチ方面に向かっていく。
ハイウェイが張り巡らされてるロスサントスは車社会を象徴するかのように交通量が多いことで知られているが、
やはり休日前の夜と言うのも相まってか普段よりかは幾分かは知りやすい気がする。

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An「あなたのこと、嫌いってわけじゃないの。でも私とあなたの価値感が合わないのは知ってるでしょう?」
Ri「ああ、だからこそ俺らはすぐに別れた。違うか?」
An「ええ、その通りよ。でもあの一件があって、落ち着いて少し考え直したの」

サンタマリアビーチに近づくにつれて言葉が少なくなってきていたが、目前に迫ってきたころには逆に言葉が増えてきた。
アナとリックは一度付き合っていたが、お互いに価値感が合わないという理由から一度は別れた。
だが、お互いに腐れ縁か、なにかと関わる機会は多かった。例えば、アナが調べている”悲劇のバレンタイン”。リックはその”悲劇のバレンタイン”の当事者だ。

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An「寄りを戻すのも悪くないかもしれないって」
Ri「本気で言ってるのか?」
An「私は本気よ。1度だけで判断するのは間違いだと思うのよ」

アナの考えとして、どうやら一度寄りを戻すのも手だと考えているようだ。
もちろん、当初はそんな考えはなかった。だが、一度はリックのおかげで命を救われている。そう考えたときに彼と共にいるのは悪くないのでは、と考えたわけだ。
だが、彼女の考えはそれだけではない。どうしても”悲劇のバレンタイン”を調べる上で彼の存在が必要不可欠なのだ。

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ヨットハーバーに到着した一行。車を降りて真っ直ぐと歩き、海を眺める。
夜の海は空の黒と月の明かり、そして暗い海だけで構成されている。景色としてはあまり良いものではないが、それでも海模様が落ち着いているのもあって、静かには過ごせる。

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Ri「これでもし、1度でも合わないと思ったらそれ以上はお互いに居ない方が良いってことだ。お互いに狙われてるんだ、今くらいは一緒に居たっていい」
An「ありがとう、リック」

リックの下した決断は決して間違っていないだろう。今は2人とも”見えない脅威”に狙われている。それが政府によるものなのか、あるいは事件を表に出すことを良いとしない人間なのか、それとも別なのか。
どちらにしても2人が共に行動している方がお互いである種の安心感は得られるはず。そう言った事情を考えた結果だ。

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An「本題に入るけど、”あの時に”私が呼んだ証人はやっぱり死んでいたわ。殺されたんでしょうね。水死体としてロスサントス湾で上がったって」
Ri「……つまり?」
An「貴方の言う通りよ。一緒に居た方が安全。あの件を知る人間を消しにかかってこと」

慧音によればロスサントス湾で水死体が上がったらしい。身元を調べたところ、アナがあの襲撃の日に呼んだ証人で間違いはないようだ。
つまり、アナが動けば動くほど、消されるリスクが上がる、ということだ。今のところ執拗に追われることはないようだが、いずれ命を狙われる日が来る。
ともなれば、やはり同じ”秘密”を抱える者であるリックと居た方が生存率が上がる、という考えだ。

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An「私の家に行きましょう?」

その一言でアナはそそくさとリックより先に車のある場所へと歩いて行く。
無言でリックは彼女の後を追い、彼女の意思の通り、車に乗り込めば車を彼女の家へと走らせる。
2人は家に着くまでの実に短い距離の間ではあるがどちらも何た言いたげな素振りを見せつつも口を開くことはない。

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Ri「俺は車に残る」
An「いいえ、貴方も中に入って。流石に奴らも家の中までは入ってないとは思いたいけど一応ね」

車に残る、というリックに対して中に入るように催促するアナ。流石に家の中まで踏み込んでは居ないだろうが、万が一に備えてである。
一応、事件の後に慧音の計らいでFIBの慧音側のエージェントが見回りと同時に周辺を警備、合いカギをアナから借りて室内の見回りも1度行ったとのこと。

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An「住所が割れているわけだけどまだ住めるかしら?」
Ri「いずれ住める日は来るだろう。いつになるとは言えないけどな」

アナがここに来たのは忘れ物や必要な物を取りに来たのもあるが、家のダメージなども確認しておきたかったという部分もある。
外では激しい銃撃戦を繰り広げられ、近隣住人も恐怖におののいたとだけあり、ニュースにも頻繁に取り上げられ、このエリアが一時期立ち入り禁止になっていたこともあった。
だが、数日も経てばまるでそこで何もなかったかのように、現在は以前のような平穏な住宅街に戻っている。それだけ銃社会アメリカにおいて銃撃事件は頻繁に起きている、といことだろうか。

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Ri「もう十分か?」
An「いいえ、まだよ。ベッドルームに来て」

引き上げようとしたところをベッドルームに呼び出すアナ。思えばこの部屋で敵の奇襲に気付いた。
またしてもなにか起こっているのではないか、と内心少しハラハラしながらもベッドルームに足を踏み入れるリック。

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いきなりベッドに押し倒すアナ。ああ、なるほどそういうわけか、と察したリックは手を引いて2人一緒にベッドに倒れ込むようにさせる。






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慧音「カメラを各部屋に設置するっていう話を前にしたはずなんだが忘れてしまったのだろうか……生憎私は人が”コトを致している”のを覗き見する趣味はない」
妹紅「どうしたんだ、慧音」
慧音「アナの家に防犯のためのカメラを設置した話をしたんだが……まあ、話すのも酷だ。察してくれ」
妹紅「見かけによらず大胆なんだな、アイツ」

万が一の為に慧音はアナの家に監視カメラを設置していた。その旨はしっかりアナ本人に伝えていたはずなのだが……。
知っての通り、いや、慧音に限った事ではないが、慧音は他人が”コトを致している”のを覗き見するような趣味のあるような人間ではない。
そっと防犯カメラを移すモニターの電源を切り、とりあえず仕事の一区切りを付ける。

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慧音「まぁ人は見かけによらないからな……」
妹紅「慧音、こんなニュースが届いてたがお前としてはどうなんだ?」
慧音「どれどれ……ふむ、アンチギャングユニットか……」

アナの見かけによらない大胆さに驚きつつ、慧音は妹紅に見せられるまま、ニュース記事に目を通す。
いや、アナは或いは何か目的があってこうしたのかもしれない、という勘繰りを少々いれたりしたが、その時はその時で考えるとしよう。

妹紅の見せたニュース記事はアンチギャングユニット「STAGイニシチアブ」に関連するニュース記事。
概要を見る限り、どうやら可決され、今月中にも配備を進める方針とのことらしい。ギャングや犯罪組織がアメリカに増えつつある今、この組織の存在は治安維持や改善に大いに貢献するのではないだろうか。

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妹紅「まだメディアには大々的には取り上げられてないみたいだが、いずれいろいろ名前の知れてる奴らがコメントを出し始めるだろうな」

メディアにこそまだそこまで大々的に取り上げられていないが、いずれは取り上げられ、
このSTAG配備に関して政界や経済で名前を連ねるような大物たちがコメントを出してくることだろう。
慧音は現時点では配備に賛成だが、IAAの射命丸文やアルターの風見幽香、スカーレットのレミリア・スカーレットはどのような意見を出すのだろうか。



Act.18/Act.20