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ロスサントス ダウンタウン
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Rick(Ri)「つまり、そこで客を拾って、そいつの行先を聞かずにあんたの指定した場所に運べと?」
Oliver(Ol)「呑み込みが早くて助かる。そういうことだ。さっさと連れて来てくれ」

午後7時過ぎを回ったロスサントス、ダウンタウン。
ビジネス街であるだけに既に定時を過ぎてもなお、明かりが灯る。
もっとも、アメリカ人は残業することなどあまりないし、するとしても定時から2時間も居れば長い方なのだろう。
そんな中、帰社や飲み屋探しのビジネスマンを狙って多く走り回るのがタクシーだ。
サンアンドレアスにおいては流し営業するタクシーよりも電話やスマートフォンアプリ等で呼び出された、つまり迎車のタクシーの方が台数はやや多いのだが、この時間帯はそれが逆転する。

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Ri「簡単に言ってくれるが俺はタクシードライバーなんかやったことないんだぞ?」
Ol「なあに、簡単さ。ターゲットを乗せたら”行先はどこですか?”と尋ねれば良いだけ。後はGPSに送った場所まで運べ」

今回リックが運転しているのはカニス・セミノールをベースとしたタクシー。一度この車両を”追跡”したことがあるが、”運転”するのは今回が初めてになる。
とは言ってもノーマルではなく、仮にもタクシー。タクシードライバーのアルバイトなど存在するわけもなければ経験もないので正直戸惑うばかりなのだが、やはり無理難題を押し付けるのはオリバーだろうか。

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しかしここまで来て断るわけもいかず、かといって鼻から断る事も出来ず仕方がなしにやるしかない。
ターゲットはもうじきこの辺に現れるとのことだが、他のタクシーに取られたらどうするというのだろうか。その辺りのこともオリバーなら配慮している気もしなくはないが……。

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男「乗せてくれる?」

助手席側ドアのノックと共に見える1人の男の影。これがターゲットなのか、それとも全く関係のない市民なのかリックには見当もつかない。
この男がどちらにしてもリックにとってはどう対応するべきなのか、イマイチわからないので結局わからないということに大差はないのだが。
と、ここでオリバーから無線が入る。

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Ol「そいつがターゲットだ。さっさと乗せろ」
Ri「はいはい。……お客さん、乗って」

どこから監視しているのかはさておき、どうやらこの男こそ今回のターゲットらしい。
一体どうしてこんなどこからどうみても普通の、ビジネスマン風の男がターゲットなのか全くわからないが何かオリバーを怒らせるような事でもしたのだろう。

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男「イーストロスサントスのストリップクラブまで頼むよ」

男が告げる行先はロスサントスの東側にあるストリップクラブ。巷では流行の今、もっとも人気の高いストリップクラブでロスサントスの多くの男がそのストリップクラブに足を運んでいるとのことだが……。
恐らくこの男もその1人なのだろう。リックは機会と言うものが無く、あまりその手の場所にはいかないので少しばかり興味はあるが今回この男を連れて行くのはそこではない。
予定通り、オリバーが指定したスタジアムへ向けて車を走らせる。どのみち方向も同じなのですぐには気づかれないだろう。

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ダウンタウンを抜け、グレンパークに差しかかる。都会にぽっくりと空いた大きめの公園。
リバティーシティには郊外のベルヴィルパークや中心街のミドルパーク等ここより大きな公園が存在するがこの公園もそれらに引けとらないような気がするのはその立地がダウンタウンにほど近いからだろうか。

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車内は終始無言。お互いに話すことはせず、時折リックがルームミラー越しに男をちら見するが、相手は窓からロスサントスの街を眺めているか携帯端末と睨めっこするばかりでこちらには全く関与しようとしない。
いや、それこそが普通なのかもしれないが、あまりタクシーを利用もしなければタクシードライバーになること自体が初めてというのもあってイマイチわからない。
タクシーを頻繁に利用するアナなら多少は詳しいのかもしれないが今は彼女に聞く猶予は与えられていない。

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タクシーはグレンパークを過ぎ、住宅街へと差し掛かりスタジアムへの道を抜けて行く。
ロスサントスの東側、とくに南部や極東は貧困層地域で治安もあまりよろしくはない地域だが、ここ数年はシンジケートの台頭もあってか治安が以前ほど悪いということはなくなった。
もっとも、現在においても小さないざこざやチンピラ通しのケンカ、酔っ払いが絡む事件・事故は多いようだが。

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男「……おい!通り過ぎてるぞ!」
Ri「ん? ああ、悪いな。俺はあんたを別の場所に連れ出すように頼まれてる。悪いな、お客さん」

急に声を掛けてくる男。無理もない、行先で告げたストリップクラブを通り過ぎたのだから。
だが、リックはタクシードライバーをやっているわけではない。タクシードライバーに扮してFIB、それも汚職側の仕事を止むなくこなしているだけ。
ここで引き下がって男を逃がすわけにはいかないのだ。

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スタジアムに到着したタクシー。
待ち構えるのはFIBのSUVが数台とそこで物騒にも銃を携えながら、まるでリックの到着を待ちわびていたかのように笑顔で待ち構えるオリバー。

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Ol「大体予定通りだな。よくやった。もう君は帰っていい。車も好きに使うなり処分するなりしてくれ」
Ri「ああ、そうかい。俺はこのまま戻るとしよう。お前に深く関わりたくないしな」

オリバーからすればリックはやはり程度のよい使える駒でしかないのだろう。リックが任務を終えると同時にこの場から立ち去るように指示する。
男には気の毒であるがこういわれてしまえばこれ以上リックが彼らに干渉することはできない。
どの道リック自信としてはオリバーたちとは関わりたくはないので願ってもない事ではあるが、やはり男のことが気がかりではある。

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SUVに連れ込まれていく男を尻目にリックはタクシーを走らせてスタジアムを後にする。
何も人目に付きそうなスタジアムでこんなことをしなくても、と思うのだが、こういうことをカモフラージュをする上では街のランドマークの方が都合が良いのだろう。
事実、有事と勘違いしたであろう市民がその物々しい雰囲気に近づこうとはしていなかった。

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Ri「意外といい車なんだな……ありがたく貰っておくとしよう」

カニス・セミノール。アメリカの老舗SUVメーカーが生んだ大衆向けSUVだ。そのボディサイズ、性能、手頃な価格帯、どれを見ても丁度良いのは事実。
それをベースとしたこのタクシーもまた、性能が変わるなんていうことはないのだから扱いやすく、面白い車であるのは事実だ。
この車の処分は此方に委ねられているのだから、このままありがたく頂戴しても全く問題はないだろう。リックは車を乗り捨てることなく、帰路へと付く。男のことは慧音に連絡しておくとしよう。



Act.21/Act.22