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ラスベンチュラス クリーク ショッピングモール
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ラスベンチュラスの北西部に位置する、市内で一番大きい規模を誇るショッピングモール。
観光客から、ラスベンチュラス市内に住居を構える著名人にセレブまで、幅広くこのモールには訪れる。

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「情報通りです。”ターゲット”が現れました」
「予定通りに進めるぞ」

複数台のスーパーダイヤモンドがモールの端に止められており、その車内には複数のスーツを着た男。
ただでさえ、この状態では怪しさ抜群だが、人を隠すなら人の中。車を隠すなら車の中。特別それらに違和感を感じる者は極々少なく、通り行く人は皆素通りだ。

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「グランベル・スカーレットと……もう1人は誰だ?」
「多分グランベルの友達だろう。丁度良い、アイツも一緒に連れ去るぞ」

そんな彼らの視線は1人の少女に注がれている。グランベル・スカーレット。スカーレットグループCEOのレミリア・スカーレットの実の妹。
スカーレットグループはシンジケートを構成する組織の1つと言うのはサンアンドレアスではもはや常識だが、
それを抜きにしても、世界でもトップクラスの時価総額を持ち、世界でもトップクラスの売り上げを記録している超大手の企業だ。
そのCEOの身内を誘拐ともなれば、身代金だけでもガッポリ頂ける。

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彼らはそう、モーニングスター。
彼らがグランベルを誘拐する目的は大きく分けて2つ。
誘拐による身代金の獲得と、マーシャルローが解かれた今、束の間の休息を得ているであろう、シンジケートに対してのかく乱だ。

日中と言う時間帯もあり、観光客で賑わっており、目撃されるリスクが非常に高いが、
仮に目撃されてしまっても、その先がわからないようにしてしまえば目撃されて居ないも同然。

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「すみません」
小悪魔「はい、なんでしょう?」

モーニングスターの1人がまず向かったのはグランベルの方ではなく、彼女たちのお守りをしている方の女性たち。
小悪魔と美鈴。彼女たちもまた、スカーレットグループの主要メンバーにほど近い存在らしく、グランベルの面倒見役を任されているようだ。

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「道をお尋ねしたいのです」

モーニングスターの作戦は至ってシンプルだ。面倒見役の彼女たちの注意を逸らし、その間にグランベルを連れ去る。誰でも思いつく簡単な作戦。
だが、作戦と言う物は時と場合によってはシンプルであればあるほど、成功率は高くなりやすい。
事実、モーニングスターの作戦は功を奏し、面倒見役の2人の注意をグランベルから逸らすことに成功した。

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「なあ、お嬢ちゃん」
グランベル「おじさん誰?」
ロリス「グランの知り合いじゃないの?」

一方で、こちらは予定通りに作戦が進んだので、手荒い真似をすることなく、グランベルに声を掛ける。
グランベルと、もう1人の少女。名前はわからないが、共に行動し、和気藹々としていることから、友達なのだろう。
返って好都合だ、と言わんばかりにこちらを振り向く2人にモーニングスターのメンバーは催涙スプレーを吹きかける。

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「悪く思うなよ」

そのまま倒れるように、ぐったりとした2人の少女を抱え上げれば、モーニングスターは自前の高級セダン、エナス・スーパーダイヤモンド……
ではなく、1台の黒いトラック、マイバツ・ミュールの方へ少女たちをまるで積み荷を扱うかのごとく、荷台へと押し込む。
白昼堂々と行われているが、彼らを注視している市民は今のところおらず、気付かれて居ないのだろう。
無理もない、最近のアメリカはますます”他人への興味”を失ったのだから。

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「引き上げるぞ」
「助かりました!ありがとうございます!」
美鈴「いえいえ、力になれたようで何よりです」

小型のインカムから作戦通りに事が進んだことを知らされた陽動チームはその場を適当にあしらい、そのまま元の車へと戻っていく。
おそらくあの2人はすぐに気付くだろうが、その頃には陽動側の方も、そして誘拐側の方もこのショッピングモールを去っている後だろう。



サンアンドレアス 詳細不明
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Ariana(Ar)「ボス、計画通り、グランベルの誘拐に成功しました」
Carick(Ca)「そうか……ご苦労だった」
Ar「それと、彼女の友人であるロリス・マーガトロイドも目撃者隠蔽の為に拉致しました」

モーニングスターはその財力を活かし、サンアンドレアスに複数の物件を保有している。
サンフィエロの証券会社を装ったビルもその1つであり、モーニングスターの拠点の1つとして、最大限生かされている。

だが、彼らが居まいるこの場所はサンフィエロのそのビルとは異なる場所だ。

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Ca「そいつも連れてきて大丈夫だったのか?」
Ar「ええ。彼女もまたグランベルと同じ子供のようですから」

モーニングスターのドンであるキャリックはアリアナからプランが上手く計画が成功した報告を受け取る。
元々、このプランを考案したのはもう1人の秘書を務めている青娥。
彼女がスカーレットグループのCEOであるレミリア・スカーレットの実妹であるグランベル・スカーレットがサンアンドレアスにやって来たという情報を掴み、それを持ちこんできた。

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Ar「現時点では”例の場所”に軟禁しています」
Ca「”オークション”には出せそうか?」
Ar「まだ何とも言えませんね。まだ若いですから、”品物”としては上級品ですが、身代金とどちらがより多く稼げるかは何とも言えません」
Ca「そうか……。何をするにしても、遅すぎても早すぎてもダメだ。状況を見極めて最も金の稼げる瞬間を見つけろ。為替と同じだ」

グランベルとロリスが行方不明ともなった今、おそらくシンジケートの連中は動き出している事だろう。
今、モーニングスターがすべきことは状況の見極めだ。彼女たちを”オークション”に出品するか、それとも普通の誘拐らしく、身代金を要求するか……。
彼らが求めて居るのは利益だ。モーニングスターは国際的な犯罪組織だが、同時にビジネスマンでもある。金のならないことはしない。それが彼らのモットーだ。

gta_sa 2018-06-26 12-52-11-822Ca「そうだ、アリアナ。聞きたいことがあるんだった」
Ar「はい、なんでしょう?」
Ca「青娥が連れている彼女は何者だ?」
Ar「あの肌が白い死人のような彼女ですか? 彼女の古くからの知り合いらしいですが、詳しい事は何も。トビアスなら知ってるかもしれません」

最近、青娥はモーニングスターの拠点内でよく、1人の人物を連れ歩いている。
アリアナは青娥とそこまで親密ではないのに加え、キャリックも自身が自ら彼女を秘書に置いたが、プライベートな会話は殆ど交わしていないため、彼女自身の素性もイマイチ不透明な節がある。

それだけに、今青娥が連れている肌が異様に白い女性の素性が益々わかっていない。彼女はどこから来て、そして何故肌が異様なほどに白いのか。
犯罪組織だけに、死体は見慣れている。それだけに、あの死体のような肌の白さやどこか呂律が回っていないような話し方には不気味さを感じざるを得ない。