cut5



バインウッド リッチマン 邸宅
gta_sa 2018-06-11 17-21-57-929
幽香「あまり頼みたくはないけれど、研究の為に脱いで欲しいのよ」
Yohei(Yh)「……正気で言ってるのか?」
幽香「あら、私はいつでも正気よ。あなたが男なのはわかっているし、頼むのも変な話だけれど興味があるのよ」

アルター社で巻き起こった一連の騒動の後、幽香は数日ぶりになる自宅に帰ってきた。ヨーヘイに頼みごとを引っさげて。
元々自宅には休日と仕事が忙しくない時期以外帰ることは少ないのだが、今は2人も居候を抱えている為、ここ最近は数日、間が空くことも多いが、自宅に帰ってくる頻度は高くなった。

gta_sa 2018-06-11 17-22-23-283
幽香「ギブアンドテイクのような物……かしら。あなたの身体がどうなっているのか、見当も付かないの」
Yh「そうは言ったってだな……」

幽香がどうしても気になる事。それは彼の身体の構造だ。
確かに、DNA検査には通しているが、彼の身体をしっかりと見た事があるわけではない。
上は独特の服なので、筋骨隆々のたくましい身体であることは一目でわかるが、では下はどうなのだろうか。
筋肉が、というよりも幽香が最も気になるのは生殖機能だ。動物と人のハイブリッドである彼のそれはどうなっているのか。
人に近いのか、はたまたネコ科のものに近いのか……。
決して幽香は何かを企んでるわけでもなく、何かがしたいわけでもなく、生物学的な興味が非常に強いのだ。

gta_sa 2018-06-11 17-24-05-485
こころ「幽香さん、駄目だよ、猫さんをいじめちゃ」
幽香「あら、私はいじめてるつもりはないわよ?」
こころ「でも言ってることがまるで脅しだよ?」
幽香「そうかしら。こころ、あなたは気にならないの?」
こころ「うーん、私はそんなに……」

2人の会話を聞きつけたこころが幽香を止めに入る。
こころがヨーヘイの面倒を見ている、というのもあるだろうが、こころは何故かヨーヘイを酷く気に入っており、ヨーヘイもまた、こころが色々と面倒を見ている関係か、彼女にはそこそこ心を開いている様子。
ヨーヘイは他人に自身の毛並みをあまり触らせようとはしないが、こころにだけはその綺麗でもふもふな毛並みを触れさせている。
それだけヨーヘイにとってのこころは数少ない心の拠り所なのだろう。

gta_sa 2018-06-11 17-24-31-468
幽香「あなたはそう言えばこの手の事には興味なかったわね……。こういう時に男の人が身近に居れば良かったんだけど」

異姓に対して自身の身体をさらけ出すのはやはりそれなりの覚悟が必要だ。だが、同性相手ならそこまで強くは抵抗も無くなるだろう。
とは言え、シンジケートに所属する組織の多くは女性が長を務めていることが殆どで、側近や長に近しいところに男性は居るものの、やはり全体的に構成員や社員を除くと男性の割合は少ないように思われる。
裏を返せば、それだけかつてと比べて女性が社会進出しているという事でもあるのだが。

gta_sa 2018-06-11 17-24-20-767
こころ「ブランドンさんは?」
幽香「彼は仕事のオンオフが激しいのよ」

ブランドンは幽香の第一秘書。彼は幽香に最も近い男性と言えるが、彼は仕事のオンオフが激しく、
仕事中はしっかりと卒なく仕事を熟すのに対し、休暇中や仕事終わり、つまり”プライベート”な時は酷くクールである。
幽香の働き方のスタンスと近いとはいえ、どうも幽香とは仕事以外での関わりをそこまで持ちたくないようだ。
無論、幽香も彼のその考えを尊重し、必要以上に踏み込まないし、必要な時以外連絡は入れていない。

gta_sa 2018-06-11 17-24-41-102
Yh「何だっていいが、脱がねえからな」
幽香「ありとあらゆる手段を実行するまでね。然るべき時に」
こころ「さり気なく怖い事言わないでよ、幽香さん……」

ヨーヘイは見かけの割に精神年齢がやや幼く感じられる。例えるなら、思春期特有の子供のような、そんな反応を示す。
もっとも、彼の年齢自体20になるかならないかぐらいの物なので、思春期が遅れてやって来た、なんて言ってもおかしな話ではないのだが。

gta_sa 2018-06-11 17-27-00-280
幽香「失礼、電話が。……私よ、どうしたの、エリー?」
エリー「ルチャドールズに貸し出したファントムの事だけど……」
幽香「どうかしたの?」
エリー「ボコボコになって返ってきたのよ。エンジンにかなりダメージが入ってて修理工もお手上げ。廃車コースね」

幽香のスマートフォンに入る連絡はエリーからの物。
レジスタンスをルチャドールズの拠点に移す一連のプランに対し、アルター社はルチャドールズにカスタム用のトレーラーヘッドを1台貸し出した。

と言っても、アルター社が中古で購入したファントムをそのままルチャドールズに引き渡しただけであり、それがどうなろうがアルター社にはさほど関係なかったのだが、返却して来たらしい。
だが、エリーの話によるとトラックはエンジンにかなりのダメージが蓄積されており、アルター社の整備士をもってしてもお手上げ。廃車にするしかなさそうなレベルらしい。

gta_sa 2018-06-11 17-27-11-578
幽香「仕方ないわね。どの道中古の物をそのまま彼らに譲ったようなものだから、廃棄しておいて頂戴」
エリー「伝えておくわ」

わざわざ修理やエンジン換装してまでも、このトレーラーを持ち続ける意味はないので、幽香は廃棄するようにエリーに指示を出しておく。
楔を取り付けた、まさしく道路に嵐を引き起こすためだけにカスタムされたファントムに興味はあったが、
普通のファントムは現在においても新車で買えるのに加えて、わざわざ中古のカスタムメイドを修理したところで使い道もないと判断。
楔くらいは取り外して保管しておくのも良いのかもしれないが……。



ティエラロバーダ 邸宅
gta_sa 2018-06-11 17-29-44-650
慧音「ふむ……」

パソコンと睨めっこしながら、首を傾げる慧音。
ラスベンチュラスでリフレッシュしてきた2人は、既に邸宅に戻っている。しかし、慧音は腑に落ちないことがあるようだ。

gta_sa 2018-06-11 17-29-57-424
妹紅「どうしたんだ、慧音?」

それを見かねた妹紅は、慧音に声を掛ける。
リフレッシュして来たばかりだと言うのに、再び浮かない顔をしているのだ、気になるのも無理はない。

gta_sa 2018-06-11 17-30-06-032
慧音「STAGがマーシャルローを実行したのは聞いてるだろう?」
妹紅「ああ、テレビでやってたな。ロスサントスとラスベンチュラスを中心にやるんだろう?」
慧音「ここ最近の彼らの言動や結果を見るに、私は勘違いしていたのかもしれない」

STAGに関連した様々な事件。STAGは元々対ギャングユニットとして発足された軍隊だが、彼らの配備以降どうなっただろうか。
最初は確かに治安が改善されたが、配備されてからはや数週間。治安は急激に悪化している。
サンアンドレアスを中心に、アメリカ各地でSTAG反対デモが繰り広げられ、度々STAGや警察とデモ隊が衝突している。
一部のメディアはこんな状況でもSTAGを持ち上げるかのような報道をしているが、ローカル9やウィーゼルと言ったメディアは非常に懐疑的な立場を取って報道している。

慧音は最初、STAGはアメリカを良くしてくれるものだと思っていた。しかし実際はどうだろうか。

gta_sa 2018-06-11 17-30-57-231
妹紅「勘違い?」
慧音「実際は文の言う通り、STAGは逆効果なのかもしれない」

当初慧音はSTAGに対して肯定的な立場を取っていた。しかし今はどうだろう。度重なる不祥事とも取れるSTAGのトラブル。
チェイス・ライトの職権乱用も目立ち始めており、STAGはもはや本来の意図するところからかけ離れているようにも思える。
そして、その結果は治安と言う形で反映されている。ますますギャングやチンピラの犯罪は増えて、
結果としてアメリカ全体の治安がシンジケートが台頭した2020年後半から2021年にかけてよりも、大幅に悪化しているのだから。

gta_sa 2018-06-11 17-32-46-319
妹紅「私から言わせれば、STAGはこのまま居続けたら間違いなく、アメリカはもっと悪い方向に行くと思うな」
慧音「……そうか。私の考えも妹紅のおかげでまとまったよ」

慧音の意思は妹紅の意見を聞いて、間違いなく固まった。
STAGをこのまま野放しにすれば、アメリカが良くなるどころか、逆にどんどん悪くなって行くと。もし、そうなれば後に待つのは今よりも酷い社会。
ただでさえ、現代社会には問題が多すぎると言うのに、それがますます突き進んで行くともなれば、アメリカと言う大国は内側からゆっくりと崩れて行くだろう。

gta_sa 2018-06-11 17-37-27-197
妹紅「それなら良かったよ、慧音。……そうだ、明日、新調した車の慣らしをしようと思うんだけど、慧音も一緒にどうだ?」
慧音「慣らし運転か。私も付き合おう」
妹紅「そう言ってくれると思ったよ。明日朝一でラスベンチュラスの方にまた行こう」

妹紅はつい最近、新しい車を新調した。車種は敢えて伏せておくが、またしてもクラシックカーと呼ばれる部類の車。
彼女は新しい車に興味がないわけじゃないが、好みの傾向として妙に古い車が好きになる。それも、かつてアメリカで一世を風靡したような、人気のあったマシンだ。

例えば、今彼女が乗っているインポンテ・フェニックスもまた、その1台と言えるだろう。
アメリカで一世を風靡したポニーカー、現代で言うマッスルカーで、そのデザインから市場価値は高く、既に生産終了から半世紀近くが経過した今でも人気を誇る。
映画にドラマにゲームと非常にメディアへの露出が多いのも、それを後押ししているのだろう。

彼女が新しく調達した車もまた、アメリカではともかく、日本では非常にメディアへの露出が多く、アメリカでもここ数年爆発的な人気を見せている”とある車種”だ。



←Before Act.21「ハッキングコネクション」
Next→ Act.23「サーチ」