ロスサントス ダウンタウン
慧音「こんなことまで頼むつもりではなかったんだが……」
Rick(Ri)「俺とあんたの仲だ。こっちが依頼を熟して、アンタは俺の要望をしっかり聞き入れる。そうだろ?」
慧音「ああ、そうだな」
ロスサントス中心部、ダウンタウン。もうリックにしてみればここ地理など頭に入りきっているのだが、問題はそこではない。
今、教会から多額の現金が強奪され、その強盗犯がロスサントスのダウンタウンを走り回っている、というのだ。
警察も動いてはいるようだが、未だ確保に至ってはいない。……のだが。
慧音「今は防犯カメラも追跡用のオービスもたくさん設置されていることに感謝しかないな。強盗犯の乗る3台のトラックの位置を割り出した。いずれも走行中だ」
Ri「車種は?」
慧音「マイバツ・ミュール。色は黒でナンバープレートはグリーンのネオンに変更されてる。見つけられればすぐにわかるだろう」
慧音は得意のスキルを駆使し、強盗犯が一体何に乗っており、どの方角を現在進行中かをある程度割り出した。
2022年のロスサントスにおいて防犯カメラやオービスなどは以前にも増して増えており、”街の目”はいたるところにある。
そしてターゲット、つまり強盗犯が乗るのは日本製の標準的なトラック、マイバツ社のミュール。
わずかながらも改造が施されているようで、ナンバープレートが取り付けられていないと言う事らしい。
そしてこちらが乗る車両はブラヴァド・バイソン。北米での売り上げベスト3に入る、ブラヴァドが販売するフルサイズピックアップトラック。
そのパワフルさと力強いフロントマスクにリア、カスタマイズ性の高さから国内に限らず、非正規でしか販売が行われていない外国でも人気が高い。
この車両はノーマルとは違い、虎柄のデカールとルーフライト、ロールケージ、スペアタイヤ、フロントバグガードなどかなりカスタムが施されている。
おまけにエンジンチューニングによってトルクも太くなっており、加速性はベースのバイソンを凌ぐ。
Ri「随分弄られてるバイソンみたいだが……?」
慧音「ああ、麻薬ディーラーから押収した車をそのままお前のところに運ばせた。警察から撒くためにいろいろ弄ってあるようだからな」
Ri「警察を巻くためが同業者を蹴散らすために使われるなんて皮肉なもんだな」
慧音によればここまで弄られているのは、麻薬ディーラーから押収した車両をそのままこちらに運び、使わせているかららしい。
汚職で知られるFIBが犯罪者を捕まえ、その犯罪者が使う車を取り上げるなんてかなりおかしな話にも聞こえるが、仮にも慧音は”汚職側とは真逆のFIB”だ。
そう考えればこのトラックを押収し、このような形で再利用しているのは悪いことではないのだろう。
さっそくターゲットの1台目を発見すれば、アクセルを踏み込みトラックの後ろへと付ける。
さて、ここからどうするか……このままダメージを与えて走行不能にする手段もあれば、ドライブバイでタイヤを打ち抜いて、パンクさせて動きを止めることもできる。
特にこの辺りは指示を受けていないので、判断は此方に任せられるのだろうが、どの手段が最も効果的で効率的なのだろうか。
時間が掛かればかかるほど、ターゲットに逃げられる可能性は上がる。加えてターゲットとなるトラックはこの1台だけではなく、全部で3台。
それぞれに現金がたんまり詰め込まれているともなれば、出来る限り早く現金を奪い返すか、トラックの動きを止める必要がある。
リックが下した決断は激突。ダメージを継続的に与える、もしくはトラックの弱点を突いて、相手の動きを止めてそのまま走行不能を狙う。
アクセルを離すことなく、まずは一度トラックの真後ろに激突。
幸いにもこのバイソンはフレーム強化100%が施されているようで、かすり傷が付く程度でドライバーやフレームにダメージは入らない。
一方で、相手のトラックにはそこそこ大きなダメージが入ったようで、既に走行性能が低下し、先ほどのようなスピードは出せていない。
続けざまに今度は後輪の辺りを狙ってボディを当てて行く。
随分がさつでありきたりなやり方だが、警察がPITマニューバを採用するのは走行中に後輪を突かれるとバランスを崩すからなのだ。
予想通りではなかったが、既にダメージを追っている、相手のミュールトラックはその追突を境に、徐々にスピードを落とし、路肩へと止まっていく。
どうやら思っていたよりも案外早く走行不能に陥ったようだ。
Ri「一台目撃破、後処理は任せるぞ」
慧音「思ったよりも早かったな……後処理は此方に任せてくれ。残りの2台を頼む」
早速1台目を撃破したリックは車を今度は2台目の居る方角へと走らせる。
後処理の方が慧音の方がやるとのことらしいのでクラッシュした強盗犯を他所にリックはそのまま通り過ぎる。
処理すると言っても逮捕と奪われた現金の回収、クラッシュしたトラックの事故処理程度の物だし、慧音の事だ。警察との太いパイプもあるので警察にその処理を任せるのだろう。
進行方向は西。スラム街の広がる西側とは対極的にロスサントスの東にはロデオドライブを中心とした高級ブランドショップの立ち並ぶ地区や、
マーケット地区を中心にレコードショップなどショッピングの盛んな場所が広がる。
さらにそこから南に下ればサンタマリアビーチ、北に行けばリッチマンなどセレブリティの暮す高級住宅地が広がる。
慧音「1台はマーケット地区を南下、もう1台はガントン方面に高速道路を走ってる」
Ri「まずはマーケットの方を片付けるよ」
残りは2台。トラックはそれぞれ真逆の方向を走っているため、非常に骨が折れるがこちらはトラック以上のスピードでトラフィックの間を縫って走っている。
この調子なら数分後にはマーケット地区の方を走っているトラックにぶつかるはず。
マーケット地区を過ぎ、サンタマリアビーチ周辺でその姿は確認できた。
高級車が多い中での真っ黒な改造トラックはいくら夜とは言っても嫌でも目立つ。
何故このトラックを選んだのかは疑問が残るが、そのままリックはターゲットを捕捉し、スピードを落とすことなく後ろに思いきりぶつける。
バランスを崩し、ふらついた走行になるトラック。元々ミュールのようなトラックは重心が高い為、こういった衝撃にはめっぽう弱い。
そこにさらに追撃とも言える一撃を加えれば、さらにバランスを崩し、そのまま壁に激突。2台目も一丁上がりというわけだ。
Ri「2台目も撃破したぞ。しっかしこいつらどこに行こうとしているんだ?」
慧音「おそらくだが、警察の目を回避しつつ、空港に向かうつもりなんだろう。最後の1台は空港方面に向けて走行中だ」
3台のトラックは現金を盗んだ後、それぞれが別の方向を走っているのだが、向かう先が全く見当もつかなかった。
ただロスサントス市内をぐるぐる回り、捕まえてくださいと言わんばかりなルート。でも、慧音の一言で納得だ。
警察の目をかいくぐってそれぞれが単独で行動し、空港で集結。おそらく飛行機か何かを待たせているのだろう。
リックはそのまま空港方面に向けて車を飛ばす。後ろに着くよりも合流を急ぐ方が賢明と判断しての行動だ。
このまま最後の1台を取り逃すわけにはいかない。それはリックも慧音も言葉にはしないがわかっているはず。
対向車線を走る黒のミュールを見つけるリック。生憎ここら一帯には中央分離帯があるため、すぐに相手の方に回り込めない。
加えて、このまま逆走して追いかけるのも考えたが、市民への被害や万が一のリスクを考えるとそれはあまり良い考えとは言えない。
待ち伏せするべきだったか、と少しばかり後悔の念を抱きつつ、さらに道なりに進み、中央分離帯が開けた所でUターンをし、追跡を続行する。
慧音「トラックが空港内に入ったようだ。急がないと取り逃がしてしまう」
Ri「ああ、わかってる。さっさと始末するさ」
トラックに追いつくより先にターゲットは空港内へと侵入して行った。つまり、ここが目的地というわけだ。
残り1台と言う所でターゲットが先に目的についてしまったのは悔しい所ではあるが、このまま引き下がるつもりはない。
リックはそのまま空港内へ侵入。目的はもちろん、ターゲットを追う為。おそらくトラックは現金を卸してそのまま飛行機で逃亡するのだろう。
トラックを追跡するリック。どこの格納庫に飛行機を待機させているのかはわからないが、
早々に蹴りをつけたいところなのだが、トラフィックの邪魔しない空港滑走路内。
トラックもスピードを上げて走行しているため、なかなかその距離を近づけることができない。
トラックが速度を緩める頃には既に格納庫の前に待機している1機の中型ビジネスジェット。そしてその周りにいる護衛。
見慣れない集団だが、1つハッキリしていることは”元々サンアンドレアスに居た犯罪組織ではない”ということ。
銃を携帯しており、こちらの存在に気付くなり、銃を乱射してくる。
Ri「クソ、なんなんだアイツらは」
慧音「おい、大丈夫か!?」
Ri「ああ、なんとか大丈夫だよ」
すぐに車を横向きに止めて、被弾しないよう注意しながら降りれば、カバー体勢に入るリック。
万が一の為にと渡されていたMP5が役に立つとは。銃を装備し、相手の様子を伺う。
突然のリックの反応に慧音は驚きを少しばかり隠せないが、安否が確認できればすぐさまバックアップに回る。
慧音「敵はおそらく見た目と車両から言ってデッカーズだろう。最近サンアンドレアスでシマを拡大しているハッカー集団だ」
慧音によれば敵はハッカー集団で、見慣れないと思えば、やはり最近サンアンドレアスに進出してきたばかりの犯罪集団らしい。
ハッカーと言えばどちらかと言えば表に出るようなことはせず、チンピラだの仲の良い犯罪組織に表でやるべき仕事を任せてるイメージがあるのだが、どうやら違うらしい。
視認できる敵の数はざっと10人ほど。
装備はいずれもM4やMac10と言ったアサルトライフルやサブマシンガン。腕前はおそらく平均的。特殊部隊隊員であるリックの前にこの程度の腕前ならばそこまで脅威ではない。
ダダダダダダ!!
カバー状態を解除し、すぐに敵の目の前に現れれば、的確に相手の急所と言う急所をMP5で撃ち抜いて行くリック。
特殊部隊で磨き上げられたスキルを前に、たかがギャングの腕前程度では敵うわけもなく、デッカーズの面々はそのまま絶命していく。
Ri「一掃完了だ」
慧音「流石としか言いようがないな。後はこちらで処理をしておくからそのまま引き上げてくれて構わないぞ」
Ri「車はどうすればいいんだ?」
慧音「そのまま持って行っても良いし、いらないなら警察署の敷地内に止めておいてくれれば後はこっちで済ませる」
敵の一掃を完了すればインカムで慧音に報告するリック。
この点に関して慧音はあまり心配していなかった。というのもリックが特殊部隊に所属する隊員であることは知っていたし、銃の腕が確かなのも確信していたからだ。
残りの処理は慧音が手配してある部下たちに任せるとして、問題はこの車だ。
仮にも押収車両、手っきり回収するものだとばかり思っていたのだが、慧音によれば好きにして良いとのこと。
とはいえ、この手の車は今必要ではないし、このまま持ち帰るかどうかは悩みどころだ。
まずは、空港から出ることが先決と判断し、そのまま車に乗り込みその場を後にするリック。このバイソンをどうするかは帰路に着きながら考えるとしよう。
Act.31/Act.33
慧音「こんなことまで頼むつもりではなかったんだが……」
Rick(Ri)「俺とあんたの仲だ。こっちが依頼を熟して、アンタは俺の要望をしっかり聞き入れる。そうだろ?」
慧音「ああ、そうだな」
ロスサントス中心部、ダウンタウン。もうリックにしてみればここ地理など頭に入りきっているのだが、問題はそこではない。
今、教会から多額の現金が強奪され、その強盗犯がロスサントスのダウンタウンを走り回っている、というのだ。
警察も動いてはいるようだが、未だ確保に至ってはいない。……のだが。
慧音「今は防犯カメラも追跡用のオービスもたくさん設置されていることに感謝しかないな。強盗犯の乗る3台のトラックの位置を割り出した。いずれも走行中だ」
Ri「車種は?」
慧音「マイバツ・ミュール。色は黒でナンバープレートはグリーンのネオンに変更されてる。見つけられればすぐにわかるだろう」
慧音は得意のスキルを駆使し、強盗犯が一体何に乗っており、どの方角を現在進行中かをある程度割り出した。
2022年のロスサントスにおいて防犯カメラやオービスなどは以前にも増して増えており、”街の目”はいたるところにある。
そしてターゲット、つまり強盗犯が乗るのは日本製の標準的なトラック、マイバツ社のミュール。
わずかながらも改造が施されているようで、ナンバープレートが取り付けられていないと言う事らしい。
そしてこちらが乗る車両はブラヴァド・バイソン。北米での売り上げベスト3に入る、ブラヴァドが販売するフルサイズピックアップトラック。
そのパワフルさと力強いフロントマスクにリア、カスタマイズ性の高さから国内に限らず、非正規でしか販売が行われていない外国でも人気が高い。
この車両はノーマルとは違い、虎柄のデカールとルーフライト、ロールケージ、スペアタイヤ、フロントバグガードなどかなりカスタムが施されている。
おまけにエンジンチューニングによってトルクも太くなっており、加速性はベースのバイソンを凌ぐ。
Ri「随分弄られてるバイソンみたいだが……?」
慧音「ああ、麻薬ディーラーから押収した車をそのままお前のところに運ばせた。警察から撒くためにいろいろ弄ってあるようだからな」
Ri「警察を巻くためが同業者を蹴散らすために使われるなんて皮肉なもんだな」
慧音によればここまで弄られているのは、麻薬ディーラーから押収した車両をそのままこちらに運び、使わせているかららしい。
汚職で知られるFIBが犯罪者を捕まえ、その犯罪者が使う車を取り上げるなんてかなりおかしな話にも聞こえるが、仮にも慧音は”汚職側とは真逆のFIB”だ。
そう考えればこのトラックを押収し、このような形で再利用しているのは悪いことではないのだろう。
さっそくターゲットの1台目を発見すれば、アクセルを踏み込みトラックの後ろへと付ける。
さて、ここからどうするか……このままダメージを与えて走行不能にする手段もあれば、ドライブバイでタイヤを打ち抜いて、パンクさせて動きを止めることもできる。
特にこの辺りは指示を受けていないので、判断は此方に任せられるのだろうが、どの手段が最も効果的で効率的なのだろうか。
時間が掛かればかかるほど、ターゲットに逃げられる可能性は上がる。加えてターゲットとなるトラックはこの1台だけではなく、全部で3台。
それぞれに現金がたんまり詰め込まれているともなれば、出来る限り早く現金を奪い返すか、トラックの動きを止める必要がある。
リックが下した決断は激突。ダメージを継続的に与える、もしくはトラックの弱点を突いて、相手の動きを止めてそのまま走行不能を狙う。
アクセルを離すことなく、まずは一度トラックの真後ろに激突。
幸いにもこのバイソンはフレーム強化100%が施されているようで、かすり傷が付く程度でドライバーやフレームにダメージは入らない。
一方で、相手のトラックにはそこそこ大きなダメージが入ったようで、既に走行性能が低下し、先ほどのようなスピードは出せていない。
続けざまに今度は後輪の辺りを狙ってボディを当てて行く。
随分がさつでありきたりなやり方だが、警察がPITマニューバを採用するのは走行中に後輪を突かれるとバランスを崩すからなのだ。
予想通りではなかったが、既にダメージを追っている、相手のミュールトラックはその追突を境に、徐々にスピードを落とし、路肩へと止まっていく。
どうやら思っていたよりも案外早く走行不能に陥ったようだ。
Ri「一台目撃破、後処理は任せるぞ」
慧音「思ったよりも早かったな……後処理は此方に任せてくれ。残りの2台を頼む」
早速1台目を撃破したリックは車を今度は2台目の居る方角へと走らせる。
後処理の方が慧音の方がやるとのことらしいのでクラッシュした強盗犯を他所にリックはそのまま通り過ぎる。
処理すると言っても逮捕と奪われた現金の回収、クラッシュしたトラックの事故処理程度の物だし、慧音の事だ。警察との太いパイプもあるので警察にその処理を任せるのだろう。
進行方向は西。スラム街の広がる西側とは対極的にロスサントスの東にはロデオドライブを中心とした高級ブランドショップの立ち並ぶ地区や、
マーケット地区を中心にレコードショップなどショッピングの盛んな場所が広がる。
さらにそこから南に下ればサンタマリアビーチ、北に行けばリッチマンなどセレブリティの暮す高級住宅地が広がる。
慧音「1台はマーケット地区を南下、もう1台はガントン方面に高速道路を走ってる」
Ri「まずはマーケットの方を片付けるよ」
残りは2台。トラックはそれぞれ真逆の方向を走っているため、非常に骨が折れるがこちらはトラック以上のスピードでトラフィックの間を縫って走っている。
この調子なら数分後にはマーケット地区の方を走っているトラックにぶつかるはず。
マーケット地区を過ぎ、サンタマリアビーチ周辺でその姿は確認できた。
高級車が多い中での真っ黒な改造トラックはいくら夜とは言っても嫌でも目立つ。
何故このトラックを選んだのかは疑問が残るが、そのままリックはターゲットを捕捉し、スピードを落とすことなく後ろに思いきりぶつける。
バランスを崩し、ふらついた走行になるトラック。元々ミュールのようなトラックは重心が高い為、こういった衝撃にはめっぽう弱い。
そこにさらに追撃とも言える一撃を加えれば、さらにバランスを崩し、そのまま壁に激突。2台目も一丁上がりというわけだ。
Ri「2台目も撃破したぞ。しっかしこいつらどこに行こうとしているんだ?」
慧音「おそらくだが、警察の目を回避しつつ、空港に向かうつもりなんだろう。最後の1台は空港方面に向けて走行中だ」
3台のトラックは現金を盗んだ後、それぞれが別の方向を走っているのだが、向かう先が全く見当もつかなかった。
ただロスサントス市内をぐるぐる回り、捕まえてくださいと言わんばかりなルート。でも、慧音の一言で納得だ。
警察の目をかいくぐってそれぞれが単独で行動し、空港で集結。おそらく飛行機か何かを待たせているのだろう。
リックはそのまま空港方面に向けて車を飛ばす。後ろに着くよりも合流を急ぐ方が賢明と判断しての行動だ。
このまま最後の1台を取り逃すわけにはいかない。それはリックも慧音も言葉にはしないがわかっているはず。
対向車線を走る黒のミュールを見つけるリック。生憎ここら一帯には中央分離帯があるため、すぐに相手の方に回り込めない。
加えて、このまま逆走して追いかけるのも考えたが、市民への被害や万が一のリスクを考えるとそれはあまり良い考えとは言えない。
待ち伏せするべきだったか、と少しばかり後悔の念を抱きつつ、さらに道なりに進み、中央分離帯が開けた所でUターンをし、追跡を続行する。
慧音「トラックが空港内に入ったようだ。急がないと取り逃がしてしまう」
Ri「ああ、わかってる。さっさと始末するさ」
トラックに追いつくより先にターゲットは空港内へと侵入して行った。つまり、ここが目的地というわけだ。
残り1台と言う所でターゲットが先に目的についてしまったのは悔しい所ではあるが、このまま引き下がるつもりはない。
リックはそのまま空港内へ侵入。目的はもちろん、ターゲットを追う為。おそらくトラックは現金を卸してそのまま飛行機で逃亡するのだろう。
トラックを追跡するリック。どこの格納庫に飛行機を待機させているのかはわからないが、
早々に蹴りをつけたいところなのだが、トラフィックの邪魔しない空港滑走路内。
トラックもスピードを上げて走行しているため、なかなかその距離を近づけることができない。
トラックが速度を緩める頃には既に格納庫の前に待機している1機の中型ビジネスジェット。そしてその周りにいる護衛。
見慣れない集団だが、1つハッキリしていることは”元々サンアンドレアスに居た犯罪組織ではない”ということ。
銃を携帯しており、こちらの存在に気付くなり、銃を乱射してくる。
Ri「クソ、なんなんだアイツらは」
慧音「おい、大丈夫か!?」
Ri「ああ、なんとか大丈夫だよ」
すぐに車を横向きに止めて、被弾しないよう注意しながら降りれば、カバー体勢に入るリック。
万が一の為にと渡されていたMP5が役に立つとは。銃を装備し、相手の様子を伺う。
突然のリックの反応に慧音は驚きを少しばかり隠せないが、安否が確認できればすぐさまバックアップに回る。
慧音「敵はおそらく見た目と車両から言ってデッカーズだろう。最近サンアンドレアスでシマを拡大しているハッカー集団だ」
慧音によれば敵はハッカー集団で、見慣れないと思えば、やはり最近サンアンドレアスに進出してきたばかりの犯罪集団らしい。
ハッカーと言えばどちらかと言えば表に出るようなことはせず、チンピラだの仲の良い犯罪組織に表でやるべき仕事を任せてるイメージがあるのだが、どうやら違うらしい。
視認できる敵の数はざっと10人ほど。
装備はいずれもM4やMac10と言ったアサルトライフルやサブマシンガン。腕前はおそらく平均的。特殊部隊隊員であるリックの前にこの程度の腕前ならばそこまで脅威ではない。
ダダダダダダ!!
カバー状態を解除し、すぐに敵の目の前に現れれば、的確に相手の急所と言う急所をMP5で撃ち抜いて行くリック。
特殊部隊で磨き上げられたスキルを前に、たかがギャングの腕前程度では敵うわけもなく、デッカーズの面々はそのまま絶命していく。
Ri「一掃完了だ」
慧音「流石としか言いようがないな。後はこちらで処理をしておくからそのまま引き上げてくれて構わないぞ」
Ri「車はどうすればいいんだ?」
慧音「そのまま持って行っても良いし、いらないなら警察署の敷地内に止めておいてくれれば後はこっちで済ませる」
敵の一掃を完了すればインカムで慧音に報告するリック。
この点に関して慧音はあまり心配していなかった。というのもリックが特殊部隊に所属する隊員であることは知っていたし、銃の腕が確かなのも確信していたからだ。
残りの処理は慧音が手配してある部下たちに任せるとして、問題はこの車だ。
仮にも押収車両、手っきり回収するものだとばかり思っていたのだが、慧音によれば好きにして良いとのこと。
とはいえ、この手の車は今必要ではないし、このまま持ち帰るかどうかは悩みどころだ。
まずは、空港から出ることが先決と判断し、そのまま車に乗り込みその場を後にするリック。このバイソンをどうするかは帰路に着きながら考えるとしよう。
Act.31/Act.33