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ティエラロバーダ 邸宅
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妹紅「アイツら大丈夫かな」
慧音「文に任せてあるからな、大丈夫だろう。少なくともFIBに保護させるよりずっと安全だ」

ラスベンチュラスでフリスクとアズリエルを保護した2人は、IAAに2人を預けて邸宅へと戻った。
あの2人を知ったきっかけはSNSとSTAGを少し前まで指揮していたモーガン・フィンク議員のリークによって知ったが、まさか、それが真実だとは思いもしなかった。

だが、すぐには彼らの存在は表には出来ないだろう。
この地球上には今まで知的生命体は人間と言う種族のみだったのが、2010年代後半に突如現れたエイリアンによって覆され、
そして、エイリアンが去ってから1年以上が経過した2022年に今度は彼らの忘れ形見の地球外の人間と獣人が発見されたのだから……。

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慧音「とはいえ、あの2人が私と文の関係を修復する架け橋となったのは感謝しないとな」
妹紅「一時はどうなるかと思ったが、仲直りしたみたいで安心したよ」

文と慧音はSTAG法案を巡って対立し、仲違い状態にあった。
それに頭を抱えた妹紅と椛は定期的に連絡を取り合っていたが、どうやらその気苦労ももう無くなりそうだ。

慧音も文も、結局目指すところは同じ。STAGを巡って引っ掻き回されただけに過ぎず、あの二人の保護をきっかけに、仲直りが出来た。
彼らは身の安全が保障され、慧音と文はその仲を再び戻すことが出来た。それだけでもWin-Winの結果ではないだろうか。

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慧音「妹紅、それはどういう意味だ?」
妹紅「このまま2人が仲違いしたままなんじゃないかって私も椛も心配してたんだよ。何かあれば私と椛で2人が仲直りできるようにセッティングするつもりだったんだが、必要はなかったみたいだな」
慧音「それは随分心配かけさせてしまったな……」
妹紅「いいって。私だって結構慧音に心配かけさせちゃってたしさ」

妹紅と椛の2人はもし、このまま文と慧音が仲違いしたままなら、
仲直りさせるためにいろいろと奔走する心構えで居たが、それを実行に移す前に2人が仲直り出来たことに胸をなでおろす。
慧音は妹紅にいらない心配を掛けさせていたのかと少し恐縮するが、思えば妹紅も慧音にかなり心配を掛けさせていたので、お互いで貸し借りは無し。
それだけ、この2人には付け入る隙のない友情があると言えるだろう。



ラスベンチュラス スパイニーベッド 燃料基地
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「コマンダー!怪我はありませんか!」
Chase(Ce)「大丈夫だ。アレだけの研究報告書を把握している私があんな小娘に負けるわけがなかろう」

ラスベンチュラス北東部にある燃料基地。
元々米軍に貸し出されていた施設だが、STAG法案以降、サンアンドレアス州にSTAGが配備されるのをきっかけに、現在はSTAGの管理下に置かれている。

ついさっきの事だ。ここに侵入者が現れ、司令官であるチェイス・ライトの命が狙われたのは。
しかし、彼は只者ではない。元海兵隊員で、複数の部隊を率いていた彼は、その功績とスキル、知識を認められてSTAGの司令官に抜擢された。
だが、その裏には黒い噂も付き纏っているのもまた事実。献金をしただの、体の関係を持っただの、様々な憶測が成されている……が、いずれも推測の域を出ない。

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「彼女の捕獲はしなくていいのですか?」
Ce「どうせ遠くには逃げられやしないだろう。今は少しくらい見逃してやっても良い」

チェイスは自身を襲って来た”Chara”を返り討ちにして、そのまま見逃した。
彼が何故、この判断を下したのか。それは全く持ってわからないが、少なくとも彼の中で敢えて彼女を泳がせておく意味があるのだろう。
しかし、何故彼は彼女を出しぬけたのか。十分以上の戦闘力を持つ普通のSTAG隊員でさえ、彼女には太刀打ちできなかったというのに。

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Ce「……”ケツイ”とは面白い力を得た物だ。だが、それさえも”我が手”にある」

彼の持つ端末にはありとあらゆるSTAGの資料が入っている。
その中にはエリア69での一連の騒動や、つい先日発生したサンフィエロの補給基地の襲撃事件の資料も数多く含まれる。
つまり、チェイスがCharaを出し抜けた理由。それはそれら資料をすべて頭に叩き込み、彼女の癖や動きを把握したことによる物だ。
いくらCharaが挑もうと、癖や動きを把握され切ってしまっている今、1人で挑んだところで彼女はおそらく勝てないことだろう……。



ラスベンチュラス プリックルパイン
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時を同じくして、スパイニーベッドから西へ行ったところにある高級住宅街。
深夜と言う時間帯も相まって、非常にこの住宅街は静か。殆どの人は眠りに就いているのだろう、灯りの灯る家も少ないようだ。

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「やはりあそこに向かっていたようだな」

黒塗りの古い高級セダン。ダンドリアリー・チャーチル。かつて大統領の祭礼用の車両としても採用された実績を誇る、古き良きアメリカ車だ。
2022年現在では数をかなり減らしているだけに、止まっているだけでも目立つのは間違いないが、時間帯も相まってか、それに注目している人影どころか、歩いている人影すら見受けられない。

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チャーチルから降りてくるのは1人の白人男性。マイク・トレノ。そう、IAAのかつての長官で、死んだと思われていたあの人物だ。
表舞台から引き下がった彼は、今や愛弟子とも言える、現IAA長官を務めている射命丸文を影から支えている。
そんな彼が何故、IAA本部から遠く離れたここ、ラスベンチュラスに居るのか――。

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彼の視線の先にはぐったりした1人の少女の姿。重傷を負っているようで、服は汚れ、擦り傷が目立ち、血も絶えず溢れ出ている。おそらく傷口が深いのだろう。
意識があるのかどうかはこの場からは確認できない。だが、このまま放置すれば、明日の朝に彼女は命を落としている事だろう。

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Torino(To)「おい、聞こえるか?」

しゃがみ来み、重傷を負っている少女に声を掛けるトレノ。
ぐったりとしながらも、じぃっとトレノを睨み付ける少女にまだ意識がかろうじて残っている事を確認すれば、そのままインカムですぐさま救急車を手配するように連絡を入れる。
彼がここに来た理由、彼が彼女を知っている理由。それは何なのかは不明点が多い。
だが、1つ言えることは、彼は”Chara”を知っていて、彼女の様子を遠くから監視していた……と言う事だろう。

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To「お前の仲間が待ってる。今は休んでろ。後は私たちがなんとかしよう」

最後に少女が見たのはしゃがみこんで彼女の様子を伺うトレノの姿、最後に彼女が聞いた言葉は彼の”今は休んでろ”という言葉。
次に彼女が目覚める時には恐らく――。