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ラスベンチュラス ストリップ大通り レッドマジックカジノ
gta_sa 2021-02-27 00-43-07-144
Agatha(Ag)「そう……報告ありがとう」

レッドマジックカジノの事務所にて電話を受け取るアガサ。
彼女の電話口の相手はどうやらFIBの捜査官らしく、例のフェイクニュースに関係した報告を受け取っている。
FIBとしてはあまり好ましい結果ではなかったらしいのだが、アガサ、そしてレミリアにとっては朗報と言っても過言ではない。
というのも――。

gta_sa 2021-02-27 00-44-25-113
Ag「レミリア、朗報よ。例のフェイクニュースを書いていた記者、始末されたわ!」
レミリア「当然の報いね。因果応報と言うべきかしら」

フェイクニュースを書いていた記者は抵抗した為、止む無く射殺された。
FIBとしては生きて逮捕し、事情やその”後ろ”に居るであろう存在を調べたかったところだが、こうなってしまえば別の手を打つしかないらしい。
だが、アガサ達にしてみれば、カジノを巡る問題が一つ減ったこともあり、FIBを気の毒には思いつつも、気持ちとしてはハッピーだ。

gta_sa 2021-02-27 00-44-12-165
Ag「まったく、良い気味だわ。これで少しはメディアが黙ってくれるともっと良いんだけど」
レミリア「これで黙るような連中なら苦労はしないけど……民衆の目は、今回の一件で相当に厳しくなったはずよ」

この国のマスメディアは一部を除いて、大半がリベラル寄りで、ただ批判的なだけのメディアも多く、公平性はあまり保たれてるとは言い難い現状が存在する。
今回、レッドマジックやスカーレット、レミリアを攻撃して居たCNTの記者がFIBの手によって射殺されたことで、CNTは勿論の事、反米的なメディアはFIBを責め立てるのは間違いないだろう。
だが、CNTの例の記者はフェイクニュースばかりを量産して居たのは紛れもない事実。
世論がどちらに傾くかはわからないが、昨今のソーシャルメディアを見るに、CNTの記者よりもFIBに肩を持つ人間の方が多いと思いたいところだが。




ラスベンチュラス ラスベンチュラス市警 警察署
gta_sa 2021-02-27 00-47-20-611
慧音「全く、どこのメディアもロクでもないところばかりだな」
妹紅「せいぜいWEAZELくらいだろうな。まともと言えそうなところは」

一方で。事後処理とその対応に追われている慧音と妹紅。
知っての通り、記者を射殺した事実が存在するせいでFIBの対応が正しかったのか、とマスメディアは寄ってたかってFIB批判、ひいては政府批判に躍起になって居る。

おまけに、運悪く射殺された記者が有色人種だったこともまた、運が悪かったと言わざるを得ず、連日批判が続いてる。

唯一、公平性を担保した上で議論しているが中立右派とされる、ウィーゼル。ここはいろいろな視点から、FIBの対応の可否を判断してる。

――まあ、言ってしまえば、決めるのはマスメディアではなく裁判所なのだが。現時点でのFIBの上層部及び、裁判所の考えは「対応に問題は無かった」。
故に、妹紅が裁判にかけられることは無いのだが、この情報はまだ表に出て居るものではなく、いずれこの情報が出た際には増々メディアは騒ぐことだろう。

gta_sa 2021-02-27 00-47-42-874
慧音「そもそもで、前提を捻じ曲げてくる連中だ。彼らにまともな話をしたところで、意味は無い」
妹紅「そういうところにエネルギーを使うよりも、今は”彼女”を追うんじゃないのか?」
慧音「嗚呼、もちろん。あのヘリコプターの行方を追ってみたんだが、どうも砂漠地帯でレーダーが途絶えた。おそらくレーダーに引っかからない低空飛行に切り替えたんだろう」

前提を捻じ曲げて居るマスメディアに対しては、まともに取り合ったところで結果は目に見えて居る。平行線のままだ。
相手が決めつけて、食って掛かってきている以上、何を言った所で取り付く島などないも同然。相手を説き伏せるためにエネルギーを消費したところで意味は無い。
尤も、取り合わないことで、ますます彼らは付け上がるだろうが、理解しようとしないものに構う時間もエネルギーもすべては無駄。理解できるものにだけ、正しいことを話せば良いのだ。

と、話は逸れたが、彼女達がラスベンチュラス市警の警察署を訪れたのは”彼女”の調査の為。
あのヘリコプター……識別コードが不明なままだったが、おそらくはセシリアが手配したものだろう。どこから飛んできたのか、そしてどこへ行ったのか。
わかることは決して多くは無いが、一つ確実なのは砂漠の辺りでレーダーから消えた、ということ。これが着陸したからなのか、低空飛行でレーダーから消えたのかわからない。

gta_sa 2021-02-27 00-48-48-835
妹紅「現地に行って確認するのがベストじゃないか?」
慧音「……市警のヘリコプターを借りるとするか」

今ある”彼女”へと繋がるものはせいぜい、消えたヘリコプターくらいのもの。
他に情報も無い今、これから追ってみるのもまた選択肢の一つだろう。

捜査において、何事も近道ばかりでは真実には辿り着けない。時には遠回りも必要だ。
慧音は市警から警察ヘリの手配をするために席を外す。



ボーンカウンティ 某所
gta_sa 2021-02-27 00-53-12-257
Cecilia(Ce)「パイロット役、お疲れ様」
雲豹「ヘリ、操縦、得意」

ボーンカウンティの某所。切り立った崖の間にある小さな谷の先にあるのは海と小さな桟橋。そして小屋。
現代社会からまさしく切り離されたようなこの場所には不釣り合いとも言える1台の大型キャンピングカー……いや、この車は――。

テラーバイト。一見すれば、ベネファクター製の大型キャンピングカー。
だが、道なき道を走れるように設計された走破性と高い防護性を誇る設備を兼ね備えており、
なおかつセシリアはそんなキャンピングカーにクラッキング用の数々の設備を搭載し、更には防犯カメラに対する”ジャマー”まで搭載し、徹底的に”雲隠れ”出来る走る要塞を作り上げた。

数週間ほど前にラスベンチュラスでその姿が確認できたにも関わらず、彼女の足取りが追えなくなったのはこのテラーバイトの存在に他ならない。

gta_sa 2021-02-27 00-53-30-787
Ce「あの男は残念だけど、ここまでだった。それだけの話。それよりも、拮抗したこの状況を打破する次のカードを切るタイミングを考えなくちゃならないわ」
雲豹「次の、カード……?」
Ce「ええ。と言っても、すぐにはカードは切らないわ。切り札は最後まで隠しておくものだもの」

現在、セシリアは”歩兵”を使って、レッドマジックを、スカーレットを――否、レミリア・スカーレットを追い詰める為に外壁を埋めている段階だ。
当初は上手くいっているように見えたプランも、歩兵の能力が思ったよりも高くない事や、彼女が導き出した計算よりも、はるかに上回るだけの能力をレミリア・スカーレット、ないしはシンジケートは持っていた。
下手をすれば、一国の軍隊や、諜報機関を相手取るよりも、シンジケートを敵にする方が厄介と思ってしまう程には。

だが、彼女にしてみれば、そういう”強大な存在”をへし折ることにこそ、生きがいを、カタルシスを感じる。だからこそ、ターゲットに選んだ。

gta_sa 2021-02-27 00-53-45-142
Ce「さて……雲豹。あなたはこのままラスベンチュラスに戻って、エイブリー・ダガン率いるダガンファミリーのサポートをして貰えるかしら」
雲豹「うん、わかった」

雲豹の役割は情報収集兼、ダガンファミリーのバックアップ。
次にシンジケートが狙うとすれば――ダガンファミリーだろう。それを見越しての人員配置。

尤も、雲表には一つだけ問題があることを承知の上で、だが。
彼の問題、それは博麗霊夢という人物の存在だ。彼女と雲豹が近付く事、それは流石のセシリアも計算外だった。
いくら手に取るように、人の性格を把握し、次の行動が読めるセシリアでも、人の恋模様までは読めない。

だからこそ、これが大きい問題になり兼ねない……が、セシリアは同時にこう考えた。それすらも”利用してしまおう”と。
雲豹でさえ、彼女にとっては手駒の一つに過ぎないのだから。