cut1



ラスベンチュラス レッドサンズウェスト
gta_sa 2021-04-06 19-17-49-478
Franklin(Fr)「この場所か?」
Fabiano(Fa)「レスターの情報通りならこの場所のはずなんだが……」

ラスベンチュラス北部、レッドサンズウェスト。野球場からも程近いこの場所にある倉庫。
レスターから貰った情報によれば、ここに今回のターゲット車両であるデラロサ・タイゴンがあるらしいのだが、どうも見渡す限りあるのはトラックと数台の車のみ。
この場にターゲット車両が止められてるとは思えないのだが……。

gta_sa 2021-04-06 19-18-26-646
Fr「情報が間違ってるか、場所が移されたかのどっちかってところか?」
Fa「待て、あそこを見ろ」

ファビアーノが指さす方向にあるのは1台の大型トラック。
アメリカではトレーラーが主流でこのタイプのトラックは多い方ではないのだが、サンアンドレアスではこのサイズのトラックを愛用する会社が存在する関係で、割と頻繁に見かける存在。

尤も、このトラックには特に会社を示すような色もデザインも施されてはいない。シンプルにボディカラーのみで塗られている。
――が、ファビアーノがこの一見すればシンプルなこの大型トラックがコンテナタイプの積載車にカスタムされていることに気が付いた。

gta_sa 2021-04-06 19-20-44-549
Fa「あのトラックの中にターゲットが積まれてる可能性が高いだろう」
Fr「それじゃ、次に来た時に……おい、動き出したぞ」

ターゲットはあのトラックの中。今回は偵察。ここは情報を持ち帰って計画を、と考えて居た矢先、トラックが動き出す。
向かう先もわからない今、この場所に戻ってくる保証もない。となれば、必然的にやることは――。

gta_sa 2021-04-06 19-33-50-976
Fa「手持ちの装備で何とかなると思うか?」
Fr「やってみるしかないだろう。魔理沙達にも連絡してくれ、追加の装備を持ってきて貰ったうえで合流だ」

生憎手持ちの装備は心もとない。かと言って、この機会を逃してしまえば、ターゲットの強奪は不可能も同然。
となれば、今はトラックを追いつつ、魔理沙達に連絡をして装備をかき集めてきて貰ったうえで合流して挑むのが賢明。
フランクリンはファビアーノに魔理沙達に連絡するように頼んでは、車を走らせ、ターゲットのトラックを追いかける。







ボーンカウンティ ガソリンスタンド
gta_sa 2021-04-06 19-46-57-241
魔理沙「合流地点はここだよな?」
成美「ええ、ここのガソリンスタンドよ。大した装備じゃないのが少し心もとないけど……」

ファビアーノからの連絡を受けた魔理沙はとりあえずはガレージ内にあった適当な武器を人数分見繕い、成美と共に愛車であるディーヴィアントを走らせ、合流地点であるこのガソリンスタンドまで飛ばしてきた。
時間にして電話を受け取ってからおおよそ30分程度。準備そのものに時間がそこまで掛からなかったのもあるだろうが、一番はやはり魔理沙がここまで十数分足らずでかっ飛ばしてきたことにあるだろう。

gta_sa 2021-04-06 19-47-20-285
成美「魔理沙、来たわよ」
魔理沙「よし、出発だな」

いつでも行けるように準備を整えて居たところに、猛スピードで二人の前を通り過ぎていく1台のトラック。
そしてそれに続いて、やはり猛スピードで通り去るフランクリンとファビアーノが乗るバッファローS。

予定通りのポイントで合流したところで、フランクリン達に続くように、魔理沙も愛車のディーヴィアントのアクセルを踏み込んで、2台の後を追いかける。

gta_sa 2021-04-06 19-59-32-759
Fa「魔理沙、助かったぜ」
魔理沙「これくらいお安い御用だぜ」

インカムでやり取りをしつつ、チームが合流したところで、トラックを止めるプランを即興で練る。
と言っても、しっかりした考えがあるわけでもなく、単にトラックをぶつけて止めるか、銃で扉を壊すくらいのものでしかないのだが。

gta_sa 2021-04-06 20-00-01-958
成美「それよりも、どうやってあのトラックを止めるのよ」
Fr「横からぶつけてみるか」

成美の疑問は至極まともだが、フランクリンはとりあえずと、愛車のバッファローSをトラックのボディサイドにぶつける。
とはいえ、相手は大型トラックだ。横に勢いよくぶつけたところで危険なのはこちらなのは知っての通り。だが、トラックは荷崩れでもしたのか、やや大きく左右に振れる。

gta_sa 2021-04-06 20-00-58-926
Fa「おい、アレを見てくれ」

そんな左右に大きく振れるトラックの後部扉を指さすファビアーノ。半開きになった扉から見え隠れするのは今にも落下しそうな1台の車――デュボーシー・JB700。
英国の名門スポーツカーメーカー、デュボーシーの名車、英国スパイ映画にもボムカーとして登場したことで人気も高い。

だが、事前にレスターから貰っていた情報からはJB700の情報は無かった。となると――最近になって、バトラーが入手した車ということなのだろう。

gta_sa 2021-04-06 20-02-15-060
魔理沙「あの車、使えるんじゃないか?」
成美「使える?」
魔理沙「よく見てくれ。アレは武装モデルだ」
Fr「アレを使う他ないな」

見え隠れするJB700。よく見ると、フロントフェンダーには機銃が見える。となれば、あのJB700は武装モデル。
となれば、ボムカーよろしく、いろんな装備がてんこ盛りの可能性が高い。アレを使えば、本来のターゲットである を奪えるはず。
フランクリンのバッファローSの助手席に座るファビアーノは手持ちの銃で、扉を狙い撃ち、半開きであったドアを開かせる――。

gta_sa 2021-04-06 20-29-52-106
魔理沙「トラックは私達に任せて、フランクリン達はあの車を回収を頼むぜ!」

落下するJB700、フランクリンは落下するJB700に合わせて車を減速させる一方、車1台分だけ重量が軽くなった為か、より加速するトラックに合わせて魔理沙はアクセルを踏み込んで離されまいと距離を詰める。

gta_sa 2021-04-06 20-30-50-677
成美「派手に暴れまわってるわね」
魔理沙「何が何でも奪われたくないみたいだな」

田舎ということもあり、交通量は少なめ。だが、ラスベンチュラスとロスサントス、サンフィエロの他の主要都市を結ぶ道路の一つということもあり、それなりに車が走ってる。
ターゲットのトラックはそんな一般車もお構いなしに弾き飛ばして居るのだから、余程積み荷の車両を奪われたくないのだろう。

gta_sa 2021-04-06 21-15-58-854
Fr「クソ、追手が来やがった」
Fa「この車で蹴散らしちまおうぜ」

その一方で、奪ったJB700で後方を走るフランクリン達に差し迫ってくるのはバトラーの追手。相手が操るのはランパダーティ・ノヴァク。
いくらクロスオーバーSUVと言えど、クラシックカーでは分が悪いのは事実。だが、こちらが今操るのは武装仕様のJB700だ。つまり――。

gta_sa 2021-04-06 21-18-27-265

JB700の武装で迫りくる追手のノヴァクを蹴散らすフランクリンとファビアーノ。
この車の武装は確かなもので、もはやSUV等敵ではないも同然。バトラーの手下たちは手も足も出せずにただ、蹂躙されていく。

gta_sa 2021-04-06 20-38-11-113
Fa「魔理沙、そっちはどうなってる?」
魔理沙「あとちょっとってところだぜ」

フランクリン達が追手を牽制して居る間、魔理沙と成美の二人はターゲットであるタイゴンを盗み出す為にあの手この手と方法を決め兼ねて居たが、一つの方法を導き出し、実行に移した。
それは多少強引で危険な方法ではあるのだが――即席でやる以上はこれ以外の方法はないだろう。並走して走る魔理沙のディーヴィアント。助手席に成美の姿は確認できないが――。

gta_sa 2021-04-06 20-51-24-707
成美「全く、無茶させるのはこれっきりにしてよね」

トラックの扉を突き破って出てくるタイゴン。運転席には成美の姿。車を横付けして並走させ、成美に飛び移らせ、中から車を奪わせたのだ。
かなり危険な方法ではあるが、成美の高い身体能力と魔理沙のドライビングスキル、そして運があったからこそ為せた技。

gta_sa 2021-04-06 20-54-59-335
魔理沙「流石は成子だぜ。さっさとズラかろうぜ」
成美「ええ、そうね。フランクリン、合流出来そう?」
Fr「あー、合流自体は出来るがちょっとだけトラブルだ。増援が処理しきれてない」

トラックの進行方向とは逆に進む魔理沙と成美。このまま道を戻ればおそらくはフランクリン達とすぐに合流できるはずだろう。
だが、一つだけ問題を抱えて居る。それはバトラーの手下達がまたしてもやってきて居るということ。
いくら武装モデルと言えど、やはり1台で複数台を相手にするのは難しいのだ。

gta_sa 2021-04-06 21-41-40-783
魔理沙「私達が助太刀するぜ」

魔理沙と成美はそれぞれが操る車のアクセルを踏み込み、フランクリン達との合流を目指す。
おそらくもう少しでお互いですれ違う頃合い……タイミングを見計らってサイドを引いて進行方向をフランクリン達に合わせようとした時だ。

gta_sa 2021-04-06 21-46-26-612

偶々居合わせた一般車。ぱっと見は極々普通のセダン。だが、車好きなら思わず振り返っても無理が無い、スカーレットのレッドソウル。
あまり見かける車種ではないが、特筆する程派手なデザインでも無い為、車に詳しくない人であればおそらく珍しさに気付くことも少なそうなそんな車が、なんと急加速したと思えば、追手のノヴァクに思いっきり正面衝突。

一体何が起こったのか。
魔理沙と成美は頭の中が一瞬真っ白になるが、次の瞬間にはレッドソウルとぶつかった衝撃で弾かれたノヴァクが更に他のノヴァクにぶつかり、そのノヴァクにまた別のノヴァクが突っ込み――と、そんな連鎖反応で追手のバトラーの部下達は壊滅状態。
まるで昔あったB級ホラー映画のような連鎖反応。こんな予測不能な出来事を前にすると、人間頭が真っ白になるとはよく言ったものだ。

gta_sa 2021-04-06 21-53-15-679
成美「……私達が出る幕もなかったみたいね」
Fr「レッドソウルのドライバーが無事であるのを祈ることくらいしか出来ないが、とりあえず手間が省けたな」

白けた空気……とも違うが、まるで音が消えたかのように感じる瞬間。
速度を緩めて居た一行だったが、この一般車のおかげで来た隙を、チャンスを無碍にするわけにはいかない。
レッドソウルのドライバーが気がかりではあるが、スカーレット車の安全性はお墨付きのようなもの。
100パーセントの安全なんてものは無いが、今はただレッドソウルのドライバーの無事を祈りつつ、一行は車列を自然と組みながら再び速度を上げて、ラスベンチュラスに引き返していく。



←Before Epi.5「立案」