ロスサントス ロスサントス港 STAG前哨仮基地
ロスサントスの南に位置する軍港エリア。
元々ここはアメリカ陸軍が使用する基地だったが、今はSTAG法案の影響もあり、STAG用の基地が完成するまでの間、一時的な仮基地として運用がなされている。
「コマンダー、新兵器の実施テスト及び、”彼”の検査も終了しました」
Chase(Ce)「ご苦労だった。結果を見せてくれ。………なるほどな」
「新兵器のS3X ハンマーは問題なく作動。検査結果はそちらの資料に」
STAGの司令官、チェイスはこの仮基地にて、部下からの報告を受け取る。今回、まだ実戦投入段階ではないと配備を見送った新型武器の「S3X ハンマー」。
レーザーエネルギー方式のショットガンでリロードを不要とする新型兵器。
もちろん技術はかつてアメリカを掌握しようとしていた、ゼン帝国の残した遺産から応用して作られたものである。
今は実施テスト段階だが、成績を見る限り、精度・威力・連射性能、どれも普通のショットガンと大差はなく、
加えてレーザー式と言うのもあり、遠距離でもある程度までは精度も威力も落ちないようだ。
Ce「……コイツを実戦投入するには厳しいか」
「まだ精神的に安定しているとは言えず、鎮静剤で無理やり大人しくさせている状況ですし、何より、ここまで来るといずれ薬が効かなくなる恐れも」
Ce「いいか、絶対表に出ないようにしろ。この案件はあの議員にも伏せてあることだからな」
もう1つの資料に目を通せば、ため息交じりに”まだ使えないのか”とため息を付くチェイス。
一体、彼らが用意したもう1つの兵器がなんなのか、まだ全容は見えないが1つ言えるのはS3X ハンマーや、他の兵器以上に厄介で、それでいて情報が洩れると厄介ということだ。
ロスサントス テンプル ロスサントスカスタム
にとり「いやー、まだこれに乗ってたんだね?」
霊夢「当たり前でしょ?」
Ashley(As)「よくこんなに持たせられるな」
ロスサントスカスタムにて。ここの整備士であるにとりは霊夢がまだ、自身のカスタムを施したフトを乗り続けている事に少し驚く。
もちろん、車の年式が既に四半世紀近く前の車体と言うのもあるが、既に1度エンジンを乗せ換えている上、その他、消耗部品を幾度となく取り替えてきている。
故に過走行車と言っても過言などではなく事実で、またカリンは欧州メーカーやマティアスと言った一部の日本メーカー、
パーツどころか車その物をいつでも再生産しようと思えばいつでも出来るアメ車メーカーとは違い、生産終了車種のパーツの再生産を行っておらず、
カリンの中古人気車は価格の上昇もさることながら、維持費も右肩上がりで上昇している。
カリン・フトはカリンの中でも取り立てて人気の高い車の1つで、日本発祥のコミックの影響もあり、世界中で人気の高い車の1つとなっている。無論、盗難率も高い。
霊夢「気に入る車があんまりないのよね」
にとり「あー、言いたいことはわかるかな」
霊夢「けど、フトで長距離移動って結構大変なのよ。日本車の良く無い所ね。これとは別にアシでも買おうかしら」
とは言え、霊夢的にしっくり来る、長く乗れる車というのはなかなか見つからない。とは言え、これは車好きならば以外と持つ感覚だろう。
霊夢の場合、特に古い車が良いとか、性能が良い車がしっくり来るとか、そういう類のことはないようだが、なかなか彼女の納得できるマシンと言う物がないようだ。
As「それならべネファクターはどうだ?」
霊夢「アレはダメ。すぐ壊れるんだもん。私の乗り方には合わないわ」
にとり「じゃあスカーレットは?」
霊夢「個人的にデザインが好みじゃないのよね。確かに走りも良いし、燃費も良いけど何か足りないって感じるのよ」
にとり「贅沢言うなあ、もう」
アシュレイもにとりも思い付くメーカーを上げて見る。ここ十数年、人気が高いのはやはり欧州車と一部の日本車だ。
欧州車なら今、ノリに乗っているスカーレットに、高級車メーカーのエナスやべネファクター、ウーバーマフト。
日本車ならば高級車メーカーとしての地位を確立させているエンペラーや大衆車の得意なカリンと、名前を出せばキリがない。
そしてアメリカン・ブランドも勿論、人気がないわけではないのだ。
だが、ドイツの高級車として名高いべネファクターも、大衆車から高級車、スーパーカーまで揃えているイギリスのスカーレットも霊夢の起きには召さないようだ。
霊夢「それよりも、私に頼みたいことって?」
As「おっと、忘れるところだったな。霊夢の手にかかればどれも簡単な仕事だ」
霊夢「簡単ならいいけど、しっかり報酬は払ってくれるんでしょうね?」
にとり「もちろんだよ。仕事内容はアシュレイがメールに送ったんだけど……見てくれてる?」
霊夢は首を横に振ってから自身の携帯電話を取出し、メールを確認する。
新着メッセージが数件。思えば、数日間ロクに携帯に触れていなかった。
メールボックスの中から最も新しいメールであるアシュレイのメールを確認すれば、概ね仕事内容を理解する。簡単に説明するなら、カスタムパーツの配達だ。
霊夢「こんなの、2人のどっちかがやれば良いんじゃないの?」
にとり「それがそうもいかなくて。早急にし上げなきゃいけない車が1台あるんだ。それだけで私もアシュレイも手一杯で」
As「うちの社用車使ってもいいから頼んだぞ、霊夢」
霊夢「……まったく、仕方ないわね」
にとり「そうだ、出来るだけ早く届けてくれる? 今日のレースに使うらしいんだ」
不服ではあるが、報酬も出てなおかつ、腐れ縁の2人の頼みとあっては断るに断れない。
渋々了承した霊夢は、携帯を仕舞い、にとりから配達するパーツを受け取れば、ガレージの外へと出る。
確かロスサントス・カスタムの社用車はあのスラムバンだっただろうか。
霊夢は助手席に配達する荷物を置けば、運転席に乗り込み、エンジンをスタートさせて目的地のダウンタウン南部へと車を走らせる。
ロスサントス ロスサントス警察署 内部
小町「四季様、例の件ですが……」
四季「STAGの事は承知してますよ。ですが、此方からは簡単に手出しが出来ない以上、簡単には彼らを追い出す事は出来ないでしょうね」
SAPDもまた、STAGに関連して揺れていた。定期的にかかってくる通報の中には明らかにSTAGと思わしき集団の通報がある。
というのも、テレビやネットニュース等でSTAGに関連した報道をいくら流したところで、その網にかからない層がアメリカには居る。
英語がわからない南米からの移民、ネットもテレビも見ない層、或いはホームレス。
そういった層はSTAG法案その物を理解して居なかったり、知らなかったりする者が数知れず。
故に、特殊部隊が見たこともないような武器を持って集団で居れば、それは”不審者”や”テロリスト”として通報されるに至る。
四季「にしても、この通報の数には頭を悩ませますね。一応広告は打っているはずですが……」
小町「まだまだ認知に時間がかかるってことじゃないですかね。テレビを見ない人も最近は多いですから」
街中ではSTAGを認知させようとタクシー広告やバスの車内広告、ビルボード等でSTAG隊員の募集を呼びかける広告が目に付くのだが、それでも効果はいま一つな様子。
いつからか、人は他人や回りの事に興味を示さなくなって行った気がする。スマートフォンの普及が要因の1つだろうか。
だが、四季はもっと別のところにその理由がある様な気がしてならない。
四季「おや、メールが……。IAA長官からですね」
小町「射命丸からですか?」
四季「ええ。彼女がSTAG法案に否定的だったのは存じてましたが、どうやらSTAGに”反対したい人”は私だけではなかったようです」
パソコンに表示される1通のメール受信の通知。メールの中身は”STAG法案に関して、直接話がしたい”というような内容の物だ。
IAA長官と言う立場の人間と、STAGを受け入れるサンアンドレアス州の警察機関を統括する四季映姫の2人の機密裏の会談。
公式にせよ、非公式にせよ、それは問題ではなく、四季にとっての問題は文と、自身のSTAGに対する考えが”どこまで一致するか”だ。
四季「数日後にセッティングしましょう。小町、準備に取り掛かってちょうだい」
小町「はい、四季様」
四季にとっても、これはおそらく意味のある事だと判断する。
四季はSTAGや州、国の言いなりになる気などさらさらなく、STAG法案に関しては珍しく反発心を抱いている。
そんな状況下で、同じ法案に反対していて、なおかつ立場的にも自身よりも上になるであろう、文と意見交換の場が設けられるとしたら、それはかなりプラスに作用するのではないか。
TO:射命丸文
TITLE:RE.STAG法案について
3日後、14時に予定を開けておきます。場所についてはそちらで決めてくださると助かります。
四季はメールを返信すれば、早速彼女との会談に向けて準備を始める。極力この会談に関する情報が外に漏れない為の。
ロスサントスの南に位置する軍港エリア。
元々ここはアメリカ陸軍が使用する基地だったが、今はSTAG法案の影響もあり、STAG用の基地が完成するまでの間、一時的な仮基地として運用がなされている。
「コマンダー、新兵器の実施テスト及び、”彼”の検査も終了しました」
Chase(Ce)「ご苦労だった。結果を見せてくれ。………なるほどな」
「新兵器のS3X ハンマーは問題なく作動。検査結果はそちらの資料に」
STAGの司令官、チェイスはこの仮基地にて、部下からの報告を受け取る。今回、まだ実戦投入段階ではないと配備を見送った新型武器の「S3X ハンマー」。
レーザーエネルギー方式のショットガンでリロードを不要とする新型兵器。
もちろん技術はかつてアメリカを掌握しようとしていた、ゼン帝国の残した遺産から応用して作られたものである。
今は実施テスト段階だが、成績を見る限り、精度・威力・連射性能、どれも普通のショットガンと大差はなく、
加えてレーザー式と言うのもあり、遠距離でもある程度までは精度も威力も落ちないようだ。
Ce「……コイツを実戦投入するには厳しいか」
「まだ精神的に安定しているとは言えず、鎮静剤で無理やり大人しくさせている状況ですし、何より、ここまで来るといずれ薬が効かなくなる恐れも」
Ce「いいか、絶対表に出ないようにしろ。この案件はあの議員にも伏せてあることだからな」
もう1つの資料に目を通せば、ため息交じりに”まだ使えないのか”とため息を付くチェイス。
一体、彼らが用意したもう1つの兵器がなんなのか、まだ全容は見えないが1つ言えるのはS3X ハンマーや、他の兵器以上に厄介で、それでいて情報が洩れると厄介ということだ。
ロスサントス テンプル ロスサントスカスタム
にとり「いやー、まだこれに乗ってたんだね?」
霊夢「当たり前でしょ?」
Ashley(As)「よくこんなに持たせられるな」
ロスサントスカスタムにて。ここの整備士であるにとりは霊夢がまだ、自身のカスタムを施したフトを乗り続けている事に少し驚く。
もちろん、車の年式が既に四半世紀近く前の車体と言うのもあるが、既に1度エンジンを乗せ換えている上、その他、消耗部品を幾度となく取り替えてきている。
故に過走行車と言っても過言などではなく事実で、またカリンは欧州メーカーやマティアスと言った一部の日本メーカー、
パーツどころか車その物をいつでも再生産しようと思えばいつでも出来るアメ車メーカーとは違い、生産終了車種のパーツの再生産を行っておらず、
カリンの中古人気車は価格の上昇もさることながら、維持費も右肩上がりで上昇している。
カリン・フトはカリンの中でも取り立てて人気の高い車の1つで、日本発祥のコミックの影響もあり、世界中で人気の高い車の1つとなっている。無論、盗難率も高い。
霊夢「気に入る車があんまりないのよね」
にとり「あー、言いたいことはわかるかな」
霊夢「けど、フトで長距離移動って結構大変なのよ。日本車の良く無い所ね。これとは別にアシでも買おうかしら」
とは言え、霊夢的にしっくり来る、長く乗れる車というのはなかなか見つからない。とは言え、これは車好きならば以外と持つ感覚だろう。
霊夢の場合、特に古い車が良いとか、性能が良い車がしっくり来るとか、そういう類のことはないようだが、なかなか彼女の納得できるマシンと言う物がないようだ。
As「それならべネファクターはどうだ?」
霊夢「アレはダメ。すぐ壊れるんだもん。私の乗り方には合わないわ」
にとり「じゃあスカーレットは?」
霊夢「個人的にデザインが好みじゃないのよね。確かに走りも良いし、燃費も良いけど何か足りないって感じるのよ」
にとり「贅沢言うなあ、もう」
アシュレイもにとりも思い付くメーカーを上げて見る。ここ十数年、人気が高いのはやはり欧州車と一部の日本車だ。
欧州車なら今、ノリに乗っているスカーレットに、高級車メーカーのエナスやべネファクター、ウーバーマフト。
日本車ならば高級車メーカーとしての地位を確立させているエンペラーや大衆車の得意なカリンと、名前を出せばキリがない。
そしてアメリカン・ブランドも勿論、人気がないわけではないのだ。
だが、ドイツの高級車として名高いべネファクターも、大衆車から高級車、スーパーカーまで揃えているイギリスのスカーレットも霊夢の起きには召さないようだ。
霊夢「それよりも、私に頼みたいことって?」
As「おっと、忘れるところだったな。霊夢の手にかかればどれも簡単な仕事だ」
霊夢「簡単ならいいけど、しっかり報酬は払ってくれるんでしょうね?」
にとり「もちろんだよ。仕事内容はアシュレイがメールに送ったんだけど……見てくれてる?」
霊夢は首を横に振ってから自身の携帯電話を取出し、メールを確認する。
新着メッセージが数件。思えば、数日間ロクに携帯に触れていなかった。
メールボックスの中から最も新しいメールであるアシュレイのメールを確認すれば、概ね仕事内容を理解する。簡単に説明するなら、カスタムパーツの配達だ。
霊夢「こんなの、2人のどっちかがやれば良いんじゃないの?」
にとり「それがそうもいかなくて。早急にし上げなきゃいけない車が1台あるんだ。それだけで私もアシュレイも手一杯で」
As「うちの社用車使ってもいいから頼んだぞ、霊夢」
霊夢「……まったく、仕方ないわね」
にとり「そうだ、出来るだけ早く届けてくれる? 今日のレースに使うらしいんだ」
不服ではあるが、報酬も出てなおかつ、腐れ縁の2人の頼みとあっては断るに断れない。
渋々了承した霊夢は、携帯を仕舞い、にとりから配達するパーツを受け取れば、ガレージの外へと出る。
確かロスサントス・カスタムの社用車はあのスラムバンだっただろうか。
霊夢は助手席に配達する荷物を置けば、運転席に乗り込み、エンジンをスタートさせて目的地のダウンタウン南部へと車を走らせる。
ロスサントス ロスサントス警察署 内部
小町「四季様、例の件ですが……」
四季「STAGの事は承知してますよ。ですが、此方からは簡単に手出しが出来ない以上、簡単には彼らを追い出す事は出来ないでしょうね」
SAPDもまた、STAGに関連して揺れていた。定期的にかかってくる通報の中には明らかにSTAGと思わしき集団の通報がある。
というのも、テレビやネットニュース等でSTAGに関連した報道をいくら流したところで、その網にかからない層がアメリカには居る。
英語がわからない南米からの移民、ネットもテレビも見ない層、或いはホームレス。
そういった層はSTAG法案その物を理解して居なかったり、知らなかったりする者が数知れず。
故に、特殊部隊が見たこともないような武器を持って集団で居れば、それは”不審者”や”テロリスト”として通報されるに至る。
四季「にしても、この通報の数には頭を悩ませますね。一応広告は打っているはずですが……」
小町「まだまだ認知に時間がかかるってことじゃないですかね。テレビを見ない人も最近は多いですから」
街中ではSTAGを認知させようとタクシー広告やバスの車内広告、ビルボード等でSTAG隊員の募集を呼びかける広告が目に付くのだが、それでも効果はいま一つな様子。
いつからか、人は他人や回りの事に興味を示さなくなって行った気がする。スマートフォンの普及が要因の1つだろうか。
だが、四季はもっと別のところにその理由がある様な気がしてならない。
四季「おや、メールが……。IAA長官からですね」
小町「射命丸からですか?」
四季「ええ。彼女がSTAG法案に否定的だったのは存じてましたが、どうやらSTAGに”反対したい人”は私だけではなかったようです」
パソコンに表示される1通のメール受信の通知。メールの中身は”STAG法案に関して、直接話がしたい”というような内容の物だ。
IAA長官と言う立場の人間と、STAGを受け入れるサンアンドレアス州の警察機関を統括する四季映姫の2人の機密裏の会談。
公式にせよ、非公式にせよ、それは問題ではなく、四季にとっての問題は文と、自身のSTAGに対する考えが”どこまで一致するか”だ。
四季「数日後にセッティングしましょう。小町、準備に取り掛かってちょうだい」
小町「はい、四季様」
四季にとっても、これはおそらく意味のある事だと判断する。
四季はSTAGや州、国の言いなりになる気などさらさらなく、STAG法案に関しては珍しく反発心を抱いている。
そんな状況下で、同じ法案に反対していて、なおかつ立場的にも自身よりも上になるであろう、文と意見交換の場が設けられるとしたら、それはかなりプラスに作用するのではないか。
TO:射命丸文
TITLE:RE.STAG法案について
3日後、14時に予定を開けておきます。場所についてはそちらで決めてくださると助かります。
四季はメールを返信すれば、早速彼女との会談に向けて準備を始める。極力この会談に関する情報が外に漏れない為の。