cut4





リバティーシティ ロートン国際空港
gallery1
Shaundi(Sh)「また元カレが1人増えちゃうわ」
Jason(Ja)「すまないな……だが、こっちに残りたい。ここなら知り合いも居ないし、いろいろやり直せる気がしてな」

ロートン国際空港。時刻は深夜にほど近く、最終便までそこまで時間があるわけではない。

考えて見れば、リバティーシティに訪れたショーンディとジェイソンの2人だが、元々ここに来るのはジェイソンだけだった。
しかし一応”彼女”であったショーンディが自らの意思でジェイソンに付いてきたのが、ここでの短い生活での始まりだった。

だが、サンアンドレアスにデッカーズが逃げた今、ここにあえて残る必要性はなく、加えてデッカーズの被害に遭った2人のケアも考え、サンアンドレアスに戻る必要が出てきた。

敵地に突っ込ませるのも、と考えることも出来る一方でサンアンドレアスには強力な助っ人が多い。
ルチャドールズ、アルター社、スカーレットグループ、IAA本部、FIBの一部の層……つまり、シンジケートだ。彼らほど強力な助っ人がいるだろうか?
彼らの面倒を見るにはやはりシンジケートしかない。そう考えたときにサンアンドレアスに帰すのが一番だと判断されたのだ。

だが、2人だけで返すにはリスクがある。空港からの道中。
IAAを護衛に付けることも考えたが、リバティーシティにおいては手いっぱいで護衛を出せる状況ではないし、向こうも向こうで”STAG”やら”モーニングスター”やらの対策で終われているようだ。

ともなれば、必然的にショーンディとジェイソンの2人、あるいは2人のどちらかが護衛として一度サンアンドレアスに帰る必要があるのだが、
2人で話し合った結果、インスティンクトからも戻ってきてほしいと頼まれているショーンディが帰ることとなった。
いや、2人で帰るのがベストなのも重々わかっていた。だが、ジェイソンにとってリバティーシティは”新しいチャンス”でもある。そのチャンスを無駄にしたくなかったのだ。

gallery3
Sh「アンタが決めた事だし、アタシの意思でもあるわ。何の悔いもないわ。新しい男なんてすぐに見つけられるしね。それよりもアンタの方が心配なんだけど?」
Ja「俺は俺の方で好きにやるさ。こっちにくるときは連絡してくれ」
Sh「こっちに来ることなんてあるかわからないけど、その時は連絡するわ」

ただ帰って戻る、あるいは先に帰って相手を待つ。それも考えたが、お互い心配事は軽い方が良いと判断し、名残惜しくもあるが2人ともスッキリと別れる決断を下した。
これが正しい判断か、それとも間違えなのかはもうわからない。だが、お互いで悔いはない。それなら良いではないか、と2人とも考えたのだ。

それにショーンディはジェイソンにその”チャンス”を無碍にしてほしくはないし、ジェイソンもジェイソンでショーンディをインスティンクトから無理やり引きはがすような真似はしたくなかったのだ。

gallery2
Ja「元気でやれよ」
Sh「アンタこそね。もしサンアンドレアスに戻ることになったらアンタも連絡ちょうだいよね」

2人は一先ず”カップル”としては最後の別れを告げる。
ここまで平凡で、綺麗な別れ方なんてしたことがあっただろうか?
そんなことをショーンディは考えつつ、彼女がこれからすべき仕事でもある”おもり”の為に待たせている2人のところへと向かう。

gta_sa 2016-10-18 01-14-36-281

Sh「待たせたわね。さあ、行きましょう」
チルノ「久々のサンアンドレアス! 案内は私に任せておけ~!」

ショーンディはチルノ、そして大妖精の2人を連れて搭乗ゲートへと向かう。リバティーシティ、偶にくるのも悪くはない街だった。だが、次に訪れることなどあるのだろうか?
ああ、そういえばこの街は元カレが誰1人としていなかったっけ。この街で初めての元カレはジェイソンか、などと心の中で笑いながら空港内へと2人と共に足を踏み入れて行く。

gta_sa 2016-10-18 01-17-10-966
Ja「きっとこれが正しい判断だ」

ジェイソンは外で車にもたれかかりながらリバティーシティの夜空を眺める。街明かりであまり見えない星空。
見えるのはストートンアイランドの摩天楼と真っ黒の空、そして空を飛ぶ飛行機とヘリのライトだけ。
そんなものを眺めたところで心が静まるわけではないが、どこか落ち着くのもまた事実だ。
別れたばかりのショーンディに思いをはせながら。



Act.29/Act.31