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ロスサントス LSIA 格納庫
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ロスサントス国際空港。アメリカ、ひいては世界中との航路を結ぶここに1台のトラックが停まっていた。
極々平凡なHVYの平台トラックのビフ。しかし積まれている荷物は非常に高価で非常に高性能なアルター社のスーパーコンピューターだ。

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「予定通り運び出します」

トラックには1台の警備車両と2人1組でアルターのマサコチームが搭乗する。
当然だろう、非常に高価なこのスーパーコンピューターをダウンタウンにあるアルターの本社ビルまで運び込むのだから。

マーシャルロー敢行後、陸路でロスサントスに到達するには非常に難易度が高くなった。
それはロスサントス市内でSTAGが検問を張り、簡単には出ることも入る事も出来なくなっているからなのだが、
どういうわけか航路はLSIAの存在か、それともロスサントスにはヘリコプターで移動するセレブや管理職が多いからか、警備が手薄。
常にレーダーで航空機情報を監視しているようだが、それでもやはり制空権は支配していない様子。故にアルターの輸送機がLSIAに到着しても、STAGが駆けつけてくるようなことは起こっていない。

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アルター社の警備車両を先頭に、トラックが発進。進行方向はダウンタウンのアルター本社。
ハイウェイを使えばすぐに到達できる距離で、おそらく1時間もしないで配達が完了するだろう。

――何もなければ、だが。

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「ボス、トラックが動き出しました」
JACK「予定通り進めてくれ。ロードブロックで動きを止めろ。そうそう、銃は使っても良いが絶対スーパーコンピューターに当てるなよ?」

その様子を遠くから伺う1人の影。無線の相手は声からしてJACK……デッカーズのボスだろう。
彼らの狙いはあのアルターのスーパーコンピューター。全米でも屈指のスペックを誇る為、ハッカー集団であるデッカーズにとっては、大そう魅力的な物なのだ。

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トラックと警護車両は順調に高速道路のインターに入り、ダウンタウンに向けて走行している。
それを随時交通カメラでデッカーズは確認しながら、バリケードの準備に取り掛かる。

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高速のインターチェンジを降りたトラックを待ち構えるのはデッカーズの車両で塞がれたロードブロック。
簡単には通り抜けない現状にアルターのマサコチームは迎撃態勢に入りながら、車を止める。





ロスサントス ダウンタウン アルター本社ビル
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幽香「襲撃を受けてる? 相手は誰なのかしら?」
エリー「マサコチームから報告が上がったわ。多分デッカーズでしょうね」
幽香「暫く静かにしていたと思ったんだけれど、そっちがその気ならやるまでよ」

アルター本社ビルにて、スーパーコンピューターを輸送しているトラックが襲撃を受けているとの報告をエリーから受け取る幽香。
万が一を想定していたとはいえ、本当に予想通り、デッカーズが襲ってくるとは。
彼らに数千万ドル規模の投資をしているこのスーパーコンピューターを易々と渡すわけにはいかない。

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幽香はエリーを連れてビルの地下駐車場へと向かい、車へと乗り込む。リヴノ・サイクロン。最近の幽香のアシとなっている、電気自動車のスーパーカー。
静かながらも、その圧倒的な加速で一気に地下駐車場を後にしながら、幽香はデッカーズが銃撃戦を繰り広げているダウンタウン北の、インターチェンジへと向かう。

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ダダダダダダ!!

到着するなり、既にデッカーズとマサコチームとで銃撃戦が展開され、流れ弾が各所に飛んで、それに驚いた市民たちが逃げ惑って行く。
仮にもマサコチームはNOOSEや、それ以上にも匹敵するだけの力を持つ、精鋭部隊だが、いくらそんな彼らでも、圧倒的な数の暴力で圧しているデッカーズの方がやや優位。

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「おい!風見幽香だ!あっちも狙え!」
幽香「まったく……。私を怒らせた人がどうなったのか、知らないのかしら? ……大人しくしていれば良かったものを」

幽香とエリーの存在に気付くなり、デッカーズの攻撃対象はスーパーコンピューターを護衛するマサコチームに加えて、幽香とエリーの2人にまで及ぶ。
当然だろう、このコンピューターの持ち主であり、そしてカルテルと敵対しているシンジケートで重要な役割を持つアルター社のCEOでもある幽香がこの場に居るとなれば、彼らがそうするのも当然の事だろう。

しかし、幽香を”怒らせてしまった”のが彼らの運の尽き。幽香は的確にデッカーズの頭にデザートイーグルの大口径の弾をぶち抜いて1人1人、確実に始末して行く。

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気付けば、形勢はすっかり逆転した。
数では圧倒的に有利だったはずのデッカーズはみるみる内に弱体化して行き、生き残った残党は蜘蛛の子を散らすようにして、目的を放棄して逃げ帰ってゆく。
だが、それで許すほど、幽香は甘くはない。

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幽香「エリー、コンピューターは頼んだわ。私は残党を完全に始末するから」

幽香は乗り付けてきたサイクロンのトランクを開けて、RPGを取り出す。
無論、これはただのRPGではない。熱追尾式のロケットランチャーで、またの名を”アナイアレイターRPG”と言う。
アルター社もこのRPGの開発に協力しており、その追尾性能はホーミングランチャーの名前で知られていたあのロケットランチャーをも超越する性能だ。

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幽香はしっかりと狙いを定めて、遠くへと逃げようとしている、デッカーズのカヴァルケードFXTにしっかり狙いを定める。
そして――。

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狙った獲物は逃さない。この言葉がもっともしっくりくる武器だ。ロックオンが完了するとともに、幽香はトリガーを引く。
そして、デッカーズのカヴァルケードFXTに真っ直ぐミサイルが飛んでゆき、次の瞬間には着弾。
そのまま爆発四散して炎上。やはり重火器はこうでなくてはならない。跡形もなく残る燃えカスを遠くから眺め、満足げな表情を浮かべる幽香。

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エリー「幽香、そっちはどう?」
幽香「残党も消し炭にして差し上げたわ。それよりコンピューターは大丈夫かしら?」
エリー「ええ、彼らもやっぱり迂闊にコンピューターに銃を撃てないことくらいはわかってるもの。無傷だったわ」
幽香「それなら安心だわ。すぐにそっちに戻るわね」

エリーからの連絡を受け取りながら、幽香はサイクロンのトランクにアナイアレイターRPGを仕舞うと共に、車に乗り込む。

普段から車に重火器を積んでいるわけではないが、普通の拳銃なら、幽香は常日頃から持ち歩いている。
それは自身が命を狙われ易い立場というのもあるが、彼女が銃愛好家というのも、多かれ少なかれ関係しているのだろう。



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