cut5



バインウッド リッチマン 邸宅
gta_sa 2018-06-24 02-52-42-024
エリー「こころ、ヨーヘイを起こして来てくれないかしら?」
こころ「猫さんまだ起きて来てないの?」
エリー「ええ。少し疲れているみたいだけど、もう朝食の時間でしょう?」

バインウッド、リッチマンの邸宅。朝食を作りながら、エリーはヨーヘイを起こしてくるよう、こころに手伝いを頼む。
昨日はヨーヘイを引き連れて、ヘリでラスベンチュラスまで移動。往復で5時間近くかかり、お互いで付かれている。
が、そこはエリー。結構タイトなスケジュールを熟すのに慣れており、体力の回復が非常に早く、昨晩には疲れてすぐにベッドに入って居たが、翌朝には規則正しい時間に起きて朝食の準備をしている。

gta_sa 2018-06-24 02-55-06-431
こころ「猫さん起きて?」

2階にあるヨーヘイの寝室に1度ノックして扉を開けるこころ。
そして起きて、と呼びかけながらヨーヘイの寝ているベッドへと近づき、そして彼を揺さぶる。

gta_sa 2018-06-24 02-56-27-804
こころ「ん……もふもふ」

と、数度揺さぶったところで突如動きを止めるこころ。じーっと起きる気配のないヨーヘイの寝顔を見てから、そっと彼の毛並みに触れる。
ネコ科らしい、もふもふで上質な毛並み。虎は現在でこそ、絶滅危惧種だが、かつてはその毛皮を剥いで絨毯にしたり、剥製にしたり、ブランドとしての価値が高かったのもまだ記憶にある。
無論、こころが物心付く頃には、取引そのものが禁止され、取引する際には正式な書類が必要となっている。
……それが返って密猟と密輸入を増やしてしまっているのも事実だが。

gta_sa 2018-06-24 02-58-53-278
こころ「私、大きい動物を枕にして眠るのが夢の1つなんだ」

眠っているヨーヘイには決して聞こえないであろうことを、ポツリと口にしながら、彼の横に寝転がって、彼の身体を枕のようにしながら二度寝を始めるこころ。
ミイラ取りがミイラに、とはまさにこの事。彼を起こしに来たはずが、逆に彼と一緒になって眠ってしまっているのだから。

gta_sa 2018-06-24 03-01-01-907
エリー「遅いわね、こころ。……まさか一緒になって寝てるんじゃないかしら」
幽香「おはよう、エリー。どうしたのよ、朝から」
エリー「あら、おはよう、幽香。ヨーヘイを起こすようにこころに頼んだんだけど、降りてこなくて」
幽香「仕方ないわね。私が様子を見てくるわ」

朝食の準備を終えてもなお、降りてこないこころとヨーヘイに少し痺れを切らして確認するか迷っているエリー。
そこに目を覚まして下へと降りてきた幽香がやってくる。
例のSTAG制圧プランで疲れていると思って、エリーはあえて起こしに行かなかったが、やはり幽香は規則正しい生活を送っているだけのことはある。

gta_sa 2018-06-24 03-02-26-558
幽香「あら」

幽香がこころとヨーヘイの様子を見に行くと、やはり予想はしていたが、ぐっすりとベッドの上で眠りに就いている。
その姿はさながら”美女と野獣”と言ったところか……。だが、このまま2人をいつまでも眠らせているわけにもいかないので幽香は2人を少し荒々しく揺さぶる。

gta_sa 2018-06-24 03-04-01-149
幽香「ほら、起きて頂戴。もう朝よ」

とはいえ、これで起きてくれればそんなに面倒ではない。だが、実際はどうだろうか。人間は意外と起きるようで起きないもの。
荒々しい真似は出来ればしたくはないし、するつもりもないが、時に人を起こすときには荒々しい事をする必要がある事を幽香は理解している。

gta_sa 2018-06-24 03-08-23-281
幽香「……起きた?」
こころ「私寝ちゃってた……」
Yohei(Yh)「ん………」

眠たげに眼をこするこころに、起きてもなお、ぼーっとしている様子のヨーヘイ。
2人がなんとか目を覚ましたことに幽香はひっそりと溜息を付きながら、2人に朝食が出来ている事を伝え、すぐに降りてくるように伝え、幽香は1人先に下へと降りて行く。



ティエラロバーダ 邸宅
gta_sa 2018-06-24 03-10-44-512
慧音「なるほど……」
妹紅「これで良かったのかもしれないな」

邸宅にて、スマートフォンのインターネットニュースに掲載されているのはSTAGが解体され、戒厳令が解かれた事と、それにより、”平穏”が戻った事。
STAGが解体される前、サンアンドレアスやアメリカには鬱屈した物が溢れ、ブリッターなどでは絶えず議論がなされていたが、今はそんな議論さえも過去の物となった。
大手のマスメディアも報じるのはSTAGが解体され、STAG法案が廃案となり、法案を考案し、STAGを率いていた上院議員のキンバリー・コーニッシュが議員辞職をしたことばかりを報じている。

gta_sa 2018-06-24 03-11-06-094
慧音「これで平穏な日常も戻ってくるな」
妹紅「でもまだまだ油断は出来ないな。司令官が逃げ出したんだろ?」
慧音「ああ。だが、彼はアメリカに居る限りは捕まる。国外に逃げ出したとしても、確実にアメリカが見つけ出すだろう」

しかし、1つだけ問題があるのも事実。STAGの司令官であるチェイス・ライトはSTAG解体作戦の際、単身戦闘機で逃亡。
彼が逃亡に使用したF-69 VTOLがステルス機なのもあり、以降消息が分かっていない。
1つ言えるとすれば、彼はおそらく戦闘機で行けるところまで行った後、国外に逃亡したと言う事だろう。
だが、彼を逃すことは決してしないだろう。彼はアメリカにとって、国益を損なった存在だ。そのツケはしっかり払ってもらう必要がある。

gta_sa 2018-06-24 03-12-06-949
妹紅「そう言えば、あの2人はどうなったんだ?」
慧音「フリスクとアズリエルの事か? 彼らにはもう1人仲間が居たよ。キャラというらしい」
妹紅「キャラ?」
慧音「STAGの実験でフリスクから分離された人格だ。彼女の中の別の彼女、と言うべきかもしれない。全員今はIAAが保護をしているよ」

妹紅と慧音が保護した獣人と1人の少女。それぞれ名前をアズリエルとフリスクと言う。
FIBで保護するにはリスクが高いと判断した慧音が文を頼って、IAAに保護を依頼したが、その後の事は彼女に任せていたため、数日おきに送られてくる近況報告以外で彼らの状況を知る術はない。
つい先日送られてきた報告によると、今、フリスクとアズリエルはSTAGという脅威が去り、精神的にも落ち着いているとのこと。
また、フリスクから分離されたという人格のキャラもまた、生き別れていたらしいが、無事、彼らは再会を果たし、同じ家で保護を受けているらしい。

gta_sa 2018-06-24 03-12-15-293
妹紅「IAAに任せておけば、大丈夫そうだな」

彼らにはいろいろ辛い事もあっただろうが、仲間と再会を果たし、そしてIAAという手厚い組織に守られている今、彼らに危険が及ぶ可能性は限りなく0に近いだろう。
やはり、FIBと言う組織よりもIAAという組織に任せて正解だった。



ロスサントス ロスサントス警察署 地下駐車場
gta_sa 2018-06-24 03-25-32-830
小町「いやあ、STAGが解体されてようやく仕事が減ったって感じですね」
四季「ええ、全くですね。彼らのおかげで非常に治安も悪くなっていましたから……」

STAGの解体を喜んでいるのは何も市民レベルや元々法案に反対してきた人物に限らない。SAPDもまた、表向きはノーコメントだが、実際は喜んでいるところの1つだ。
SAPDとSTAGは半ば無理やりとも言える形で協力体制を敷いていたが、それがなくなったのだから、それだけでも大分肩の荷も、負担もなくなった。

gta_sa 2018-06-24 03-25-58-715
小町「しかし、これからどう立て直していくんですかね?」
四季「一度は混乱もありましたが、緩やかに回復して行っていますし、当面はいつも通りで大丈夫だと思いますよ」

一度悪化した治安を戻すのはそう容易ではない。
しかし、今は目立った混乱も収束傾向にあり、通報件数もSTAGが配備されていた時期と比べると目に見えてわかるほど減少している。
当面の間はSAPD側が対策を打たなくても、おそらく自然と治安は回復していくだろう。

gta_sa 2018-06-24 03-29-07-863
四季「それよりもどこに飲みに行きましょうか……」
小町「あたい、良い所知ってますよ」
四季「それではあなたに運転を任せるとしましょうか」

時刻は既に午後6時を過ぎた頃。夏に入ったサンアンドレアス州は日照時間も長くなり、夕方だと言うのに外はまだまだ明るい。
四季と小町は仕事が早く切りあがったのもあり、またしてもどこに飲みに行くかを決める。
ついこの前も飲みに行ったばかりではあるが、せっかく”STAGが居なくなった”上での週末。
祝杯とは大きい声では言えないが、飲みに行かない手はないだろう。



←Before Act.27「STAGクラッシュ」
Next→ Act.29「誘拐」