cut5



ラスベンチュラス ロックショアウェスト
gta_sa 2018-06-12 17-29-13-917

ラスベンチュラスの南部に位置する閑静な住宅街。
北部が最上流階級だとしたら、この地域は今ではかなり数を減らしてしまった中流階級から、最上流まで行かなくとも、高所得層が数多く暮らす場所でもある。

gta_sa 2018-06-12 17-29-51-558
妹紅「なあ、慧音。知ってるか? ここ最近この辺りで服を着た二足歩行の山羊と少女が2人で歩いてるのが目撃されてるって」
慧音「ブリッターで話題になっている奴か?」
妹紅「ああ、そうだ。もし本当に居たらどうする?」

そんな閑静な住宅街を古い車らしい少し野太くも腑抜けたエンジン音を奏でながら走り抜けるのは、妹紅のアニス・ユーロス。それも初期のモデルだ。
北米でも展開されていたスポーツカーのユーロスは、妹紅が乗っているような、古いモデルを中心にここ数年、ブームを見せており、中古車価格は上昇。
アメリカのかつてのマッスルカーのような扱いを受けており、チューニングマシンとして一気にその知名度を上げた。
その背景にはおそらく、アメリカのミニカーブランドから多数リリースされたり、ゲームに多数登場したことが大きいだろう。

gta_sa 2018-06-12 17-38-09-736
慧音「うーん、そうだな。居たとしたら……」
妹紅「待て、慧音。アレをみろ」

2人がそれとなく会話していたのは、ここ最近ロックショアウェストで目撃されているという、二足歩行の服を着た山羊と少女の話。
ブリッターでこの辺りを通りかかった者が画像つきでブリートしてからというもの、世界中に拡散されて様々な議論を呼んだ。
これを”本物”とする声もあれば、着ぐるみを着て出歩いているだけと言った意見に、ヤラセ、デマ……等々、懐疑的な意見から肯定的な意見まで様々。
妹紅がここを通ったのは、それらの噂の検証をしてみたいと、興味本位だった。

gta_sa 2018-06-12 17-34-37-350
慧音「……やっぱりな」
妹紅「声、掛けた方が良いよな?」

興味本位で通った。たったそれだけなのに、その”噂”が真実であることを知る事になる。
2人の視線の先にあるのは、噂通り、服を着て、二足歩行をして歩いている山羊と、同じくらいの背格好の少女……。
間違いない、ブリッターで話題になっていた2人だろう。しかし、着ぐるみという感じは一切しない。むしろ、本当に獣人のような……。

gta_sa 2018-06-12 17-41-10-335

妹紅は車の速度を落としてそのまま歩いている2人の近くに車を寄せて行く。
何とも奇妙な運命のめぐり合わせ。”偶々噂を聞いてやって来た”だけなのに、その噂になっている物と巡り合うとは。
非常に運命とは奇妙で、何があるかわからないものだ。

gta_sa 2018-06-12 17-42-48-015
慧音「なあ、君たち」

車を降りるなり、慧音は彼らに声を掛ける。だが、声を掛けられるなり、駆け出してその場から逃げようとする2人。
慧音はもう一度彼らを呼んで、なんとか2人を呼び止める。逃げ出す、ということは何かしらの事情があるのだろうが、まずはこちらが敵ではない事、危害を加えない事を証明しなくてはならない。

gta_sa 2018-06-12 17-42-55-475
慧音「私たちは君たちに危害を加えたりしない……ただ話を聞きたくてな。そうだな、静かに話せる場所に行こう。人目がないような……」
「それなら……僕達が今隠れている場所があるから、そこへ」

慧音はまず、自分たちが一切の危害を加えるつもりはなく、ただ話がしたいだけだと伝える。
だが、ここは仮にも住宅地。一歩間違えば、周りの住人が彼らを見つけてパニックを起こして警察やSTAGに通報しかねない……。
となれば、自然と人目が付かない場所が望ましい。そんな場所をこの少女は知っているらしく、妹紅と慧音は2人の付きしたがって場所を変える。

gta_sa 2018-06-12 17-48-26-362

4人がやって来たのは1件の空家。不法侵入に当たるが、なにやら事情がある様子なので慧音は咎めないで置いた。
それぞれがソファに腰掛けて、ようやく本題へと入って行く。

gta_sa 2018-06-12 17-48-16-574
慧音「私は上白沢慧音だ。こっちは藤原妹紅。君たちの名前は?」
Frisk(Fr)「僕の名前はフリスクだよ」
Asriel(As)「ボクはアズリエル・ドリーマー。ここじゃ変な名前だよね、きっと……」

まず最初に、慧音は自身の名前と妹紅の名前を2人に伝えた。それに釣られるようにして、少女と獣人もまた、それぞれの名前を名乗る。
少女の名前はフリスク。そしてこの獣人の方はアズリエルという名前らしい。
どちらも少し変わっている、所謂”キラキラネーム”と言ってしまえば、そうも受け取れるが、
今の時代、外国系のアメリカ人も多く、慧音に至っては生まれは日本。そんな風にして国際化も進んで来ている事を考えれば、名前だけで判断してしまうのは間違いだろう。
とはいえ、10年ほど前からアメリカではキラキラネームと呼ばれるような子供たちが増えてきている。プリズン君に、ラスティちゃん、スシにオデンとやりたい放題……。

gta_sa 2018-06-12 17-48-41-021
慧音「早速話へ移ろう。まずいくつか確認させて欲しいんだが……君たちはエリア69でSTAGに捕虜にされて居た、それに違いはないな?」
As「うん……あそこがなんていう名前なのかは分からないけど、捕まっていたのは本当だよ」

慧音はまず、2人がエリア69で捕虜にされて居た”例の脱獄犯”ではないかと疑う。
無論、人体実験ともなれば、流石に見て見ぬふりは出来ないため、このまま保護する必要がある。だが、保護するにしてもそう簡単にはいかない。
特にFIBは汚職が蔓延っているのは元より、STAGに対しては割と協力的な姿勢を取ってる派閥が存在する。故に、下手に動くと彼らをSTAGの手に再び渡してしまうことになる。
少し前の慧音ならSTAGに連絡を取っていたかもしれない。だが、今は……。

gta_sa 2018-06-12 17-48-54-545
妹紅「慧音、もしかしてこの2人って……」
慧音「ああ、その通りだ。エリア69の一連の騒動の際に脱走して来たんだろう。なあ、エリア69で一体何があったんだ?」
Fr「それは……」

ようやく1つの点通しが、1つの線へと形を変える。この2人はエリア69から脱走してきた。
そして彼らは同時にエリア69で起こったあの大量殺戮の数少ない生き証人だ。

表向きに、エリア69で起こった例の大量殺戮は”実験の失敗によって発生した毒ガスによる中毒死”とされて居るが、FIBやIAAと言った政府機関はそれが”嘘”であることは把握している。
人体実験に失敗し、生まれてしまった”魔物”が引き起こしたのがこのエリア69の大量殺戮。だが、その殆どは不明瞭な部分が多い。
情報のすべてはSTAGが管理し、漏れた情報は極々わずか。エリア69で人体実験が行われていたということくらいだろうか。
その証言をしたモーガン・フィンク議員もSTAGの奇襲に遭い、怪我を負って現在入院中なわけだが……。

gta_sa 2018-06-12 17-49-26-195
慧音「無理に話す必要はない。少なくとも、今は君たちの保護を優先するべきだと考えているからな。しかし、どうしたものか……」
妹紅「こういう時に文が居れば良いんだが……」
慧音「……今がその時なのかもしれない」

慧音は携帯を取り出せば、電話帳からIAA長官の射命丸文の番号を表示させ、そのままコールし始める。
彼女と文はSTAG法案を巡って意見が割れて仲違い状態。しかし、慧音が敢えてそうしたのにはある1つの思惑がある。それは――。



←Before Act.22「気になる事」
Next→ Act.24「ケツイ」